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あの恋は散りゆく花の如し  作者: 女武将信長
3/5

〜 蓬髪教師の名前は藤原 滉介 〜

「着きましたわ」


本当にお嬢様かと思うくらい早かった。運動は普通のはずだったが息がすごくあがる。


「ここ……ハァハァ……どこ?」


「写真部ですわ。写真には以前から興味があったのですわ」


確かにドアには写真部と書かてた札がぶら下がっていた。まだ、中に入っていないが寂れてるのが分かる。本当に人がいるのか?


「人いないんじゃ」


「失礼致します」


理華ちゃんは私が言い終わる前にドアを開けた。中には顧問らしき人が1人いるだけだった。


「ごめんね、生徒は皆、外で写真撮りに行ったよ。来ると思わないで」


随分ときっぱり言う顧問は蓬髪で背は普通だが、ひょろひょろしていてひと言で表すと『冴えない』。そんな第1印象を与えた。


「いえ、大丈夫です。また、明日来ます。ほら、理華ちゃん行こう?」


理華ちゃんを連れて戻ろうとしたその時、蓬髪教師が声をかけた。


「待って、どうせなら俺が写真部の体験させてあげるよ! 俺も暇だし、ね?」


部員が欲しいのかすごく必死だった。あまりにも可哀想に思えたのでお言葉に甘えさせてもらった。


「本当? いいの? よっしゃぁぁあ!」


「そんなに部員、少ないのかしらね?」

理華ちゃんが小声で言う。

「理華ちゃん、それ禁句かもよ」


蓬髪教師には聞こえてないみたいでそのまま話を続けた。

「じゃあ、これカメラね。貸出用の一眼レフ。大事に扱ってね」

そう、言われ渡された一眼レフ。しっかりしていて、こんな立派なので写真を撮るのは初めてだ。


「薫子さん、何を撮ります?」


「うーん……。理華ちゃん?」


「私ですか?」


「うん、とりあえず」


なんやかんや、撮らせてくれた。その代わりに私も撮られることになった。


「薫子さん、表情が堅いですわ」


「撮られるから緊張するよ」


すると、蓬髪教師が『薫子の写真撮ってる姿を撮ればいいんじゃないか?』と提案した。私にしてみれば、変わらないと思うが理華ちゃんが乗り気なのでやってみた。以外にも自分の事に集中して撮れたし、理華ちゃんの写真も凄かった。


「二人ともいいセンスしてるな」


「そんなことないですわ」


「ありがとうございます。私一眼レフで撮るの初めてだったから……」


「初めてにしてはすごいよ。そう言えば、自己紹介がまだだったね。俺は藤原 滉介(こうすけ)。教科は社会だ。各学年のA組を教えているよ。君たちは何組?」


「私たち、A組です」


「そっか、じゃあ授業の時バンバン指しちゃおうかな? 君たちの名前は?」


「私は本郷理華と申します」


「あ、あのSELECTAGE(セレクタージュ)の社長さんの娘さん? しかも君、入試1位だよね? すごいねぇ。きみは?」


「あ、私は藤宮 薫子と言います」


「あ、君も知ってるよ。入試3位だったでしょ? それで、社会は1位だったよ! 社会の先生としては嬉しいなぁ。歴史好き?」


「あ、はい。好きです」


「そっかぁ! 俺も歴史1番好きなんだよ。よぉし! 薫子の事バンバン指しちゃおう」


藤原先生はイタズラぽく笑ってて楽しそうだった。冴えない先生だが、どこか癒されるような気がして見ていて楽しかった。



寮に帰って荷解きをしながら理華ちゃんと写真部について話した。


「なんか、藤原先生変わってるけど面白いね?」


「私はあの、蓬髪を何とかしてほしいですわ。でも、いい先生なのは確かですわね」


「どうですか? 写真部に興味が湧きましたか?」


「うん。理華ちゃんのおかげだよ。ありがとう」


「お礼を言うのは私の方ですわ。私のわがままを聞いていただいたんだもの」


今日はドタバタした1日だった。明日は理華ちゃん以外にも友達ができるといいな。私はそう思いながら、ベットに入って眠りについた。



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