57.神の介入と狂化
「なにが、」
>進化!!?
>いや、狂化だ!!
状況を聞く前に、被せるように驚愕に満ちた声が伝えてきた。
音を垂れ流しにしているのか、こちらまで激しい金属音が聞こえている。
鋭いなにかを弾く音。
それは今までと比べ物にならない程、速く、重い。
外周で大型種とぶつかっていた二人は引きつったような言葉を続けた。
>マジかよ! 一匹じゃないぞ!
>こ、れは、なかなか……っ!!
目を凝らせば、足を止めた大型種の様子が確かにおかしかった。
注視しているうちに、丸めた背がぼこりと盛り上がる。
続けて肩が、足が。
爪が伸び、牙が伸び、瞳孔が縮まる。
「――ッなるほど」
>うお! ……ッとと、やべえ! こいつら生存本能すら残ってない!
>相手をしたことがないとは言わないが、――この数か!
ただでさえ大型種といわれているそれが、倍近くの体積に膨れ上がるものもあった。
単純に膂力が上がる、それだけで脅威だ。
だが、本当に気を付けるべきはむしろ巨大化したものではなく、
>なにっ! 魔法を手に入れたか!?
「神の、介入」
メルの声はこれでもかと苦かった。
リィンとニールから聞いてはいたが、実際に目にすることになるとは。
「形振り構ってられなくなったってか?」
ふんと鼻を鳴らしたウィルも、声が笑っていない。
狂化を終えた魔物が首を振り、空に叫ぶ。
先ほどまでとは明らかに種類が違う咆哮が塔まで響いてきた。
びりびりと肌を刺す様な、明確な色。
赤と、黒の、怒りと憎悪。
「いや、これはむしろ逆鱗に触れたってヤツだろう」
リィンが舌打ちでもしそうな顔で目を細めた。
目障りな羽虫だけで相当鬱陶しかっただろうが、大衆の歌は余程耳障りだったに違いない。
>ランス、合流だ!!
>おいおい! 俺たちが一か所に集まれば、その分王都まで辿り着く大型種が多くなるんだぞ!?
>四の五の言ってられない。一人なら一分かかる。だが二人なら十五秒もあれば十分だろ。むしろ効率的だ。
「ここで、コレとは。――やってくれる!」
メルが吐き捨てるように言った。
机でもあったなら、拳を叩き付けていたに違いない。
>壁を守り切れるか? 北のランス、西のニール……。いや、だめだな。幾ら一騎当千でも範囲ってモノがある。援護か増援――くそ、どこにあるってんだ、そんなの!
声がグリーンカードから漏れていることも気付いていないだろう。
>待て待てニール! 無理矢理狂化させられてんだぞ、どっかに歪みが生じる筈なんだ。
>――つまり?
>絶対に攻略法がある!!
それは考えなかったとニールが黙った。
>こっちの準備にはまだ時間が必要だ。南門には騎士。……間に合うか? むしろ足りるか? セオかシリルを、
ギリギリと、奥歯を噛みしめるメルの耳には他の状況は入っていない。
いつもは穏やかに微笑んでいる細い目がつり上がっていた。
>メル、メル!
「なんだ、ニール!!」
思考に割り込んでくる声に、思わず怒鳴るように答える。
>全部か? 魔物の狂化率は! 大型種だけなのか!? そこから見えるだろう?
対してニールは戦闘中にも関わらず、言葉に冷静さがあった。
「あ、ああ――いや、全部じゃない」
はっとして外に目を向け、言われるがままに状況を探る。
と、意外なことに気付いた。
「……多分、三割くらいだ。狂化にも条件がある、のか?」
>条件? ――今わかるか?
「待って、いま、考える」
小型、中型に変化は少ない。
三割――なら耐えきれるか?
