闇の錬金術
その彼女、夜系なんだが。実はこのトスカーナ地方の辺り、彼女を神に敬って、影と夜に潜み、密かに真理を求める連中も居た。
その黒魔術師の一角が、適当に滅んだけど知識は積み重ねている魔術師の名家、「モルテ」である。
だいたいのモルテさんたちはもちろん平凡の農業・鉱業・商業に尽くしたり、普通に生まれて生きるのだが、この人たちは闇のチカラに非常に集中して、自分たちの苗字にも魅了されて、「深淵」を研究し続けた。
その原作になる「神曲」のダンテ・アリギエーリが見たら「いや、そこは本のポイントではないんだが。嫌われるところなんだけど」とツッコミを耐えきれないだろう珍しい考え方だったけれど、でも、「その」モルテさんたちは、ただ暗闇が好きだった。
洞窟が好きで、闇が怖い。怖いものは知らないもの。知らないものは、知りたいのだ。
知りたいものは勉強する。そう。ただ興味津々だから、しかも頭が適切に良い彼らは、代々いい学文的成果を出している人も多い。
長くも100年か200年になるか。モルテの非凡の家系の一部は「ずっとそんな研究ばかりすると支援できないよ」と貧乏になりながらも、またのその一部は「黒魔術」、一部は「毒薬」、そして一部は「錬金術」を求める事になった。
金を錬る術と言って錬金術。
もちろん錬金術がもともと出たのは東のペルシアで、その必要性が出たのはこの世界の珍しい鉱物の中でだいたい黄金が一番長くなっても、海水に染まっても変質がなくて、輝いて続く。太陽の日差しみたいな光沢を持っているからである。
闇をなぞる彼らが黄金に集中したのは別の理由だった。他の、その他の調べれる他国の書物には「闇の女神は金のような瞳を持つ」と言ったのだ。
知識の混入!
「金を求めば真理に至るはず」とか、「永遠の命が得られる飲み物があるらしい」とか、「どう、夜空に相応しい特性では無いか」とか、「やはり蛇は永遠の命を持っているものなんだろう」とか。知ってる人が見たら「混ぜるな危険」と言いそうな、それでも割とちゃんと文献として残っている知識をいっぱい集めて、まとめていた。
もちろん人は何かに夢中になると、その中で中々使えるアイデアも有ったり無かったりするので…
モルテ家の非凡の方の長は、自分の髭を触りながら、こう言う。
「ほう…やっと永遠の命の研究ができそうだ」
室内。クッソぬるぬるでクラクラだ。
そこは洞窟が基盤になっている錬金術研究所。研究所と言うには設備も杜撰で、お金はぜんぜんない。本をいっぱい集めて学びを進んでいるだけで、その保管状態はまさに惨状だった。
仕方ないのだ。「教皇庁」には火刑されるし、「魔術ギルド」とは一つも縁がなくなってる、それでも彼らは闇が好きだったのだ。
まあ、そんな彼らの最近の成果。「永遠の命の研究」というものは、何カ月、周りに生えている「非凡の毒草」を機材で加工して作り出しているものが、毒としても普通に金になって、研究にも凄い魔術的な効果を持つ素材だったのだ。
これは、もしかすると夜からの贈り物。この世界にはなかったとも思えるくらいの魔力反応で、彼らの「闇の錬金術」の進展も意外と本当にありそうな範囲に入っていて…
しかも、その根源はどデカい魔法植物があるようで、彼はその「本体」からの恩恵もちょっと得たいと思っていた。
「まあ、その木はだめだろう。きっと見るだけで毒が移って死ぬ」
「うんんん…」
でも、基本的にモルテは控えめの性格の人が多いので、ちゃんとブレーキがいるのであった。




