海と花嫁と(私が見た夢2)
こんな夢を見た。
私は一人の女だった。
冷たい異国の地で花婿を待っていた。
あれは三日月の夜だった。
幸せな私達は寄り添い、船上にいた。
私達は船で永遠の愛を誓った。
これから向かう異国に、私は不安だと思うことはなかった。
愛する人と共にいたから。
幸せな未来を思い描いていたから。
私は生きていけると思った。
しかし、船は異国に着く前に沈んだ。
沢山の人が死んだ。
私も、彼も海に飲み込まれた。
私は異国の地に埋葬され、彼は海の底に囚われた。
私達は引き裂かれた。
永遠を誓った花婿は、海の底から私の名前を呼んだ。
必ず迎えに行く、と。
私に向かって叫び続けた。
その声は波間に漂った。
だから、私は冷たい異国の地下で、彼を待った。
一人、寂しく。
彼が迎えに来てくれるまで、待ち続けるのだろう。
永遠に、一人で。
やがて人々は話すのだろう。
孤独な花嫁が、墓地で花婿を待つ姿を。
青白く佇む私の姿を。
それは永遠に続く寂しい姿だった。