熱していた回路が切り替わろうとしているのを感じて、メルは自分の額に触れた。
必死に散りばめられている情報を拾い集める。
「大型種はほとんど全て。中型の色付きは全変化。少ないのは小型か。――いや、あの角付きは狂化してる」
>つまり?
「純種だ」
「もしくは迷宮産か」
予測は答えを出すより早く提出された。
リィンがすっぱりと答え、捕捉のようにグレンが付け加える。
>ランス、どうだヒントになったか?
>わからん! あとは戦いながら考える!
メルが額を押さえたままの手の影からちらりと近くにいる仲間たちを見た。
「なんだ」
不機嫌そうなリィンと、肩を竦めるグレン。
グレンの顔は面白いものを見ているようなニヤケ面だった。
ウィルの真似だ。
>似合ってない。
「おい!」
思わず心の中で突っ込んだら、間髪入れずグレンが返す。
メルはふっと笑ってから、長く息を吐き出した。
溜まっていた熱は外に逃げていく。
どうやら心の声が駄々洩れるくらい焦っていたらしいという事実と、どうにも一人にはなれないらしい現実。
サポートが万全すぎる。
「よし、立て直そう!」
そう、気合を入れた瞬間に、再び足元が揺れた。
「今度はなんだよ」
不機嫌そうなメルの声にもう焦りはない。
けれど状況の変化は目まぐるしかった。
地面が一定間隔で揺れるのだ。
ミシという音が地面を通して脳に届く。
本能的に何かがヤバいと警鐘を鳴らす。
音の出所を探る。
塔の四人は首を左に向けた。
危険察知能力が異様に特化しているのか、貴族たちも揃って同じ方向を見ていた。
いつの間にか中階中庭に入りきれない程に人が増えている。
立て続けに起きる状況変化で、逃げてばかりいられなくなったのか、外の様子を確認しに来たのだろう。
あるいは皆がそうしているからと、この期に及んで流されている者もいるのかもしれない。
そして左を、いや南を見れば、視線の端に目を引き付ける黒いモノが見えた。
「なんだ、あれは?」
貴族の一人は危機感を覚えるでもなく、単純な疑問のようにそれを口にした。
だが他の多くの貴族と、四人は目に力を入れる。
靄のように見えたソレは、うぞうぞと蠢く触手。
ソレが回廊に手を掛け、覗いていた。
つまり、
「デカい!!!」
大型種でも最大級。
「……これも狂化か?」
いつの間にか大型種が城壁前まで迫っていた?
それが巨大化した?
だが閃光弾は大型種が迫っているなど、報告していなかった。
どこが本体かもわからない巨大な魔物の、無数にある触手がいくつか纏まって振り子のように振られる。
それは神殿の鐘より大きく太く。
壁の中で、唯一石造りではない門を叩く。
そして先ほどと同じ、地面を揺さぶる音と振動が襲った。
まるで破城兵器だ。
「なんだ、あれは!!?」
先ほどと同じ台詞を、同じ貴族が叫んだ。
今度の声には、逼迫感があった。
魔法の光が瞬いて、回廊の上から攻撃を仕掛けているのが見える。
生徒たちだろう。
あまりにも大きすぎる体にはいささかも通じていない。
それでも煩わしかったのか、また触手が纏まる気配を帯びた。
「やばい!」
叫んだのはリィンかウィルか。
メルは同時に閃光弾を打ち上げる。
逃げろ、と。
