大魔術師アルゴ誕生?1
「あー、そういや<ロイヤル>ってエルフだったな。そりゃあ義妹の魔術教育にはうるさくなるか」
アルゴに相談されて、掌砲長が腕を組む。
「それで単杖が必要なんだぬ。魔術師は何人か殺したことがあるから、魔術を使うときになんか木の棒? を振るのは知ってるぬ。あれが欲しいぬ」
「錬金術師として他人のことは言えないが、魔術への認識が雑すぎないか?」
「木の棒だったらこの前もらった釣り竿がよかったぬ。あれで杖を作ったら振りやすそうだぬ」
「魔杖ってどうやって作るんだったかな。
まあいいか。魔杖に使う魔木は高価だが、端材を集めるだけなら買うより安く済むだろうし」
「端材って、どうやって杖にするぬ?」
「接着剤でくっつければいい。
鉱山労働者組合には虫人がたくさん所属してる。蜘蛛糸や蜂の巣に使われる特殊な接着剤が使い放題だ。
高級魔木っていったってようは魔力の通る木の棒ならなんでも大丈夫だろ、多分。
魔術を阻害しないやつを適当に見繕って頼んでおく」
「素材だけ渡されても困るぬ」
「いやアルゴ、ちょっと前に、木工パズルか何か組んでただろ。魔木組んで魔力を込めれば杖になるんじゃないか?
作り方くらい<ロイヤル>が知ってるだろう。まあ、わからなきゃ魔術師から適当に製造方法を買収するとかな」
「たしかに『趣味』でやったぬ。パズルと木工細工、別々だけれどぬ」
アルゴは納得していない様子ではあったが、ともかくといった様子でうなずく。
「まあやるだけやってみるかぬ」
「バルサ材の合板ってわかるか? 空母平屋でも使ってるやつ。あんな感じだ。
いまの新浜市は大工で溢れかえってるから、適当に声かければ詳しいやつが捕まるだろ。
あとはそうだな、魔術と相性悪そうだが、強度を出すのにアルミでも使うか?
そういやそもそも乗員に魔術教育がしたいって最初に言い出したのはフーカだったな。
備品として単杖が欲しいって言ってたか。
値段がするから優先は低いってことになってたが、安く作れたら30本くらいまとめて用意するか」




