死の時代は今宵でおしまいだ
こんにちは、こんばんは
ルネサンスのヨーロッパにようこそ。
ちなみにヨーロッパというのは欧州のことで
始の時代の背景は、未来(21世紀)のイタリアでございます。
今は、まだ、そんな国ないけどね。
死の時代
1472年
12月31日
話者切り替えです
黒
天才びりびり少年の心
フィレンツェだ。
そこはまだ、そんなに地獄ではなく
まあ
なあ
おれの名前はエンブリオだ。世界一の天才魔術師になる男なんだけど
今は不本意に死の直前である。
何故なら、いま真っ赤の怪物に攫われて、頭を取られる状況だからだ。
「きみの脳みそが欲しい」
その怪物はおれの首を掴んでいた。
体は真っ赤
身長は150センチくらいだ。
(作家:この時期はまだメートルの概念もキログラムの概念も生まれてないけど、読者に慣れている表記で書きます)
頭は顔が無くて、目と、鼻と、口と、耳と、髪の代わりに
きのこの様な不気味は触手がたくさん。
おれの額と頭左右にその触手を当てて、なにかを調べてる。
手はカニのようにハサミになっていて、まあ、その一つでおれの首を掴んでるということだ。
胴体のうしろには数枚の翼、足も昆虫の様に多数ついていて。
こうやっておれが
真っ暗の周りで、
自分に害を与えているものの見た目を上手く説明することもおかしいかもしれないけれど、これはおれの優れた能力を表す伏線というものだ。
(騎士小説を好む、今現代(15世紀)の読者の諸君は馴染んでいると思う。
人物の優れた特性を説明するための、前振りである。
何を隠そう、おれも、そういう騎士小説は大好物なのだ)
「ふん、でもおかしいことだ。たぶんこの星の民はエーテルの適性がそんなに高くなかった筈で
一部、高知能の個体の脳みそ、
型物理性の恩寵を受けているものを取って
鋼の瓶に入れるだけで我らの力は増すはずなのに。
なんか違うな。
なにかが違う。
というか、今何年だ?」
怪物はよくわからない言葉を言う
独り言をずっと喋っているのであった。
「ちなみに今は1472年だね」
口が滑ってしまうのは、おれの数少ない欠点だ。