ひどくゆっくりとして見える動きで、今度は振り子のようにではなく、触手は天に振り上げられた。
グレンは遠距離攻撃を放ってから呻く。
「遅い、届かん!」
届いたとしても、効くかどうかもわからない。
自重で崩れたかのように、鉄槌は振り下ろされた。
一際重い音を上げて打ち付けられた回廊は、そこにいた人々を巻き込んで、
――――沈んだ。
「壁が、切れた……!」
メルが塔から身を乗り出し、黒い魔物が破壊していったものを睨みながら言葉にした。
遅れてグレンの攻撃が当たる。
けれどそれは無数にある触手の一本を弾けさせただけ。
メルは破壊の後から姿を見せつつあるものから一切目を離さなかった。
「おお……なんということだ」
「神に守られた都が!!」
「ああ、神よ! なぜ我々にこのような試練をお与えになるのですか!」
「我が家は私の代で終わるのだな」
「なぜ、なぜ、なぜだ!!!」
「し、死にたくない。そうだ、大尖塔、あそこなら我らの声も神に届くやも!」
貴族たちは呆然と、あるいは悲鳴を上げ、後悔と恨み辛みに忙しい。
最後に暴徒になりそうな台詞が聞こえたが、今はこちらが優先だ。
崩れた壁の下から閃光弾が打ち上がる。
『南門が破られた』
『至急応援を願う』
生徒の誰かが生きていたのだろう。
「グレン、障壁結界を頼む!」
「あのデカブツを防ぐとなると、それなりに時間がかかるぞ」
「なら小物を防ぐ壁なら!? 時間稼ぎでいい!」
「すぐにでも」
「魔力を使い過ぎるなよ!」
「わかってる」
返事を聞く前に、メルはすぐさま閃光弾を打つ。
『生き残ったのは、誰か』
返ってきたのは、同学年の女の名。
どうやらそこらで生き残ったのは彼女だけのようだ。
「誰だ?」
「森を脱出した時はシリルのグループだったな」
崩れた壁と壁の間、巨大魔物を避けるように外側に膨らんだ結界が張られる。
だが、見るからに薄い。
もう一度あの触手が打ち付けられれば崩れると思われる障壁だ。
グレンはヤツが後ろに出来た結界を振り返らないと踏んだのだろう。
排除対象にならないために高さもない。
だが地面を壁の裂け目めがけて駆けてくる魔物は触れては見事弾かれていた。
跳躍が突破法だが、偶然はあり得ても、気付く魔物は居ないはずだ。
>リディアナのこと? 光魔法を使う子だよ。ほんの数日で一流に成り上がった。多分神官の中に放り込んでも十分通用する。
指名されたシリルが答えた。
>確か双子の姉がいたと思ったけど……。
>彼女はこっちで預かってるだろ! 治癒士として八面六臂の大活躍をしてくれてるよ。
セオが同じ市街組に居ながら何の把握もしていないシリルを少しばかり窘めた。
もちろんシリルはどこ吹く風だ。
「騎士団は? 南に向かってるはず」
「到着までまだかかる」
「正体不明の大型種と、流れ込んでくる魔物たち、ね。修復班は遠いし即座に修復が可能なものでもない。……いくら何でも分が悪すぎる」
メルは少し考えてから指名した。
>セオ、頼める?
>おう。
そんな会話の最中。
歌の途切れた王都に次第に蔓延していく音がある。
潮騒のようなざわめきだったそれが、あっという間に無視が出来ないまでに膨れ上がった。
意識が市街に向く。
>なんだ?
