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イリアの世界  作者: 一集
第二章
62/75

51.城壁の攻防と閃光弾

少し時は巻き戻ってニールたち城壁組の話。




混乱していた貴族街の門はセオたちが問題なく開いてくれた。


奮起した市民を引き連れて市街へ降りていく街中組を見送り、北門組のランスと頷き合う。

ランス達も物量相手に苦戦が予想される。


互いの健闘を祈って、別々の方向へ顔を向ける。


「行こうか、遅れるなよ」

「「おう!!!」」


目指すは七層先の強固な高い壁。

広い平野に臨み、平時は人と獣との生活圏を隔て、今は最前線となっている場所だ。


「最短距離を駆け抜ける」


宣言して、ニールはトンと一度足を鳴らした。

走る前の、一動作。


ニールは軽やかに駆けだした。


「ニールに続くぞ!」


ほんの一日前、ニールと共に帰還してきた者たちはぐっと気合を入れて、苦労するだろうペース配分に今から思考を割く。

彼についていくことがそう簡単な事ではないと知っていたからだ。


だが知らない者もいる。


「え!? ちょ、速すぎます! 手加減してください!!」


他の組の帰還者たちにとってのニールの印象は、学園で見ていた何事もソツなくこなす余裕ぶったお坊ちゃんなのだ。

もちろん能力があってこその生き残りだとはわかっているが、それがどんな能力か、など知る由もない。

彼らを責めるのは酷だろう。


「慣れることだな!」


ニールからは柔らかさもない、すげない答えが返ってきた。


「くそが!! お前もウチのリーダーたちと同じタイプかよ!」


これでも手加減をしていることを同組の帰還者たちは知っていたが、返した最後の悪態は、どこも同じような統率者に振り回されていたのだと推測できて、思わず噴き出した者もいる。


「……遠いな」


そんなやりとりは右から左で、ニールは一人城壁までのルートを頭の中で思い描きながら呟いた。

自分たちだけなら前を塞ぐ建物も、層を分ける壁も、跳んでいけるのだが生徒たちを引き連れてとなるとそうはいかない。


それでも冷静に最短距離を選べるのは、昔から何かと市街へ下りていたからだ。

食べ歩きにハマった時期には、誰の見つけた店が一番おいしいか、イリアを連れてその反応を伺ったものだ。


こんなところで役に立つとは思いもしなかった。

少しの皮肉と不幸中の幸い。


思うところはあったが、頭を切り替えて駆けながら指示を飛ばす。

時間があるのなら有効に使うべきだった。


「今後の行動は三人一組。内訳は任せる。組んだら詳細を報告してくれ」


北門組(ランス達)と違ってバラけることが前提のニールたち城壁組。

グループ制にして五人一組辺りが一番戦闘能力が高く、互いにフォローがしやすいと個人的には思っているニールだが、人数に限りがある今、それをしてしまうと小回りが利かない。

