白い恋人(フィリア・エクス・ルミナス)
「すなわち、あれですか?魔力適性の代わりに、気力適性の素質だったのか!」
「いや、違うし。」
「正直、ドルイドさんが喋るとそれで終わりなので、当ててみます」
ノリノリであった。
「ふん、やってみろ」
わたしは腕を組んで壁を背にする。
なんか首が痒いな。
「父が狩り人だと言いまして、ドルイドなのに「叩く」から入った時点で、素質が「気力」の系統である可能性は結構高い」
「なに!?」
「どうみても力仕事でしょう。発想が」
それはそうだった。
「いや、今まで同然すぎてぜんぜん考えなかったわ」
「うむ、まあ、「騎士小説」みたいに、気力の大技を使うとかでもないから、ちょっと違いますけど
そして、体が丈夫なわけでもない。「白い子」なんですね。なるほど。」
「そうね。そして、その知識は「白神女」の調査の過程で見たな?」
ちょっと心の言葉当ててみる反撃をやってみた。
「そうですね
なら、人の時よりデカくなった。そして「深紅の悪魔」とほぼ同じサイズ。
なるほど、「深紅の悪魔の質量が人間の形になる」過程でしたね」
「なに!?」
「違いますか?」
「わたしは、何回も言った「森の姫様」の夢を叶うために、この姿をつよく望んだ(ウルト)のだ」
「まあ、大技の目的性や精度などには確かに祈りの切実さは大事ですけど。
だから今の姿になったのは概ね正しい。
でも、ない質量がどっから出て来るわけではないです。「深紅の悪魔が今の大きさだから、それに合わせてデカくなった」です」
「いや!!!断じて違う!」
それは流石に主人公の威信に関わることだ。
「なら術を施した本人に聞きましょう。おれはもう「共犯」なんですが、どうでしょう」
そして、わたしのダークグリーンのマントは、勝手に喋りだした。
「うん、実はわたくしもいつ気付くか楽しみにしたけれど、こうしてきみが先に当てるとは。
影が薄い影影の狼のブイオだ。「狼の星」だ」
「エンブリオ少年です。一応「火」属性の見習い魔術師です。よろしくお願いいたします。
いったん思い込んだ事を疑えないのは、もともと影に混ざるものの性だから、仕方ないんです」
「そうか」
「その分、思い込んだ目的性が強いから。尖ってるから」
「そうだ。「非凡」として、けっこうの利点なんだね。」
「わたしが主人公だぞ!!!」
いったん狼と少年の会話にちょっかいを出してみた。実はそんなに怒ったりしてない。
「そうですね。おれの一生の主人公ですよ、ドルイドさんは」
そしてエンブリオ少年はなんかめっちゃいい笑顔をするのだ。
「ステラ・ロサくん、こいつ中々おかしいぞ」
「まあ、鏡を見る気分になりますね。わたしも、ブイオさまも。
「魔術ギルド」との縁も、フィレンツェの正規的な仕事も必要だったんです。長く「欠片」集めることも含めて」
「とりあえず、あれは終わりましたね。「10才なのにデカかった理由」
あーすっきりした」
少年はムカつく仕草を取った。
「大嫌いだ」
「あはは」
こうして、地味に、黒い狼、ブイオは初めて人の子と言葉を交わすことになったのだ。
今は、この出来事が、あんな惨劇に全力疾走するきっかけになるとは…わたし含めて、ここの誰しもが思ってもしなかったのだ。
「不穏なナレーションはやめろ」
「あ、やはり「気の通路」が反対だったんだ」
「あ―――――――!!!!」
どうしよう。この空間がめっちゃ楽しい。




