表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

私が見た夢

海と花嫁と(私が見た夢2)

作者: 東亭和子

 こんな夢を見た。


 私は一人の女だった。

 冷たい異国の地で花婿を待っていた。


 あれは三日月の夜だった。

 幸せな私達は寄り添い、船上にいた。

 私達は船で永遠の愛を誓った。

 これから向かう異国に、私は不安だと思うことはなかった。

 愛する人と共にいたから。

 幸せな未来を思い描いていたから。

 私は生きていけると思った。


 しかし、船は異国に着く前に沈んだ。

 沢山の人が死んだ。

 私も、彼も海に飲み込まれた。

 私は異国の地に埋葬され、彼は海の底に囚われた。

 私達は引き裂かれた。


 永遠を誓った花婿は、海の底から私の名前を呼んだ。

 必ず迎えに行く、と。

 私に向かって叫び続けた。

 その声は波間に漂った。

 だから、私は冷たい異国の地下で、彼を待った。

 一人、寂しく。

 彼が迎えに来てくれるまで、待ち続けるのだろう。

 永遠に、一人で。


 やがて人々は話すのだろう。

 孤独な花嫁が、墓地で花婿を待つ姿を。

 青白く佇む私の姿を。

 それは永遠に続く寂しい姿だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