おれは本格的に俺強い系のフリをする事にした。
おれの名前はエンブリオだ。8才だ。
ここ、フィレンツェは故郷では無くて、おれは北の方からなんとか戦争の中で流れて来ちゃった平凡の男なんだけど
そうだ。おれとそんなに歳が離れてない「炎」の魔術師から、群れが命を助けられることになって
流れて流れて来て、魔術ギルドの長、「轟のラファエル」に拾われたのが2年前。家族は無い。
2年間、ちょっと調べたんだけど、その命の恩人は聡明な読者の諸君はわかると思うけど、その時たぶん11歳の、今は「火の堂」を治めている超々天才の「火」属性の魔術師、ミカエルせんせいである。
「その言葉はうれしい」とか、もう感謝も伝えた。感想も聞いた。(おれみたいな性格のものは、とりあえずきもちを伝えるくらいの才はある方だ。伝えないまま離れたり、死んだりすると惜しいじゃないか。それよりはマシだと思う)
もちろんおれはその前に「騎士小説」などろくに読める環境ではなかったので、順番は、ミカエルさんに助けられました。それが刻印効果が強くて、憧れになりました。2年くらいの授業と鍛錬と共に騎士小説のオタク活動が癒しでした。そんな過程だ。その物語性は今のおれを作っていると思う。最小、20%くらいは成ってるのではないだろうか。
だからその夜の、聖堂を通る時とはあまり関係ない過去だ。ただ、なんか今年は有名は建築者が死んだとか、聞いたことあるな。性格が炎みたいな人だったらしい、とか考えたと覚えてる。
そういう美的置物の事は、非凡の技術を扱うのがメインの仕事である魔術ギルドはどうでもいいことで、もちろん「中央堂」の仕事になるとぜんぜん関係あるますけれど、おれは見習いだ。ギルドと家の移動経路に適切に見えたり見えなかったりするあの聖堂を見ただけ。あれを設計して作った人か?とか思えるくらいは近い情報だったということだ。「炎」みたいな性格?ならミカエルさんみたいな?どんな人だったのかな?などなどをちょっと思いながら、あれこれあって。
大変な事件を通って。
今はたぶんこの人、おれの一生の恋人になるであろう、と思われる理想の女性ができた。
スキップしすぎた!と、おれの物語を読む読者さんは必ず思うと思うが、まあ、おれはその人、ステラ・ロサさんの話をするのが好きだ。野郎の過去より、華やかな女性の現在がぜんぜん興味湧くじゃないか。最小、おれはそうだ。多分おれという人間は騎士ではなく魔術師としての適性を持って生まれているけれど、心的には姫様の騎士みたいな感覚をずっと持ちながら生きるしかないと感じるので(ステラさんによると、そんな感覚で生きる男子が適切に子供を残しているのが今の現代だから、自然なことだらしい。なんと、おれのための気遣いまで。つまり、ステラさんもおれの事がめっちゃ好きである。相思相愛だ!!!)
昨夜は、一回寝て起きてまた寝る時に、「その人は目を覚ましたら、もう去ってるのだろうか」とか思ったらマジで不安で寝つきが悪くて、
やべえな、一回寝てたな確かに!とか思いながら、小さいのに睡眠のパターンが相当終わってる自分をちょっと攻めながら、とりあえず眠かったので寝てはいたおれは
「起きて」
というお声様と共に、なんかほっぺ触られて意識を戻すことになったのだ。
「ドルイドさん」
「ふん、遅刻するのではないか心配で起こしてみた。大丈夫か?」
おれはふつうに今の季節の明るさで時間をわかるような気味悪い記憶力は持っていたので
「ちょうどいい感じですね。お陰様で間に合いそうだ」
とか平然と言った。
「それは良かったな」
おう、マジで体がだるい。最近何日、ずっとドルイドさんの事が心配で、ドルイドさんとの出会いで自分の心が変になってるモヤモヤと、自分の知識が変に発達してしまった事の不安が重なった疲労だった。
だから昨日の午後、爆睡したけど、また寝たのだ。まあ、おれは小さいからそれが良いか。
「最近のおれの授業は「火」を主にしてですね。他の属性もぜんぶなんとか合わせてますが、火属性はちょっと憧れちゃうので、遅刻はしたくない」
「そうだな。「炎矢」とかあるもんな」
「はい、おれはその魔術のお蔭で助かったことがあるのです」
「ほ、それは初耳だ。なんかギルドに拾われたと言ったのがその過程か」
「はい」
「そうなんだ」
ドルイドさんはちょっと笑った。めっちゃかわいい。




