空襲被害後の御前会議 / 聖竜教会がわの主張などなど
まとめると、今回の空襲について、聖竜教会の主張は以下の通り。
- 聖竜教会および中央竜皇国(以下竜皇国)はイリス漁業連合を攻撃していない
- 攻撃した竜は謎の勢力のものである。停戦交渉と避難と損害賠償は竜皇国ではなくソイツらを探して請求しろ
- すべての竜を管理している聖竜教会にも正体はわからないなぁ
- 被害に哀悼の意を表するものである(特に何もしないよ)
- ところで身元不明の竜たちはわれわれの信仰対象でありこちらで手厚く葬るので騎手ごと遺体を『返送』願う
- というか絶対送ってこいよな命令だぞ
- ぜんぜん本件と関係ないけど来年の飛行機大会へのエントリを認める。言ってくるのが1年おせーんだよ
「って感じです」
レインはめちゃくちゃわかりやすく要約してくれたようなのだが、正直よくわからなかった。
掌砲長はわかりやすく不機嫌そうにしていた。
「ことごとく足蹴かつバカにされてるのはわかった。ヨナはわかったか?」
「うーん、言われてみれば、そんなような気も」
首を傾げる私に、掌砲長はわかりやすくまとめてくれる。
「謝らないし仲直りはしないし1円も払うつもりはないが、来年までは再侵攻しないよ、ってことだそうだ」
「じゃあ解決ね」
「何も解決して無ぇ」
「だって『平和とは戦争と戦争の間にある準備期間』って、このまえフーカが言ってたから!」
「1年しかない侵攻停止を平和とは言わない。というかその格言はヨナの記憶由来の知識だ。間違ってるし」
そうだったのか。
ともかく、イリス漁業連合としては1年のあやふやな停戦を得るために、この主張をいったんぜんぶ飲むしかない立場。
「確約ももらってませんしね。そもそも、国と教会相手に商会が結ぶ停戦協定っていうのもよくわかりませんが」
それは本当にそう。
「別に世を乱して国盗りとか世界支配とかしようとしているわけではないのに、平和に商売しようとするだけで平和が遠ざかっていくわね」
フーカがぼそりと言った。
「漁船と言い張って戦艦作ってる人物の言葉には、ばつぐんに説得力があるわね」




