彼女の名前は本郷理華
「はーい、じゃあ今日から皆の担任の白石です。よろしくね〜」
担任の白石先生は体育の先生。礼服でも、体育会系と分かる。すらっと細い脚についた筋肉はひと目では分からない。美しくしさに秘めた勇ましさは特別にかっこよく見えた。
「はいじゃあ、最後に部活動見学について話すわね。早速、今日からはじまるんだけど今日だけ、寮生活の生徒も見学できるように5:30まで、やってるからね。それじゃ解散!」
私も早く荷解きしようとリュックを背負ったその時、誰かに呼ばれた
「藤宮さんですよね?」
「はい? なんですか?」
その人はフランス人形のように美しく姿だった。一緒に立っているのが、おごがましいくらい美しい……。
「私藤宮さんのルームメイトの本郷理華と申します。よろしければ一緒に荷解きでもって……」
「ルーム……メイト……る、ルー……あっ、分かった!! いいですよ!」
すぐに寮の事だと分かり、承諾した。理華さんは無邪気な子供のように喜んだ。
寮までの間はすぐに打ち解け会話が弾んだ。自分の話や家族の話をした。
理華ちゃんのお父さんは『SELECTAGE』の社長さんらしい。
SELECTAGEは世界に支店を構えるファッションブランドだ。ファッションに疎い私でも知ってるブランドだ。まさか自分の知り合いに有名企業の令嬢がいるなんて、思いもしなかった。
寮の部屋は自分の家のリビングより広い部屋だった。冷蔵庫、洗濯機、乾燥機完備にアメニティーもある。シャンプーやリンスは無いけど凄い。洗濯物を干すベランダもある。クローゼットも私服を入れるのに充分。1番は本棚の大きさだ。
「理華ちゃん、こんなに大きい本棚初めて! 家にあるラノベ全部入れても余るよ! もっと持って来れば良かったなぁ〜」
「ラノベってなんですの?」
「えっと、ラノベって『ライトノベル』の略称で、アニメみたいな感じの挿絵が普通の小説より多いんだよね。でも定義が曖昧だから、説明しずらいんだよね……」
「良かったら貸していただけませんか? 薫子さんの趣味も理解したいので」
「いいよ! 今からでも貸すよ!」と言いながらキャリーバッグから『Reスタート』というラベルを出した。
「主人公がね、事故に遭うんだけど中世ヨーロッパの貴族に転生してそこで生き抜くってゆう話なんだよ。すごく人気でアニメ化されたんだよ」
理華ちゃんは物珍しそうに『Reスタート』を眺めた。パラパラと本をめくりながら『絵の女の子がお人形さんみたいですね』とか『この王子様は誰ですの?』と聞いてきて、けっこう嬉しくなった。
「やだ、大変だわ! こうして、おしゃべりをしていたら5時ですわ! 荷解きは後にして部活動見学に行きましょう!」
「えっ? 今から?」
「寮は校内にありますから、そう遠くはないはずです。今なら、走って間に合いますわ!」
そのまま、手を掴まれ理華ちゃんは走った
「うぇ! ちょ、ちょっと……りかちゃん!!!」