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錬金術師の電気釜1

試作電熱炉の壺は、ヒトの大人がすっぽり入って余裕のあるサイズ。


「ヨナ、やってくれ」

「じゃあ電気流すわね」


港湾に着岸している古代戦艦イリスヨナの開いたハッチから、太いケーブルの束が丘の向こうまで伸びている。

艦内の接点にケーブルの端が締め付け固定されていた。


イリスヨナから警笛を響かせてから、電流を流す。

しばらく待つと、壺の周辺の空気が熱で歪む。


「材料を入れてくれ」

「へいお嬢。おいお前ら!」


周囲の工員たちが、慣れた手つきで壺の中へ鉄片を放り込んでいく。

たちまち赤熱し、チョコレートが溶けるように硬い鉄が液体になる。


「実際1人くらいなら余裕で溶かせる熱量があるぞ」

「怖っ!」


掌砲長に脅された気分。


「始めるぞ」


掌砲長の目の前には平らにした砂場。


掌砲長が魔力をこめるとたちまち細い溝が掘られていく。

上からは見えないが溝は地中へも伸びている。


「よし、流し込め」


工員たちは恐れを見せずに電気釜を傾けていく。


「「「せーの!」」」


大柄な男たちが群がる絵面とは逆に、繊細で正確な等量の流し込み。

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本作に登場する架空艦『古代戦艦イリスヨナ』を立体化! 筆者自身により手ずからデザインされた船体モデルを、デイジィ・ベルより『古代戦艦イリスヨナ』設定検証用模型として発売中です。
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