そのキャンバスに、何色を描く。
青春とはこれ如何に。
青い春、である。
春と言えば麗らかな陽気の心地よい季節を想起する。桜など満開になっていたりして、華やかな、輝いている季節だろう。ならば、人生における春とは、やはり華やかで輝いているものであるのだろう。
だが、忘れてはならない。
その春は、青いのである。
青さとは、未熟さだ。
世の中に、社会について無知で。
生きるとは何たるかを語るほどの言葉を持たず。
過去も未来も見ることなく、
今を生きることが、
今この瞬間に生きているということが全ての、
目の前のただひとつのことに心血を注ぐことができるような。
向こう見ずで、
振り返ることもせず。
ただ騒いでいるだけで満たされるような。
そして、それが許されてしまうような。
未熟な時間だ。
ならばその色は。その春の青は、醜く汚いものだろうか。
空ほど澄み、海ほど深い色合いを持ち合わせているのだろうか。
どうだろう。
もしもその春を、青を、
青春を、
筆を手に取って描いてみようとするのなら、一体どのような色合いになるのだろう。
例えば。
沢城小春なら。
青春というものを、どんな青で描くのだろう。




