呪術の練習はどうするべきか
「でも、けっこう効果的かもしれませんね。うん―でも、もともと「木」の目的性がわかりませんね」
「あ、それはちゃんと考えた。「草木の生命力を操る」だ」
「そうだったのか」
「ピンとくるからたぶん合ってる」
「はい、それが属性だ」
それはわたしもこのものに偉そうに言った言葉だ。
朝に最強無敵の気分になって、色が見えると、それが色なのだ。
「だから、「木のエーテル」を投げて。それに当たったものの気力をちょっと奪うくらいはエーテルの素材的にあまり問題ないと思ったよ。花粉とか、樹液のねちゃねちゃとか、棘とかあるだろう」
「うん、ちゃんと植物ですね」
「そして、きみが推してる「炎矢」みたいなカタチの方向と順番は、推進力がないからやめた。これは属性の差がでかいと感じた」
「そうですね。へえ、ちゃんと魔術理論だ!おもろ。「火」は弾いて飛ぶとか燃えて浮くなどがそのまんま属性の目的性なので、術師のイドやスフィアから離れてもけっこう伸ばせる」
「うん。そして「湖につかう水の術」や「地面につかう土の術」や「強風を背負ってつかう風の術」などはちゃんとスフィアが伸ばせる媒介があるけど、「木」を飛ばすとなんかないんだ」
「林でつかうと良いと」
「それはまあ、ちょっと強いと思うよ。春になると なおさらだ」
「あー真冬だ」
「そうだよ」
「ふむふむ。それでは、「木の球」をどう投げるんですか」
「杖を振ることにした。たぶんまだ練習が要る」
「ふむ」
「わたしは父が狩り人だったからな。きみが好む剣や、平凡の弓矢みたいな技術いっぱい要るブキは見たこともない。慣れてないから、枝振るうのはわかるのだ。そして、振ると、先端のものは飛ぶんだな」
「なるほど。そして「宝石の部分」からもともとそのタイミングに合ってエーテルの塊が出ると言う」
「そうだ。それが「花びら突風」だ」
「ふむ」
「もちろんきみから褒めてもらってめっちゃ気持ちよかった「香りの呪術」とかも、塊に混ぜるとより良いんじゃないかも思ってみたけど、それは複雑すぎる」
「そうですね。もともとアルス・マギアを二重三重重ねて出せるのが化け物なんです」
「そうなんだよな」
「へー面白い。おれは今「マジで魔法生物の知性を持ってしまった天性少年」になっちゃったので」
「そんな話あったな」
「四属性の、おれが触れる魔術はけっこう頭では理解できました。実践はぜんぜん違うけど。だからドルイドの呪術…ドルイドさんの新技とか聞くと楽しいな」
「そうかそうか」
「ふん、やはり振って投げるのは筋力が要るから、それはちょっとマギアだけではないですね」
「そうだ。それはちょっと改善したいとわたしも思ってる」
「まあ、おれたちの人生は長くしたいから、これから改善するといいのです。たぶんドルイドさんの記憶も「欠片」を集めるうちにちゃんと埋められるでしょう」
「そう。本筋とでかい形相はわかる気がするけど、些細なことはぜんぜん覚えてないのだ」
「それは記憶の構造がそうだとしても、やはり「深紅の悪魔」の仕組みって、不思議ですね」