騒めき、喧騒、最初はそんな一部の声。
今は、
わあああああ、という、大衆の声。
街全体が叫んでいる。
歓声とは明らかに違う。
壁が崩れたことによる悲鳴ではない。
貴族街を開けろと叫んでいた民衆たちの混乱にどこか似ていた。
混乱と、絶叫と、状況の把握ができない故の、暴走。
蟻のように、けれど逃げ場所もわからず、無作為に走り回る人々。
切迫感が恐怖を嵩増ししている中に、命を裂かれる声がした。
>……悪いメル。南門には行けなくなった。
>何が起きてるんだ。
セオは後ろ腰に真っすぐ互い違いに差していた二本の短剣を抜く。
「何が起きてるかって? 目の前の神殿から狂人がわらわら出て来てンだよ!」
言って走る。
襲われ、患者を守るようにして身を縮めた生徒を前にして、振りかぶり無防備に晒されていたソイツの腹を遠慮なく蹴り飛ばす。
軽く蹴ったように見えて、それは反対側の壁にまで吹き飛んだ。
「セオさま!」
「油断するな!!」
喜色混じりの声に鋭く叫ぶ。
はっとして、彼女は魔法を展開させた。
壁に突っ込んだ衝撃は一般人では気絶どころか重症ものだ。
だが、ソイツは起き上がる。
頭から血を流しながら。
手に持っているのは神聖なる杖。
「それは人を殴る武器じゃねえぞ、神官ども!!」
無防備な民衆の背に魔法が炸裂した。
「人に魔法を打つためのモンでもねえっつの!!」
駆ける。
スパンと真っ二つにしてやった杖は、それでも止まらない。
「おいおい、魔法が歪んでるぞ。神聖な神官ともあろう者が!」
魔法を放つ媒体として、杖は優秀だが、その分脆い。
少しでも傷が付くと魔法が歪み、まともな魔法にならない。
魔力のロスも多い。
なのに、気にも留めない。
セオは勢いよく舌打ちした。
どうにか気を引く言葉はないかと、考えていると、
「精霊さま、精霊さま、精霊さま」
その声に神官の目と顔がぐるりと向けられた。
膝をついて祈る女に、力任せの魔法が飛ぶ。
「おい、俺が相手だろうが!」
聞こえていない。
血眼で何かを探し、怒りに燃え、それを一つ消すたびに雄叫びを上げる。
仕方がないから肉体言語を駆使して、片腕を落とす。
悲鳴ではなく、威嚇のような獣染みた咆哮が返ってきた。
>目が、正気じゃない。
細かく揺れる瞳孔は、何を見ているのかも定かではなかった。
血を止めようともしない。
欠損にも痛みにも、魔力の変質にも頓着しない。
「こりゃあ、多分、殺すまで止まらんぞ」
短剣を仕舞う。
牽制には意味がなかったから。
左手に逆刃の短刀を。
首を掻き切るのにとても向いている。
右手で腰に佩いていた細身の長刀を。
撫で切るにはこれが一番。
二本の凶器を空気を切るように払う。
血に飢えている音がした。
殺さねば止まらないなら、殺すまで。
>メル、同じだ。たぶん魔物たちと。
人を殺すのは、得意中の得意だった。
>人間の、――狂化だ。
閃光弾がいくつも上がった。
意味は全て同じ。
『交戦中』
十中八九騎士団の連中だ。
南門に向かう途中で狂人共と出会ったに違いない。
神殿は街中にある。
そこから出てきているのだとしたら、騎士団でも手が足りるかわからない。
だが、訓練された動きは警邏達などとは練度が違うのだろう。
すぐさま閃光弾が上がる場所がばらけていく。
『作戦変更、このまま街中で市民救助にあたる』
南へ向かうのを断念した形だ。
こうなっては仕方ない。
奴らを残らず叩くのみ。
「リィン、騎士団の誘導を」
「いいだろう」
効率的に狩れるように、敵の場所を教えるのだ。
「グレン、ウィル。計画を前倒ししよう」
準備不足は否めない。
だが、悠長に支度している時間は残念ながらもらえなかった。
>シリル、きみも
>僕にも仕事ができた。そっちの手伝いは出来なさそう。
はっと空を見れば、羽虫のような黒点。
虫型の魔物だ。
ついに空まで手を伸ばしてきたらしい、
ここいらに飛ぶ魔物は居ないというのに。
どこから呼んできたのか。
ここまでは聞こえてこないが、きっと外は羽音でうるさいことだろう。
回廊の固定砲台からそれらを打ち落とそうと矢が放たれる。
生徒たちも時に空に魔法を放つが、本来は地上の魔物で手一杯。
どれも牽制にしかなっていない。
グレンの障壁は大分減ってきていた。
まして、空を飛ぶ虫に障壁は関係がない。
近付いては兵士を攫い、空中に放り出す。
「巨大化してる」
「狂化の影響を受けてるのか……」
普段なら人間の重さなど持ち上げられないはずの魔物だ。
ばしっと、軽い音がして、虫が突如一匹貫かれた。
まるでダンスでも踊っているかのようにくるくると地上に落ちていく。
待っているのは腹を空かせた魔物たち。
続けて二匹三匹。
街の中から、正確無比に放たれる魔法。
頭、羽、胴体、まるで試すかのように打ち込まれていく。
まるで効率のいい殺し方でも探っているような冷徹な恐ろしさがあった。
その魔法の主は、
>シリル!
