15話
実はもう30話くらいまで書いてるのですが、どこに話が進んでいるのか自分でも分からなくなりました(^_^)例えるなら柏に行こうとしたら多摩川に来ちゃったみたいな。分からなかったら路線図見て探して下さい。
蛇と仔犬だけがファミリーさぁ
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「——イス、クライス!」
「ん?なんだ」
朝飯を食べた後、従魔達と寝ていたらフラウに起こされた。
「お昼食べないの?僕お腹すいたんだけど」
「あー、もうそんな時間か。ヒメ達にも食べさせないといけないしお前も食うか?」
「お腹すいたって宣言したのに食べない奴いる?」
従魔達に朝と同じモノを食べさせる。食べっぷりが良くてお父さん満足だ。
「楽しそうにニヤニヤしてるとこ悪いんだけど僕にも何かくれる?」
「……」
無言で卵を1つ置く。
「……確かに卵は高価だけど違うよね?殻付き単品で食べるものじゃ無いよね?」
「ウニは殻付きでも食べるだろ」
「ウニはね!?これ卵ですよお兄さん!」
卵を摘んで見せ付けてくる。そんなに近付けなくても分かる。卵を頬に押し付けるのを止めろ、割れたらどうする。
「「あ」」
クルウが尻尾で器用に卵を奪っていった。食に対しては恐ろしく貪欲だな。
「ク、クルウ……昨日に引き続きまたしても」
そういえば昨日も豚の丸焼きを食われてたな。スープを取り出してフラウの前に置こうと腕を伸ばして……
「はぁ、何かクライスが来てから叫ぶことが増えたよ」
置こうとした場所にフラウがバタンと倒れる。……頭の上にスープをソッと乗せる。
「ちょ、何乗せたの?」
「スープ」
「バカなの!?置く場所!」
プルプルしているフラウを尻目にスープを飲む……
「早くしないとヒメがとびかかるぞ」
ヒメがフラウに、正しくはフラウの頭の上にあるスープを狙っている。昨日の皿と一緒なのであれが何なのか理解しているのだろう。やっぱりヒメは天才だぜ!
「そーっと、そーっと」
クルウが気を利かせてヒメをテーブルの上に上げてやっている。こいつら本当良いコンビだな。
「よし!あれ?」
まさかヒメが上で待っているとは思わなかっただろうな、ヒメはあんまり鳴かないからどこにいるか分からない時がある。
「えーと……ヒメちゃん食べたいの?」
俺からは見えないがフラウが鼻を押さえているのでつぶらな瞳で見つめているんだろう。あ、問答無用でヒメがスープを飲み始めた。
「クライス、もう一皿ちょうだい?」
「お前バカだな。生まれ変わりたいならクルウに食べてもらえよ」
「意味が分からな——、待ってクルウステイステイ」
俺に文句を言おうとしたが、鎌首をもたげたクルウから逃げるように後ずさる。こいつやっぱり面白いなぁ。
「笑ってないでクルウを止めてよ!結構怖いんだからぁ!」
4mを超える蛇に迫られたらそら怖いよな。
「クルウ、こっちに来い」
俺の言葉にシュルシュルと動き出し、椅子に座ったままグルグルと巻き付かれ始める。
「……」
フラウに目をやると笑いを堪えている。あの野郎……
「ヒメゴー!」
スープでビチャビチャのままフラウに飛びかかる。
「嬉しいけど嫌だ!先にお風呂にぃぃぃ」
勢いのまま後ろに倒れていった。そうだな、風呂に入れるかぁ。
「フラウ、風呂はあるのか?」
「ウゥ……従魔用のお風呂ならあるよ」
カオスなリビング?を出て風呂を探す。
「倉庫だらけだが俺以外の客を見たことないぞ」
まぁ既に客では無くなったが。3つ目の部屋を見てみる。
「ここかな……うん、ヒメにはちょうど良い温度かな」
とりあえずクルウを連れて来る。連れて来ると言っても扉を開けておくだけで勝手に行ってくれた。
「習慣があるわけでもないのに賢いな」
クルウの賢さに驚くがヒメも連れて行かなければ……
「……おい」
ヒメ達がいるであろうテーブルの方を見ると、フラウが舌を伸ばしてヒメを舐めようとしていた。ヒメも四肢を使って必死に遠ざけようとしている。
「いや、ヒメちゃんを綺麗にしてあげようかな〜と」
「結構です、お前は店に戻れよ」
「どうせお客なんて来ないよ?」
自分言うなよ……
「可愛い従魔を連れた人が待ってるかも知れないぞ」
「待っててマイエンジェル!」
いたとしてもお前のではないよ。ぐったりしているヒメを持ち上げて風呂に連れていく。
「うわ」
それほど大きくない浴槽が蛇で埋もれている。浴槽の中でクルウがグルグルと体を回している。汚れを取っているのだろう。
「狭くて大変そうだな」
浴槽に手を触れて、錬金!
