家をつくるもの
「そして、非凡のもの。
世界には色々のものが居て、でも、御伽噺に登場する存在は無い事前提が多い。「妖精」や「精霊」、そしてその長など。だから非凡だ。
それにしても、実は「森のおじさん」とかが居て、ここフィレンツェで人間のフリをして建築のお仕事をやっているんだよ」
もちろん眼鏡兄ちゃんについて今思いついた事だ。
ドラゴンも居たんだ。森のおじさんくらいいてもおかしくないだろう。
そして、エンブリオ少年はそんな戯言も付き合ってくれるのだ。
「ふむ。「森のおじさん」か。魔法生物なら寿命も長いだろうし、もともと「木」に関わる非凡だから、息のように木属性のエーテルが扱える。
そのおじさんが今見つかった。なら、
堅実に名前とチカラを得て、建物のお仕事をしている人ですね」
「まじめだな」
「ドルイドさんの言葉で推測するとですね」
「ふつうに考えるとそうだよ。ふつうではなく、非凡に関する題だけど」
考えてみればここは一番イケてる都市、フィレンツェだ。非凡のチカラがわかる人がいくら行き来してもおかしくない都市なのだ。非凡がいてもおかしくない都市なのだ。
「はい。この都市はデカいから」
そして、そんな非凡は、互いに触れずに頑張って生きるのがいいだろう。
「でも、いったん言ってみたけど、わたしは同じ非凡だから見分ける事ができたという事で、「こいつ化け物です!」とか、通報などはしたくない。下手をしたら、わたしにもその仕返しが来るだろうから。「てめえ、許さない」とか「どうやって分かった?」になるだろうから。
桜のドルイド、いや、桜の薬師希望のステラ・ロサさんは、いったんわたしをわたしだと思うこの人格は「クララ」だとしても、非凡の子なのだよ」
「そうですね。おれはもちろん教皇庁に通報するとか全然思ってなかったけど、間接的にギルドの人々に調べようとしたけど、それもやめた方がいいですかね」
「うん。調べようとする行動はもちろん、そんな考え方自体が普段の思いに影響を及ぶんだ。関わろうとする考えもしない方がいい」
「はい」
「それがいいだろう。
ふうん、それはさておき、そんな人が作る木材の構造は、それ自体が「土の魔術で強化した石壁」みたいに、優れて固い家になるのかな」
「そうですね。ドルイドみたいなマギアなら「植物の生命力を操る」方向性で、草木の成長に関わるだろうけど、木属性のアルマなら、どうだろう。
ふむ、素材の洗練と結合の過程でその技の真価が発揮されるでしょう」
「目的性は、「丈夫」「燃えにくい」「水が弾く」「腐りにくい」などになるか」
いいな。木の力仕事に優れた人が作った家とか、住んでみたいな。
「まあ、だいたいのフィレンツェの家は石材ですけど」
「確かに。わたしは木材の家が慣れてた。窓や門しか仕事がないかもしれない」
クララの時に森に住んでいたから。でも、正にこの家がその、石でできてる部屋だった。そうだ。普通、都市の家は石材なんだ。なら、家作る人ではないか。
「家具職人の可能性もありますね」
「家具か、確かに。いい木材が扱えると、椅子とか机とかいっぱい作れるだろうから。その、クロマ・デュラに至るものが作られる」
少年が言った「美的置物」とは、作った結果、見た人に凄い感覚を感じされるようになった物を言う。なんでもいいらしい。
「はい、「美的置物」。凄く優れた職人の家具は、そのまま貴族や王様用の置物になりますから。そして、置物だと言っても、綺麗な建物もあれに該当するんですね。お城の部屋とか、教会の聖堂とか」
「範囲広いな」
「まあ、作業の結果で固く残るものは平凡も非凡も問わず全部入りますから。服や装飾品もそうです」
「そうなんだ」
わたしは使った事はもちろん、見たこともないけれど、めっちゃ高級のものは見て使うだけで気持ちがよくなるものなんだ。それもそれでエーテルの術の結果では無いとしても、見るものにチカラを与える素晴らしいものだろう。なら、それもそれで、色の素材になるかも知れないのだ。
そこで、ブイオ様が喋った。
「あの聖堂見ただろう。あんなものを見ることを言うんじゃないか」
「あ、そういうのもクロマ・デュラなんだ」
「そうですね」
暗くて形だけわかったけど、綺麗で規則がある感じの建物だった。確かに、わたしには「深紅の悪魔」としての他の記憶がいっぱいあるとしても、「石の建物」の一番最初の刺激がその聖堂だったな。




