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知識は粒を集めていく過程だ

リソくんはたった10歳で早寝だ。だから、わたくしはいつもの通り、彼女を寝かせて自分も寝ると思う。


「うむ、今日もなんか眠くなる話をやって欲しい」


そして、彼女は元々物語を好む性格らしいので、わたくしは減らないほど多い、今まで経験した事や聞いてる話をちょっとずつ溶けながら子供に対応しているのだ。

一部は適当に作ったりしている。この過程で新しい発想とかも出るのだよ。


「そうだな。どんな話がいいか?」


「えーとえとえとえーと、そうね。今日はその白神女の話が凄く多かったから、その人について」


白神女か。


「だいたい言ってると思うけど。彼女は「最初の人」で、牛が共にする。今まで生きている。寿命があるか否かは自分もわからないらしい。それぞれの国に彼女の話がある」


「そうだね。もともとウチは記憶力がそんなによくなくて、3割はすぐ忘れると思うけど。でも、流石にその人がどんな人なのかは覚えてる。うーん、「非凡(エキストラ・オーディナリー)」の方の話が欲しいな」


「非凡か」


「ウチも明確にそんな類でしょう?人だけど、使う術が面妖(めんよう)だから。だから、広場で焼かれないためには、技術を身に付いた方がいいでしょう」


「そうだな。わたくしはきみが上手く生きるためには工芸や計算や色んな学文を身と心に付けた方がいいと思うのだ。そうだな。その為には、逆の逆に良く知ることも大事なのだ。非凡か」


もともとどのような知識がその社会に喜ばしくないかをわかるためには、なんでその知識がそう扱われるかを知るのが一番なのだ。それが、人の子でなっている非物質(ひぶっしつ)的な型物理性(アイディア・ヒストリア)なのだ。


「うん」


「なら、白神女といつも一緒にいる、一番非凡であるその神獣について、わたくしが推測しているものを語ろう」


「へえ」


先、記憶を再生しながら改めて思ったのは、その「白神女の神獣、偉くないか?」だった。

この社会ではあまり知られて無くて、型物理性(アイディア・ヒストリア)に反するからわたくしはあまり家の外では喋りたくないが、いったん自分が私ではなかった僕の時期からずっと経験してるので、自分の過去だから仕方がない、その昔の粘土と板の国には、色んな神話があって、色んな物語があった。そして、その強い一つとして、凄く偉い空の牡牛様の話があるのだ。大きくて、英雄と戦うとか、金色のなんとか。もちろんこれは人の子がただ色を好み、固さに憧れるから。白い牛を神聖に思い、金属の中で黄金を特に好んだのが理由なんだ。そしてわたくしはその牛様は白神女の神獣がモチーフだと思ってる。


「まあ、そんな空の牛が実存するのはありえないけどな」


「ないの?」


「厳密にはない訳ではないけど、質量を維持するのが凄く面倒くさいのだ」


「それはどういうこと?」


「非凡のものは、わたくしもその本当の本当の原理をわかってるわけではないのだが、化ける事ができるのだ。それは、昔からも自然哲学のカタチで研究された「水に金属入れると、同じ金属は一定の水を押し出す」という実験があるけれど。そんな「一定の大きさ」「一定の重さ」に従わない。化ける結果、無視してしまうのだ」


「それがエーテルの技?」


「そう。それがエーテルの技で、一時的なものだ。人の子の火、水、土、風の四属性の魔術も、根本的にはこのふざけた性質を利用しているのだ。きみの「(れい)」も同じだよ」


「ふうん」


「それは平凡(オーディナリー)の体を持った人の術。そして、体が非凡のものは、このように自分を変貌させることができるけど」


わたくしは左手を変形して、ハンマーとハサミの形に変えた。


「このカタチの変化は、明らかに木材や人の子の血肉の姿より重くて、固いのだ」


「そうだね」


もとの姿に戻す。


「まあ、とりあえず物語に出る「変身」はだいたい、人の子ではないものが体がエーテルの性質を強く持っていて、違う姿になって、その過程で自然哲学的な論理に合わない変化があるという事だな」


「まっすぐではないね」


「まっすぐ?」


「レグノの旦那に学ぶ、数学の事。大きくなるとか、思うままに変わるとか。ぜんぜんそれを無視して、合わない」


うむ。エウクレイデスの理論のガン無視だ。リソくんの木のおもちゃなどは、その学文により親しくなるために考案されたものだ。


「そう。だからこれはキット自然哲学で言われる理とは違う、なにかの論理が働くのだ」


「なるほど」

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