「僕の前で、僕の許可なく空を飛ぼうなんて、生意気なんだよ! 地に落ちな、クソ虫ども!!」
>……そ、空は任せました。
>言われなくとも!!
「おい、メル。南門を見ろ! ヤツが出てくるぞ!」
巨大な魔物が崩れた壁から這い出して来る。
王都の中へ。
ぐずりぐずりと、一刻ごとに姿を変えながら。
「あれはなんだ?」
正体を見極めようと塔から目を眇める。
と、魔物の動きが止まった。
地上からの攻撃だ。
明らかにリディアナ一人ではない。
「兵士?」
「いや、魔法が混じってる。誰の援護だ?」
リディアナが放つ閃光弾が正体を教えてくれた。
「なるほど、冒険者の連中か!」
「足元に火がついて、消さないわけにはいかなくなったって所か」
「だが、決定力不足だ」
証拠に魔物は足を止めていたが、大して打撃を受けているようには見えない。
むしろ、
「……動きが変だ。なにかあるぞ」
黒い塊は身を引くように、いや息を吸い込む様に膨れた。
そして周囲に靄がかかる。
靄と思わせるほどの、
「毒!!」
「あいつ!」
グレンとウィルが叫ぶ。
が、リィンは冷静だった。
「リディアナとかいう女は光魔法を使うんだろう?」
グレンがその言葉にはっとして南門辺りを注視していると、淡い光が満ちる。
靄が急速に薄くなっていった。
「なる……とりあえず、全滅は免れるか」
ウィルが口笛を吹く。
異常状態の回復は、光魔法の十八番だ。
「不幸中の幸いだな」
魔力は有限だ。
毒状態を何度も繰り返されてはジリ貧にもなるだろうが、とりあえずその場はしのげる。
だが、メルだけが険しい顔を崩さない。
「いや、……むしろ幸い中の不幸かもしれないぞ」
「どういうことだ?」
メルが指を差す。
黒い触手の中に赤い目が見えた。
赤い目と、赤い、
「花?」
「おそらく、寄生型」
そう推測を口にすれば、三人から瞬時に同じ反応が返ってくる。
「げえ!!」
「まずい!」
「最悪だ!」
寄生型は得てして周囲に異常を振り撒く。
故に異常状態の回復にもってこいの光魔法が相性がいいと思われがちだが、実はそうではない。
そうではないことを、きっと誰も知らないだろう。
寄生型の魔物など、遭遇したことがある者がいるとは思えない。
「どうすんだ、メル!」
ランスとニールは外周で大型種と交戦中。
他の生徒たちも各自持場で奮闘中。
セオは神官の殲滅に忙しく、シリルは空の旅に。
予備戦力だった騎士団も狂化人間に持っていかれたし、冒険者の中に状況を打破できるものはいなさそうだ。
ちらと後ろに目を向ければ、こちらを見るなとばかりにぶんぶんと首を振る腰抜け貴族共。
ウィルとグレンは彼らしかできない仕事があるし、リィンは切り札。
となると――?
仕方なくメルは口を開く。
答えは一つしかない。
「――わたしが行きましょう」
仲間たちの中では最弱を自覚しているが、ここは自分がやらねばならないだろう。
メルは深くため息を吐いた。




