クロマ・ムタレ
その奇怪な光線はあれだ。グレート・オールド・ワンの■■■■■さんが仕掛けている、「変色」だ。この星は箱庭だから、より強い存在が来ちゃうと、それを牽制・制圧するための術である。
システマたちは色んなエーテルの属性の血肉と種類、物語性を持つものの塊だが、その変色は属性自体を変えちゃうやばばのやばの術だ。
つまり、「2人目」は「変色が作動するほどの品のもの」だった。
「おおっと」
その報告を聞いた地系:リンは、流石にグレート・オールド・ワンがこの星にどのような影響を及ぶかがわかるまでは、現状を把握した方がいいと判断したので、鹿のアルファにその考えを伝えて、山を下りた。自分の体を持って「お願い」が終わった後も長く行動することになったのは相当久々である。
「まさかの「変色」の結果だったな」
鹿が自分の新しい縄張りに戻ったあと、地系:リンと夜系:るるいは相談をしていた。彼女たちは逆に塊が大きすぎて、影の意見を交わす為には、直接喋るとかメッセージを残すなど、だいぶ人の子らしい行動を取らなければいけない。「神秘的にどこでも意思疎通ができる」などは難しいのだ。
影の蛇が喋る。
「なら私が出入りが自在になったのも説明が付く。ぶにゅぶにゅの神様がもう一柱増えたのだ。■■■■さんみたいに、何かの属性に変形された状態でね」
「そうだな。外からの人たちはだいたい闇のチカラに染まってる。きみのエリアが増えてどうぜんだ」
「属性は鹿たちが言ってた、「水が零して」「ドババ」という表現を思うと、「水属性に」変わったと思うよ」
「ふむ」
「基本的に「非凡の流れ星」は隕石の形だったから。金のチカラなどを持ってるから」
流れ星は重くて熱い質量を持ってるから。その一部の中にちょっとの水分が入ってることとかはありえるかも知れないけど、「ドババ」は本当に難しいことなのだ。これは、水になったんだ。
「そうか。変色の結果、水の性質を持つようになったのは相当ありえる。でも、■■■■さんと違って、すぐ時空を歩み色を見るもののカタチを取ってたな。「2人目」の少女になったんだな」
グレート・オールド・ワンの■■■■は、この世界に来てから今までの活動の75%あたりをよくわからない肉の塊の状態で過ごしたのだ。その人も随分珍しいものを好む性格だけど、好きで20万年以上を不便な状態で過ごすとは思い難い。きっと「変色」がその分危険な効果を持っているのだろう。
「ならもともと水の形も慣れている人だ。それが主に変わっちゃったのは大変だけど、すぐなんとか活動ができたのだ」
「確かに」
つまり、外から来たばかりの人が、人の子の娘を真似て生活をしている様だった。
それはこの星の命すべてであるシックス・システマとしては、そんなに愉快な状況ではあるまい。




