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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

赤色のブランコ

作者: トリニティ
掲載日:2018/10/25

私には、小さい頃から好きな遊びがある。

それは『ブランコ』だ。


ブランコに乗った時、特有のあの、風を切って前に飛び出す感じ。


あれが好きで小さい頃から近所の公園に通ってブランコに乗っていた。

だけど、小学校を卒業し、中学生、高校生となるとブランコに乗るのは恥ずかしい。

そのせいでここ6年ほどブランコに乗っていない。


 受験生の冬。


受験までもう少しという時期。

皆、ラストスパートとして追い上げて勉強をしていることだろう。

私もそうなのだが、今日はあまり集中ができないので散歩をしている。

そこで、近所の公園に寄った所、ブランコを見つけた。

小さい頃私がよく乗っていたブランコよりも少し錆びて趣深くなっている。


 キィィーキィィー


冬の風に揺られるブランコの音は私に乗れと言っているように聞こえた。


 キィィーキィィー


どこか悲しげな、でも温かさを含んだ音は鳴り続ける。

私は周りを見渡した。

知っている人は、いない。

砂場の所に小さい子供とお母さんがいるくらいだ。

確認をすると、私はブランコに飛び乗った。


始めはゆっくりと。

しだいに前後するペースも上がっていく。


 キィ、キィ、キィキィ


ブランコの音もどこか楽しげに聞こえてくる。

風を切り、前に出る。

後ろから景気が追い付いてくる。


冬風が肌を撫でるが寒さも気にならない。

私からしたら寒ささえも心地いい。


だって、昔は言葉の通り毎日乗っていたのだから。

春も。夏も。秋も。冬も。


過ぎ行く景気はこんなにも美しいのに、

過ぎ行く時間は私を老いさせ、ブランコを錆びさせる。


それがどうにも悲しくて、私はいっそう強く地を蹴った。


 その時。

砂場で遊んでいた親子がこちらへやってきた。


「ままー!ブランコのりたい!」

「えぇ、いいわよ」

「やったぁー!」


どうやらブランコに乗るらしい。

隣で女子高生が思いっきりブランコをこいでいたら引かれるのは目に見えている。

小さな子がブランコに飽きるまで近くのベンチに座って待っていようか。

小さい頃は何事に関しても興味を持つが飽きやすくもある。

せいぜい待って5分というところか。


「…しょっ、と。」


私はブランコから降り、ベンチに腰かけた。

最後に聞いたブランコの声に私は気がつかなかった。


 キィー、キィィーー、ギィー…


助けてくれと言っていたのに。

その時の私は気づけなかった。

私がベンチに腰かけると間もなく親子はやってきた。

子供がブランコに乗ろうとする…が乗れない。


「ままぁ、のれないよぅ」

半べそをかいて子供が言う。

すると親が

「はいはい」

と言いながら、子供を抱き抱えブランコに乗せた。


 キィー、キィー


この子供もブランコに乗るのが好きなのだろうか。

前に出る時のあの表情が他人とは思えなかった。



突然事は起こった。

親もちょっと目を離していた時のことだ。

しかし私は全て見えていた。

ベンチから、事の一部始終を見ていた。


子供の乗っていたブランコのネジが外れたのだ。

子供はバランスを崩し、地面に落ちる。

この時、不幸だったのが頭から落ち、慣性で頭を引き摺ってしまったことだ。

子供は意識を失った。


親は子供が地面に落ちた音でやっと気がついた。

だが、親が動き始めた時には、もう、遅かった。


ブランコの支柱が折れたのだ。

根本から。


横たわる子供にようしゃなく降りかかるブランコの支柱。


2mほどもあるところから落ちてくる鉄柱に子供は成すすべなく


 潰された。


 それも、頭を。


 即死だった。

助けようがなかった。

私以外には。


 ほんの10秒の出来事だった。


親は頭の半分潰れた自分の子供を見て呆然としていた。

それも仕方ない。


目の前で我が子を失ったのだ。


注意していたら、助けられたかも知れないのに。

自分の一瞬の気の緩みで。

自分を責めても責めきれないだろう。

自分への怒りと我が子を失った哀しみ。

どうしたらいいのかわならないのだろう。


そんな状態の親を見ながら私は別の事を考えていた。


あのとき、私がブランコに乗り続けていたら…

やはりブランコは壊れたのだろうか。

私が潰されていたのだろうか。


最後の最後まで一緒で良かったのにブランコはあの子を選んだ。


 どうして。


そう考えている内に遠くの方から救急車の音が聞こえてきた。


 ちょうど5分を過ぎた所だった。


ここまで読んでくださりありがとうございました。

初投稿ですので、これを皮切りに少しずつ投稿していこうと考えています。

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