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空色パレット、海色キャンバス  作者: FRIDAY
弐 混色交錯
6/33

『あお』

 お前は何色が好きか、と問われれば、俺は間違いなく「青」と即答する。

 より正確に言うのなら、「青系統の色全般」だ。

 青、ブルー、紺、藍、群青、縹、水色、空色、その他諸々。

 およそどんな青でもいい。


 では、なぜ青が好きなのか、と問われれば、しかし俺は恐らく、答えない。即答どころか、曖昧に濁すだろう。

 なぜか。

 それは別に、何かセンチメンタルな理由や、ロマンティックな過去があるというわけではない。

 ただ、一枚の絵があるだけだ。


 俺が卒業した中学校、そのとある階段の踊り場にかけられていた、一枚の大きな絵。

 『永遠の青』。

 そう題されたその絵が、俺の根底に存在している。

 それがどんな絵なのかを、説明することは酷く難しい。その難しさゆえに、俺が青を好きな理由を説明することができない。


 構図を述べるだけならば簡単だ。そこは恐らく空想の世界。どこまでも空と海とが広がり、最果ての境界にまで続く。そして、その最奥を臨んで、ひとりの少女が佇んでいる。

 そんな絵だ。


 けれど、俺の見た本質はそこではない。それだけでは、俺が青を好きな理由にはならない。

 その絵には。

 『永遠の青』には。

 およそ思いつく限りの、ありとあらゆる『あお』が、封じ込められていた。


 あの『あお』を忘れられない俺は、ただ『あお』を求めるようになり。

 そして今でも、あの『永遠の青』の描き手を探している。


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