成長背景
「わたくしやエンブリオ少年みたいに、別に魔術師の家系で生まれてない人もおおい。
このギルドやヨーロッパぜんたいに多いけど、でも、「水」と「土」のその二人はもともと魔術に芸がある家だったのです。二人はギルドに入る前からの知り合い。
そして、水の堂のガブリエラの家は塩や海上貿易よりは農園より。それによって、幼い頃から慣れていたから、彼女は葡萄の栽培を好むという事です」
「そうなんですね」
わたしは一応桜のドルイドというわたしにしか意味を持たない意味不明の自称を付けて、「深紅の悪魔」という怪物を狩る行動を取る人だけど、その行動の根本には父が狩り人だったのが結構大きい。
そういうのは「そんな個人が生き残った」ともちょっと違って、「それが慣れている家で育った」だから、仕方なく慣れるようになるのだ。
「その好みと彼女の圧倒的なマギアの才能、ここフィレンツェあたりの物流が上手く働いて、最近教皇庁のものにも「あのワインは天才的でした」と評価が帰ってくるくらいだった」
「凄い」
そしてこの世界の論理は大体なんとか戦争やなんとか戦争の中で、国があって税金があってそれぞれの社会が山と草原をなぞって作られているだけなので、この中心で自分の家のものと自分のものを調合して、10歳からその才を光らせているのはすごい事であった。しかもだ。
「もちろんワインだけでは無くて、塩と貿易のお仕事などなども海や山くらいあるのです」
うむ。エンブリオ少年がいう通りに、「水の堂」のお仕事もクッソ多いという事だ。
専門の魔術師と職員が多いだろうけど、堂の長はそれぞれの全部を、なんとか上手くまとめる役の筈。
「そうだな。それを10歳がやるのは、本当に才能ですね。背ぇ伸びないのではないでしょうか」
「それはわたくしもわかりませんね。確かにそうだ。成人になってないマギアは仕事の量を考えるべき」
たぶんラファエラ氏は「わたくしはできるからお前たちもできる筈だ」のタイプの人だろうけど、その中ではシステマが効率的に動くために必要な経費もあるのもわかるはずだ。つまり、もう顧慮されていて別に問題はないと思うけど。この会話自体がただわたしに「4の堂」がどんなに凄いかを説明して、わたしは驚嘆しながら喋って、互い好感度をあげるためだけのものである。
「そんな話をしていたら、汁をぜんぶ飲んじゃいました」
本当に美味しかった。
「良かったらあとでワインもどうぞ」
「へえ、機会があったら、ぜひ飲んでみたいです」
食べ物はまだパンもスープも残ってたので、正直うますぎてなんも考えずに食べたのである。
「うむ、結構いい食べっぷりだ」
「「白い子」は内臓も弱いから、こどもの頃はあまり食べれなくて。父に「おまえそんじゃデカくならないぞ」と言われました。たけど、色々あって、今のわたしは健康体で、美味しく食べれるようになったのです」
「そうですか。成長の背景で慣れたものが変わったりもしますね」
「きっかけというものも、世の中にはちゃんとあるみたいですね」
「確かにそうだ」
このラファエル・ムジカ、魔術ギルド長さえ、子供の頃に助けて貰ったドルイド(らしい人)がきっかけで、今のこの組織の長になっているくらいだからな。
わたしはドルイドか「悪魔」ハンターか薬師か自分もよくわからないステラ・ロサさんの人生を続く、魔術ギルドを治める人などよりはぜんぜん小さい、夜を歩くただ一人の旅人だろうけど、その日常は確かに「フィレンツェのクララ、1462年生まれ。1472年文字にならず命を落とした」ちゃんにはなかったものである。
そのきっかけはデカく言うと、昨年、夜空から来ている流れ星そのものだったのだ。




