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全能のアルベルト

そして、二人も食事を終えたのである。


「ご馳走様でした」


「美味しかった!」


まだ食堂は人が多くて、本当にギルドには人がいっぱいだな、と思いながら建物を出た。


「ステラさんは最近就職活動以外は何をやってますか?素材集めも難しいでしょう」


「そうですね。わたしは父の影響で体を動くのが好きで、筋トレをやってます。まだ今日の分を行ってないので、これから行くつもりです。そしてそれが終わったら部屋に戻ってエンブリオくんの本を読みますね」


「へえ。勤勉(きんべん)だ」


「ギルドの皆様にはぜんぜん及びませんが」


本当にな。


「エンブリオはどうなんだ」


「おれはこの後の授業がありますので、一回家に戻りたいと思いますね。本とかぜんぜん持ってませんでした」


「そかそか」


「それではラファエル・ムジカギルド長、改めて今日は本当にありがとうございました」


「これからもよろしくお願いしますね」


そしてまたくっそ忙しいであろうギルド長は中央堂の方に去ったのである。

庭はまだ昼休みで出回るマギア達でいっぱいなのにな。


「ほなわたしは家帰らずにすぐ鍛錬に行くとするか」


「そうですか。いつもの道じゃないけど、大丈夫でしょうか」


「うむ、たぶんちょっと迷うだろうけど、これも経験だ」


「そか」


エンブリオ少年はちょっと笑う。


そろそろ春が訪れる…にはまだ遠いけど、どんどん和らぐ季節を感じながら、わたしは彼とギルドの門まで行った。


「それでは、授業頑張れよ」


「はい、夕に戻ると思います」


「わかった」


少年は家に戻って、わたしはちょっとの解放感があった。

やはり手草(ジェスチャー)一つでわたしの体ぜんたいをバラバラにできる人に認められるとか、ハラハラドキドキだったのである。

うむ、でも「(アリア)」の人は悪くはない。面白い人だった。

ここのめっちゃ重要な人だから、最善いい関係を維持したいと思うぜ。


それでは、いつもの大門は何処だ。


わたしは勿論、家・川辺・家・川辺だけを繰り返す、これはニートに近いなにかだと自分もちょっと思ったり思ってなかったりする桜のドルイドのステラ・ロサであったが(鍛錬もしてるし、エンブリオ少年の本を読むのも勉強だからニートではない)、

だからこそ、ここからの道はわからないのである。


うむ。家までもどって、また行くか。

でも、それもそれでちょっと逆張りが来るものだ。


「多分こっちなんだ」


もちろんわたしは全然違う方向へと赴いて、


あそこはぜったい行っちゃいけない気がする(多分王宮かそんな感じだ)道を避け、なんとかフィレンツェ城内をぐるぐる回ることになったのだ。


「うむ、これは困った」


となったところ、わたしはそのものを見たのだ。


眼鏡(スフィア・ヴィデーレ)を着けている、大男である。


「あの!そこの大きい人」


そしてそれは、わたしがこの体になってから初めで、自分とエーテルの属性が一致するものに会う瞬間でもあって、

うむ、おかしいな。こいつ夢で見たような気がするぜ。


「なんだ、君は。ドルイドみたいな恰好をして」


これから長々と会うことになる、まだ「錬金術学会」ではない、

「全能」のアルベルト・レグノとのはじめての(ニュー)だったのである。


「わたしは薬師希望のステラ・ロサと言いまして。実は大門までの道を探しているのです」


「そうか。薬師か。だからドルイドみたいな衣服なのか。頭も白くて、白神女(しらかみおんな)みたいな見た目をしてる」


「それはわたしがこどもの頃に診て貰ったドルイドの人がわたしによく言ってくれた言葉です。というか非凡の知識がだいぶありますね」


「そうだ。(わたくし)はアルベルトと言って、エーテルのお仕事も扱う普通の設計者だ」


普通のものは体が非凡(エキストラ・オーディナリー)だったりしません。


「設計者なら、家とか作るんですか?」


「家も作る」


当たったな!まあ、とりあえず…


「あれこれした大門にはどこに行けばいいのでしょうか」


「それはここから東方向にすぐ行くと見えるはずだが、そう言えばその門で私も君を見た覚えがある」


「そうですか」


「頭が珍しい方だからな」


「確かに」


そしてわたしは建物の壁まで行って、先を見たのだ。ぜんぜん道は細くて、わからないのだ。


「わかるかな」


「東がどこかぜんぜんわからない」


「む」


彼は別に困った表情など取ってない。やはり森のおじさんは違うのだ。

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