イリス漁業連合、陸運班の出撃
「今回の作戦目的はレヴァ隊の出迎えです。
また、エーリカ様の部隊が避難民を救助する道ゆきが一致していますので、途中で食料などを提供する商業活動を行います」
スイが出発前に軽く目的の再確認を行う。
戦闘は目的ではないし、エーリカ嬢の部隊に任せるのが理想だ。
とはいえ、列車砲の工兵とその護衛隊という貧弱な構成で、敵支配域を歩いて通るのは無理があるので、戦闘は避けられないだろう。
「地上では艦隊の支援がありませんので、いつもより周囲に気を配ってください。
道中には敵兵が跋扈していますが、彼らは戦闘の専門家で、私たちはただの商隊です。
不要な交戦はできるだけさけてください」
終わるとすぐに出発。
最先任が車両班を統括する。
「乗車! 乗客はつづけて持ち場についてくれ」
イノ車、アヤ車を中央に置き、3台の牽引車が台車をひいて弾薬燃料食料天幕ほかを運ぶ。
徒歩もいるが、ほとんどは台車に乗ったり車体横にひっついたりで移動。
スイが猪熊戦車の運転手ハッチから顔を出す。
「騎士団のみなさんも護衛よろしくおねがいします」
「任せてください」
斥候はもちろん我々ではなく、軍事の専門家であるエーリカ嬢の部隊が行う。
魔術がないため戦車装甲が相対的に硬い、ヨナの世界ですら戦車を先頭で盾にするのではなく、斥候に先行させて露払いしたという。
魔力で強化されていない装甲は場合によっては紙のようなものなので、隊列の前や後ろに無防備に置けない。
移動砲台のようなもので、列車砲に運用は近い。
まあ、その列車砲が警護なしに敵勢力圏内を動かざるおえなかったのが、この作戦のきっかけのひとつではある。
「ではフーカ、いってきます」
「いってらっしゃい」




