朝の授業は眠くて昼の授業は気絶して午後の授業は辛い
「までがぜんぜん適当に言った話題で、女のこととか考えてるな!でもまあ、面白いから乗ろう!」
言わないで欲しい。
というか、なんでわかるのかな。ガブリエル教授みたいに、なにかの術があるみたいだ。
「いや、ぜんぜんそんな不謹慎なことなど一切」
「分かった。ともかく、「先絵」も呪文も熟してるものなら、慣れてる属性の廻を認識して、ちょっと自由に干渉することもできる。こんな感じだね!」
ミカエルさんは手から人差し指を残して、そこから火種を起こして、それを回して、逆に回転して、消した。
そうだ。魔力も自分のもの、「堂」は色んな魔術は張られていて、貼られていて干渉される、エセンピも魔法陣もないのに、「非凡」のものでもないのに、なんか「火」のエーテルの操作をするのだ、この教授は。
おれ含めてせんせいを尊敬するものたちから、仕方なく歓声があがった。仕方ないのである。たぶん600年後に見てもかっこいいだろう。
「止せ!」
ミカエルさんは反対側の手で声を治めた。馴れ馴れしいのである。
もとの性格か、壊れた心の影響か、ちょっと周りの反応を楽しむ傾向があるので、もちろん反応をわかってやってるのである。生徒たちもだいたいわかってるのではないかな。
「まあ、俺みたいに戦場に慣れ過ぎるとこうなるんだけど。ここのみんなが知るように、感じるように、これは簡単ではなくて。今回のコースからそんなに離れない範囲で追加説明を入れると」
そして13才の年で、ちゃんと講義もやるのだ。おれはぜったいできないと思う。どっちかのお仕事で精一杯だ多分。
「❶陣の基本の目的は言ったよな?呪文が使えない時の保険みたいな役割もある!❷目的性と方向と程をキッチリ認識するのも、ふだんはわからないから、みんなエセンピが同じなのだ。❸これを全部自分の頭の中で行うと同時に、自分の魔力をちょっと変換して、「火」のものに変えるのね」
ふん、人の体でなんでこういう事ができるのか?マジであり得ないのだ(2年間見てるけど)
「そしてこういうのがもっと自在になると、「防火」あるよね、「はい、知ってまーすよね」」
「はーい」
「もともとは「燃える」素材の方向性を変えて燃焼の被害を防ぐのがいちばんいい方法だが、「燃えると言う思想自体」を止めるとか、逆に巻くこともできるのではないか。それが、先この不謹慎ちゃんが喋った戯言だよ」
「きっとせんせいはできます!」
ふん、いいなりにはならん。
「ありがとな!まあ、できないです。普通に。だから、基本的に「放火」や「防火」両方、「燃料」と、方向を…」
そこからは流石に頭の中で再生できる内容だったので、おれはまたドルイドさんの指の感触とか頭の中で思い出して、記憶の確率密度を増やしていた。
ふん、「木」のエーテルだけでは説明ができなくて、適当に「小っちゃいドルイドさんの粒です」とか言っちゃったんだけど。魔術的根拠がまったくない。
本当におれの一生を使って、ついでに研究したくなる相方さんなのだ。
「うん!なんかまた心が逃亡してる生徒がエンブリオ少年以外にも増えていて、そろそろ昼飯の時間なので、話は後だ!この次は実験だよ」
つまり、ミカエル教授の授業はこれがだいたい終わりで、ここはその以外のせんせいもいっぱいなので、魔術実験やテストや資料の区分、保存、管理などの番組がある。
今日も生き残ったせんせいが見れてよかった。