そもそも、メルに守れと言われた範囲が広すぎるのだ。

少々火力は薄くなるが、これくらいが最適だろう。


奇しくも北組のときと同じスリーマンセル。

良くも悪くも、これが最低人数だった。

つまりは遺跡群の逃走からずっと、長いこと最低な状況を続けさせられているわけである。


言われた方は無言で互いに目線を合わせた。

限界近くの速度で走りながらのミーティングなど誰が予想しただろう。

初対面の者すらいるのに、それぞれの相性を考えてグループを作れとはなんと鬼畜な要求か。


「連絡役に一人、傍に欲しい。必要な能力は永久に閃光弾を打ち続けられる魔力と、指示を正確に閃光弾に打ち換える能力だな」


黙っているとますます要求が高くなって、生徒たちは閉口した。


実は言葉を閃光弾に打ち換えるのはなかなか骨が折れる。

消費魔力こそ少ないが、音と色と形、それから点滅間隔と点滅速度と高さ。

基本構造だけでもこれだけある。

正確にそして早く、となると、国でも専門職を用意する程の話だ。


「僕が」


その役を引き受ける、と後方から静かな声がした。


「名は?」

「ユリウス」


彼は家名を名乗らなかった。

今となっては意味はないし、あったとしても大問題だ。


今はただ、出来ることだからそう主張したに過ぎない。


短いやり取りのあとに、ニールは了承の証に頷いた。

ユリウスには彼が自分が誰か(・・・・・)を知っているのかは、その態度からは察せられなかった。


後ろでは怒鳴るでもなく幾つかの会話がテンポよく交わされているのが聞こえてくる。

喧々囂々とはならないのが、経験値のおかげだとすると何とも複雑な気分だ。


具体的には両隣の人間と仮のチームを作り、言葉短かに自分の戦力をプレゼン。

それが終わればチーム単位で両隣と戦力の確認。

最低限の体裁を整えつつ、「弱点を埋める」、「戦力を均す」、「特色を出す」、の三択を繰り返した。


「俺んところが少し歪だな。後援か回復か、守りに強い奴が欲しい」

「こちらは問題なさそうよ」

「ならこっちとメンバーを入れ替えよう。ウチは少し火力過多だ」

「わたしが入れ替わればちょうどよさそうね」

「やっぱり、偏りはどうしてもできるな」

「問題ない。自分が守りに徹しよう。器用貧乏が取り柄だ、足りない場所はカバーできる」


城壁に着くまでに決まればいいかな、と考えていたニールだが、予想は裏切られた。

良い方に、だ。


「多面攻撃に強い。押されてても、ある程度なら復帰させてやる。だが回復と持続力にはやや不安が残る」

「一点突破力ならこの中では随一の自信があるわ、でも防御力が心もとない」

「回復魔法と支援魔法を使える。拠点確保は任せてくれ。ただし、突破力や大火力に期待はナシだ」

「強いて言えば持久力。踏みとどまれと言われれば、状況が変わらない限り何時間でも粘ってやる」

「こっちは前衛、後衛、支援、スペシャリスト三人構成よ。穴はないわ」

「特徴という特徴はないけど、強いて言えば臨機応変さ、かな。スペシャリストはいないけど、対応状況の広さなら負けない」

「遠距離、中距離攻撃の多彩さなら群を抜いてる。移動力は皆無だけどね」

「移動力なら俺たちだ。どんな危急の際にでも間に合わせてやる」


途切れることなく、次々に発される言葉。

ニールの方が逆に情報整理に追われる事になった。


上出来どころか出来過ぎだ。

ざっと覚えたことを自分で確認して、漏れと必要な情報を質問で埋めていく。


満足したところで次だ。


「よし、チームに番号を割り振ろう。右から順に1、2、3~だ。頭に叩き込んで自分たちへの閃光弾(メッセージ)を見逃さないようにしてくれ」


閃光弾でどのチームを指すのかを示すには番号が一番わかりやすい。


「場所も決めておこう。正門をゼロと仮定して起点とする。南門を-100、北門が100。-50なら南門と正門のちょうど真ん中だな」


名詞や場所を数値、記号化するのは短いやり取りを実現するための基本中の基本。

ワールド・アトラスなら場所の特定には緯度と経度を使っていたが、そもそも現実世界では普及していない。

そうなると仮定が有効。


「さて、城壁が見えて来た。これが最後の口頭での指示になるかな」


七層をその足で踏破した生徒たちが口を噤んで耳を傾ける。

