夜のものは静かに地を這う
なんと、地系:リンを召喚することになった、1472年の12月の7日の夜の「非凡の流れ星」は、「変色」が起動するほどの質量を持つ強者だった。そして、その強者は色彩技を見事に食らった直後も、現地民に変身して行動を始めたのだ。
実に意外だった。正直「空から来たやつ一人二人で慌てる我らじゃないな」と思ったけど(だから適当に聞いて、フィレンツェを向かったのである)まさかの25億年間あまり聞いたことも無い神話級の技が先施されたとは。
どんなにやばい人か?戦うべきか?探すべきか?いや、刺激したら余計に良くないかもしれない。
そもそも詳細は把握しているか?ぜんぜんだな。
フィレンツェで見た少女がその「2人目」だったのか否かすらもわからないのに…!情報がだいぶ欠けている。
「さて、どうしましょう」
そこで闇の蛇が金髪がサラサラの、けっこう悩み中の女性に聞く。
だが、
「大陸単位の危機までは、状況を見よう」
「そうだろうな」
流石に「六系」の単位はデカかった。
まあ、別に鹿たちに害を与えたわけでもないし、根本的には話したらわかる人かもしれない。
万が一の事態を備えるだけね。
「うん。凄く暇になった。きみのその「後でね」になったら、ボードゲームでも持ってくると良い」
「わかた」
影の蛇は尻尾を振る。
「私はこの辺で適当に過ごすと思うから、たぶん鹿たちを通ると連絡が付くと思うのだ」
「うん。なら、私は「奇怪巨木」の事がちょっと気になるから、山系でも探しに行くか」
「私が先に出会ったら、伝えておく」
「そうだね。では行くよ」
「うん」
そして、夜系は影の蛇をせっかく作ってるから、そのまま樹木の隙を進む。
「それではロロロロロに会うまでは適当に■■■■さんでも探してみるか。あいつ、山系は探して探せるやつではないんだ」
独り言を呟いて、蛇は夜を静かに這う。
彼女はシックス・システマ・るるい。「焔流累颯」の理の二文字を貰って、五行には入らない陰そのものだ。属性は「霊」など。
闇の神様だ。
この世界の「魔女狩り」というものはだいたいお金持ちの中で社会的に強くない人を対象に行う少し素直じゃない経済行為だけど。でも、ところどころ「本当の魔女」も居たりして。黒魔術師と、死霊術師と、呪術師と(今までほぼ同じ連中だけど)、毒薬の専門家、血に染まった人の子は彼女をこう呼ぶ。
「漆黒の女神」だと。
その異名をいつも「恐縮なんだよな―」と思いながら、
でも、まあ、確かにこの星の愛しい生命体たちには正しい概念だと思いながら、
平凡の闇、
疫病、腐敗、猛毒、
骸と髑髏と亡霊の積み重ねみたいな夜の存在そのものは、それでも積み重ねて研ぎ澄ます方が趣味なんだよな。
などなどを考えながら、月光を踊った。