徐々に浴槽を広くしていく。3m四方くらいになったかな。
「ヒメも入れてあげてなー」
クルウにお願いしてみる。このお兄さんもしくはお姉さんならやってくれるだろう……ほら、尻尾でゴシゴシしている。だがいかんせん水分が少ないな。
「俺も援護してやろう」
ジョウロを作って、ヒメにお湯をかけてやる。ヒメも目を細めて気持ち良さそうだし入浴は最高だな。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あの後、クルウが濡れたまま店の中を通り外に出たので現在フラウが掃除中だ。賢いが本能の赴くままに動いているな、そんなクルウは気持ち良さそうに日光浴している。
「え、あれモンスターじゃないの?」
「デビルズロープは刺激しなければ大丈夫だ。ゆっくり離れよう」
大通りでは無いが普通に人は通るので回収するか。
「クルウ」
名前を呼ぶとスルスルと俺の体を登ってきた。ぬるい!クルウは温まってご機嫌な様子だが生温かいのが辛い。
「クルウ、もっと綺麗に巻きつけ。店に入れん」
クルウの尻尾がつっかえて店に入れない……
なんとか店に入るとフラウがヒメをブラッシングしていた。
「あ、クライス?今ヒメちゃんがどんどん綺麗になってるよ」
「風呂に入って泥や埃を落としたからやり易いだろう」
「まぁねー」
喋りながらもサッサッとブラッシングしていく。ヒメも気持ち良さそうだし邪魔はやめておくか。
「はい、おしまい」
ツヤツヤじゃないか。
「?妙な魔力を感じるな」
「竜髭だからね。それぞれの竜の属性を纏うんだよ」
「これは火竜か。久しぶりだから分からなかったな」
「何で分かったの?僕は鑑定できるから分かるけど」
俺も使えるけど何でもかんでも鑑定したら自分の感覚が鈍るからな。
「纏う魔力に覚えがあったからな……ん?」
「へぇーってどうしたの?」
みるみるうちに魔力が消えていく。
「これはすぐに効果が消えるのか?」
「1日は持つはずだよ。どうして?」
ということは考えられるのは1つ。
「ヒメは竜の魔力すら吸収するのか……」
「竜の魔力って言ったら竜気とかいう特殊なものだよね。それも吸収しちゃうんだ」
フラウはただ感心しているが、これはとんでもない存在になるぞ。もしかすると……
「ヒメ、そこに座れ」
ヒメを床にお座りさせる。
「な、何?怖いよ」
「魔弾」
ヒメに無属性の魔法をぶつける。
「何してんの!?」
うるさい、これは重要なことなんだ。
『ワフ』
つい強めに撃ったがヒメは傷ひとつない。
「やっぱりだ」
「何が?ヒメちゃん何で怪我してないの?」
フラウは心配そうにヒメの体を確認している。だが俺にそんな余裕が無い。
「ヒメは俺と同じなんだ」
ヒメは……
「クライスと同じって何さ」
「ヒメは……魔蓄体質だ」
まさかこんな所で見つける事が出来るなんて!