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門出

作者: 武田道子
掲載日:2020/11/01

門出




人生の帆先が変わると

誰もそれを変えることはできない

帆先に導かれ 腹を括り

遠のいて行く昨日と呼ばれる岸辺を横目に

明けきれない夜明けの薄明かりの中

私はもうすでに知っている

それが「門出」とよばれて

祝われることを




誰も止めることもできないし

止められても引き返す道は

後から後から かかとの後ろで消えていく

もうすでに漕ぎ出した船は

帆をいっぱいに張っているわけではないし

他のどんな速く移動させてくれる乗り物でもない

風のようでもあり 光のようでもあり

見送られ たくさんの花をもらって

祝われる「門出」




手放しで泣き続ける子供のように

大粒の雨が大きくなる水たまりをかき混ぜる

喜びの「門出」

なのにどうして雨はこんなに降り続き

光は夢のようにかき消されてしまったのだろう

見送る者が決して入ることのできない門の前

門出はどしゃ降りに打ちひしがれ

ずぶ濡れになって門をくぐる


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