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VS洋上怪奇2 / 船幽霊の理

「船幽霊、ですか」

「私のいた日本の妖怪でね」


妖怪怪異異形に怪談フォークロア都市伝説、ぜんぶ意味が違うらしいが。

怪獣とモンスターの違いとか、門外漢にはあまり興味が感じられない。


ふつうのヒトが護衛艦の区別がつかないのと同じようなものだろう。


だが今回に関していえば、興味がなくても知識があったらよかったところだ。

倒し方とか簡単にわかったかもしれない。


「ひしゃくって覚えてる?」

「龍宮神社の入り口で手を洗うやつですか」

「そうそれ」


木とか竹でできてる、取っ手が細長い。

龍宮神社といっしょに、私の記憶を元にしてトーエに作ってもらった。


「あれで海から水をくんで、船を沈めようとするの」

「たいした量は汲めないですよね」


そのとおり。

船室をひとつ海水でいっぱいにするとは、本当にひしゃくでやったのなら、出港からの短時間にたいしたものだ。


----


水浸しの弾薬室は甲板上の部屋だ。

最優先で下の部屋が浸水していないことを確認して、択捉の発令所に取って返した。

発令所で情報共有したあと、艦内の保安部と魔術科では対処できないと判断して、フーカにレインを呼びにいってもらった。


レインの到着を待つ間、発令所でスイと船幽霊の話をしている。


「そういえば船幽霊、底の抜けたひしゃくを渡すと、水が汲めなくて船が沈まなかったはずだわ」

「ならそれで解決ですね」

「トーエに作ってもらわないと」

「ひしゃくの底くらいわたしたちで抜きませんか」

「作ってくれたものを手ずから加工するの、罪悪感あって」

「あー」


納得の声がスイの喉から漏れる。


「でもそれ、船幽霊さんを退治することはできないんじゃありませんか」

「そうかも。どうだったかしら、そのうち諦めて船を去ってくれないかしら」

「霊体っていうモノは単純行動を繰り返すだけなんだから、結果がでなくて諦めたりはしてくれないわよ」


フーカが戻ってきた。


「というか、船幽霊? それってヨナの元いたトコの話でしょ。もっと合理的で単純な説明ができるわよ」


切れよく振り返り連れてきたレインに説明を譲る。

レインは開口一番、強い口調で断言した。


「緊急出港が必要です」

「何が起こっているの?」

「択捉が連れてきてしまったのは、おそらく洋上にあった前大戦の亡霊です。

それも、択捉の呪術防御による検疫を抜けるほど強力でしたたかな。

このまま上陸を許せば港まで汚染されます」


レインは後ろに竜宮神社からの職員を大量に引き連れてきていた。


「ヨナさまが言う船幽霊の正体は、大海戦の亡霊たちです。ただし、そこに第三者の悪意が介在しています」

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