12話
元の設定の中のミノル君は協力者になってますね、本当はパーティメンバーの2人がお亡くなりになる予定でした。書いてるのは自分ですが不思議なこともあるものですね。
嫉妬が可愛い悪魔のロープ
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左腕にヒメを抱え、胴から首にかけてデビルズロープを巻きつかせて街に戻って来た。
「カードを……うぇ!?」
門番が夜を保護色にしたデビルズロープを見つけて変な声を上げる。街中でも向けられる視線が無くなることは無かった。
「こいつらの登録をしたい」
ヒメを見せる。デビルズロープはまず隠しようが無いのでいいだろう。
「この魔石に魔力を込めて下さい」
2つの魔石を渡される。これに魔力を込めることでマスター登録するらしい。
魔石に軽く魔力を流す。
「あ……」
「え?」
魔石に亀裂が入ってしまった。許容量を超える魔力を込めるとこうなる。どうやら下級魔石ではダメみたいだ。
「自分で用意したのを使ってもいいか」
「それでお願いします」
申し訳無さそうに頭を下げられた。受付嬢は悪く無いから謝らなくてもいいんだが。
アイテムボックスから上級魔石を取り出す、Aランクのモンスターを狩った時に手に入れたんだ。下級の物と大きさは変わらないが込められる魔力は段違いだ。
「これをどうするんだ」
魔力を込めた2つの魔石を渡す。
「モンスターに取り込ませるか首輪や腕輪にして身に付けてもらいます。どうしますか?」
ヒメは首輪でいいだろうがデビルズロープはどうしようか。
「お前どうしたい?」
頭を撫でながら聞いてみる。何回か俺の顔と魔石を見比べた後、パクっと魔石を呑み込んでしまった。
「……これでいいのか?」
受付嬢も思案顔だ。
「マスターが用意した魔石だから自分から取り込んだのかしら……」
普通は嫌々取り込むらしい。モンスターは魔石を食べて自らを強化するから魔石を呑み込む事自体はおかしく無いと思うんだが……
「もう1つは首輪にしてくれ……?」
ふとヒメを見ると薄っすら目を開けている。普通ならまだ殆ど見えないだろうがヒメは優秀だから分からないぞ。
「その子可愛いですね」
「そうだろ?ヒメは世界一可愛いんだ!」
俺の叫びに受付嬢がドン引きしている。普通この白銀の魅力にメロメロになるだろ。プニプニの肉球にユラユラ揺れるフワフワの尻尾、ピンと立った大きな三角の耳にシュッとした口。可愛さと格好良さが両立している奇跡の美獣だ。
「ははは、そうですね」
口に出してしまっていたみたいだ。デビルズロープも締め付ける力が強くなっている。人間の子供なら死ぬぞ。
「はい、これが従魔の印の首輪です。装飾したりするのは禁止されていませんが、過度な物は控えて下さい」
ヒメの両親の牙を付けるぐらいならいいだろう……というかデビルズロープが重くなってきて辛い。
「お前……魔石を取り込んで成長してるな?」
3mくらいだった大きさが4mくらいになって、頸部の模様も形が変わってる。馬鹿みたいに重い、密度がさっきとは違い過ぎる。
「お、重い……!胴に巻き付いてるから重さは分散される筈なのに!」
重さは200kg以上は有りそうだ。普通の蛇の2倍近い密度か……さすがモンスターだな。
「それでも倒れないクライスさんもおかしいですよ」
下を向いて何かを書いている受付嬢に毒を吐かれた。蛇でも無いのに毒を吐くとはな。
「この紙は無くさないで下さい。そのデビルズロープがクライスの従魔であることを証明する書類です」
見えないところに魔石を取り込んでしまったので書類を作ってくれたらしい。
「ありがとう。助かるよ」
素直に礼を言う。敵味方ははっきりさせるのが俺流だ。
「いえ、業務ですから」
笑顔でそう言ってくれる、クラッグなんかと違って好印象だ。
重さに耐えかねたのでフラウの店に急ぐ。店に着いてからデビルズロープに乗れば良かったと気付いた。