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古代戦艦の遺構の盾 / VS側面砲列<ガレオン>の古代戦艦2

スイとフーカを迎えに行くため、古代戦艦の墓所へ大河を遡上。


母港を出発した人造艦船『択捉』と古代戦艦イリスヨナは、墓所近くの河川域で、側面砲列(ガレオン)型の古代戦艦2隻と遭遇。

うち1隻と戦闘になり、イリスヨナの魚雷攻撃でこれを撃破。


残った1隻は、戦闘中も終了後もまったく動かず。


動作の不安定な古代戦艦のこと、機関不調ということも考えられるが。

そうであったとしても、高いマストの上にある監視台も動きなし、浮足立つ様子もないというのはおかしい。


掌砲長が目を細める。


「それに、どうして単艦なんだ? 対艦戦闘に向かないのは明らかだろう」

「いや強いのよ。接近すれば片舷の14砲門で飽和攻撃。たいていの古代戦艦は1撃で沈むわ」

「でも近づけないだろ。とくに単艦では。

沈めた1隻は河川上、ど真ん中に静止して浮かんでたんだぞ」

「地上兵の近接を避けるため岸から離れる。教科書通りじゃない。

フーカがおなざりに褒めたあと滅茶苦茶にナジり倒すところね」


古代戦艦の一般的な運用として、戦地では可能なかぎり岸に近づかない。

陸戦兵種にとりつかれて、船へ踏み込まれたら対処しようがないからだ。


しかし、ガレオン船は射程の短さから通常距離での対艦戦闘に弱い。


「古代戦艦の運用に、教科書なんてないみたいだけれど。

セオリー通りしただけの古代戦艦は即座に殲滅。

しかし地の利を理解しているもう1隻には手出しできず、という状況ね」


単艦では、リスクはあっても身を隠せる物陰が多い陸の近くに陣取るのが正解だ。

そして残ったもう1隻はそうしている。


「しかも盾にしているのはすべて古代戦艦の残骸。

魚雷で破壊はできるけれど、数も強度もあるから厄介。

せっかくの興味深い光景だけれど、観光って状況ではないわね」

「それこそ1戦やっておいて今更だな」


ガレオン船が盾にしているのは、古代戦艦の墓所の遺構そのもの。


船体を寄せている陸は、岸から突き出す構造物までが、すべて古代戦艦と同じ材質。

川面には突き立つ超大型の古代戦艦群。


「超大型の巨人が古代戦艦で田植えをしたらああなるのかしら」

「フーカに聞いてみたらいい」


確かに。


遺構は河川周辺だけではない。

陸の上には、整然と並べられたウォーターラインの古代戦艦群。

途中から子供のおもちゃ箱もかくやという積み上げられた丘になっている。


遺構の周囲を囲む建築物も、サイズ比率がおかしい。

古代戦艦の窓・ハッチ・アンテナ・ケーブルに計器を溶かして貼り合わされたような立体の造形物。

斜塔の代わりに古代戦艦が天を仰ぎ、神殿を支えている柱は魚雷。


すべてが古代戦艦由来のもので出来ている、まさしく古代戦艦パンク文明。


船への過ぎたる偏執的信仰心が具象化した建築意匠と見るか。

あるいは、有り余るありものを部品に使っただけの実利一辺倒の光景ととるべきかは、微妙なところだ。


「こちらから信号弾と発光信号で呼びかけてみますか?」

「そうするしかないかしら。目の前で1戦やって、さすがにまだこちらが見えてないってことはないでしょうし。

相手から撃ってくる気配はないとはいえ、このままでは敵味方の識別もできないものね」


しかし、この状況で敵対すると膠着状態だ。

遠距離からの魚雷攻撃に向かない状況。接近すればガレオンの砲火にさらされる。


旗色のはっきりしない古代戦艦がすぐそこにある状況で、スイとフーカを回収しに行くか判断が難しい。

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本作に登場する架空艦『古代戦艦イリスヨナ』を立体化! 筆者自身により手ずからデザインされた船体モデルを、デイジィ・ベルより『古代戦艦イリスヨナ』設定検証用模型として発売中です。
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