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死体の横で悠長に

「とりあえず、もう出てきたら?」


虚空に向けて話す。

面倒なので、気配を探ったり向き直ったりはしない。


すると気配なく、布で片目を塞いだ少女が唐突に現れる。


「アリスさん! わっ、どうしてここにいるんですか」

「護衛」


短く答えてから付け足した。


「なのです」


レインが暗殺者集団を少部族ごと抱え込んだそうで、アリスはレインの最専属。

ヨナが『忍者だ』って目を丸くしていた。

『伊賀』とか『甲賀』とか、いずれ部隊名かオペレータ名にでも使おうかという話をしている。


ともかくアリスは暗闘部族の構成員として特殊技能だけを鍛え上げた専門家であり、そのため言葉の飾り気は、いわばあと付け。


「アリス、あんただけなのね」

「ヨナの意向。なのです」


なるほど『プライベートには干渉しない主義』とか、いかにもヨナが言いそう。

そのくせ護衛はつけるのだ。

心配だから。

相変わらず矛盾している。

まあいいけれど。


「ともかく、アリスさんもいっしょに、すぐに引き返しましょうよ!」

「それは無理ね」


来た道を戻るなら、今度は上り坂。


「あたしとアリスはともかくスイ、あんたは体力もたないでしょ」

「確かに歩くのも厳しいくらい足がガタガタですが」


あたしならスイを抱えて走破もできなくはないが。


両手が塞がった状態で行けるほど、帰り道が安全ともかぎらないので、さすがに厳しい。

そして艦長を置いていく選択肢はない。


「とりあえず休息が必要ね。少し早いけれど、今日はもう寝ましょうか」

「まだ日もくれていませんが。というかどこで」

「この小屋に決まってるじゃない」


雨が降る気配はないが、屋根があるに越したことはないし。


「ここの職員用が使っていたベッドが空いてるはずだもの」


スイが変な顔をする。


「野営じゃないだけありがたい状況でしょ? 確かに択捉のベッドほどじゃないだろうけれど」

「さすがにそういう意味じゃないです!」

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