ドラゴンは本当にいたんだ!!!
「まあ、わたしも生まれてからずっとドルイドだったわけじゃなくて
国に属してない村の娘だったけど
狩り人の娘だったけど」
「はい」
「ドルイドさんに助けてもらったり、御伽噺を聞いたりするうちに、魔法生物がそんなに多いとは聞いてない」
「そうですね。そんなにはないです。
この世は魔力が満ち溢れたりしてないからですね。」
「魔力ね。エーテルと同じか」
「そう。エーテルが空と、息の中でめちゃくちゃ多いと、その中で生まれる生き物とか、
育つ草木とかも、エーテルを強く持つようになると聞きますが、普通は普通に弱いんです。
そういう、少し魔力を持っている植物を食べて、動物を食べて、大きくなって長生きした個体が、いわゆる伝説のドラゴンとかになって、退治されたりしました。」
「ドラゴン本当にいたのか???」
「いますよ、いたんですが、実在した騎士団の討伐で倒されで、武具の素材になりました。
そして、たぶん同じ仕組みで何匹も生まれる。」
正直、少年の趣味の騎士小説とやらと、子供の頃のドルイドのばあちゃんの話は、ジャンル違いがひどくて、これは同じ世界であってるのか、疑問があったけど、
それは国の制度内を動くか、自由に(逆に言うと、安定がなく)旅するかの違いだったらしい。
国単位の大人数で話題になっている化け物を遠い地方から遠征して討伐する事と、人気が無い森と山を通りながら生活する事の違いだ。
わたしが子供の頃、聞いた話は、どっかの洞窟にドラゴンが飛んで降りる事をみたとか、宝物があるらしいけど、接近するだけでやばいというそんな感じだった。倒すなど。
「ドラゴンは…ちょっといいな。」
「かっこいいですね。でもちゃんと邪悪でもある。
自分の体に合う魔力を増しているドラゴンは頭もいいのです。
先の「悪魔」みたいにペラペラ喋ったりもします。
まあ、どっかには本当にすべての挑戦を打ち破って今も生きている老獪な大魔術師ドラゴンとかもいるかもしれないけど
基本的には魔術ギルドではドラゴンは魔力で成長したトカゲの種類だと思っています。」
「それはちょっと夢がないな」
「まあ、理系ですもの」
少年はわからないことを言った。
「理系?」
「なんで火が燃えるのか、水が汚くなる仕組みはなんで、逆に綺麗にするための方法はなんなのか、
長い魔術史の中で編み上げた理の学びなんです。」
「それは、物語よりは、賢者のやり方だな」
「賢者ってなんです」
「ドルイドの超強いバージョンみたいなもんだ」
「そうですか」