平坦な道とはいえ、角を曲がることも多く、加速減速を繰り返してきたにしては息の乱れは少ない。


「チーム3、持ち場は-100から-50。物量は薄いが広範囲。残っている兵士たちと協力してやり遂げてくれ」


チーム3と名付けられた者たちが無言で胸に手を当て、貴族礼を了承の言葉に変える。


「チーム7、-25までを頼む。チーム5、ゼロ地点(西門)で固定砲台だ。物量を削ぎ、門への圧を減らしてくれ。城壁の中では門が一番脆い、突破されるなよ」

「「「はっ!」」」

「チーム2、チーム5は動けない。-25から0までの範囲をフォロー」

「「「承知!」」」

「チーム4、9。二組で0から50までを死守」

「「「はい!!」」」

「チーム1、8、10。50から北門(100)まで。激戦区だ、生き残れよ。北門組の状況も考慮に入れてくれ」

「「「了解」」」

「チーム6、壁の修復強化を頼む。穴が開いたら塞ぎ、崩れそうなら直す。壁に被害を及ぼす厄介な魔物も優先的に排除を」


短く返される是の言葉を小気味よく聞いて、ニールは初めて後ろを振り返った。


「状況の変化は随時知らせること。負傷者、支援要請、一時退却、戦況悪化。報告を躊躇うようなプライドがあるなら今すぐ魔物に食わせろ。最初の持ち場なんて、多分一時的なものになる。戦況は目まぐるしいぞ。指示を見逃すなよ」


真剣な目がきっちりと揺れることなくニールを見返した。


「スタートの合図はない。所定の位置に着いたらそれが始まりだ」


理解の色を確認して、満足したニールは彼らを再びの戦場に送り出した。


「では、――散開!!」


そうして城壁組の戦いが始まった。






歩廊の上を駆けるニールに必死に追い縋っていたら、魔法の気配を間近に感じてハッとする。

避ける間もなかったが、それは頭上すれすれを飛んで、そこで弾けた。


城壁から一足で飛び上がってきた魔物がぼとりとユリウスの横に落ちる。


「ユリウス、油断するなよ? ここは戦場で、敵は空気を読んでくれない」


喉を鳴らして頷いた。


「せめて自分の身は自分で守れ」


ユリウスは心に刻む。

自分の身だけを守ろう。

それ以上、出来ることはない。


目の前の男は恐ろしかった。

全速力とも言える速度で駆けながら、パラパラと城壁を抜けてくる魔物を魔法で、時に剣で切り伏せる。

しかもすべてが一撃、一刀だ。

城壁の向こうの、行動の見えない魔物の動作すら予想して、こうして打ち落としてみせるのだから、恐怖すら覚える完璧さだった。


置いていかれない事に必死なユリウスには到底出来る芸当ではない。


しかも、すでに閃光弾がいくつも打ちあがっている。


多分ニールの目にも映っているだろし、彼がそれを読み解けないとは欠片も思わないが、ユリウスは構わず全てを読み上げにはいった。


「チーム1、……8、4も、戦闘に入ったそうです。チーム10、所定の場所に着いた。けど、思ったより状況が悪い、とのこと」


ニールの目が自分を見たような気がしたが、やめろと言われない限りはこれが自分の仕事だと思っている。


「チーム3、兵士たちと合流。兵士たちの消耗が激しい。回復作業に時間を取られる」

「他のチームに連絡。自分たちが参戦したことで余裕ができるなら兵士を向こう(チーム3)に回すように」


あるいは邪魔になるようなら。

言われたことを反芻し、間違えがないかを確認し、正確に閃光弾にして打ち上げる。


ニールからは淡々とした事実が返ってきた。


「遅い」


ぐっと文句は飲み込んだ。

遅いと言われたなら遅いのだ。


言うべきは反論ではなく、行動での応え。


「チーム9、チーム6に支援要請。壁が崩れそうなのか。チーム7、中型の群れに接触。撤退の可能性あり」

「チーム2に支援に行かせてくれ。チーム5に10分持ちこたえるように伝えろ」

「そのチーム5からチーム6に要請が入ってます」

「チーム6に連絡。西門を優先だ」


ユリウスはニールを一声呼んで、足を止める。


彼の望む早さと正確さ。

それを実現することがユリウスはできると自負していた。


だが、移動しながらは無理だ。

自分に降りかかる火の粉を払いながら、空に上がる閃光弾を読み上げ、指示を聞き、閃光弾に変え、駆けながら不安定な体勢でそれをやる?


優先順位を間違えてはいけない。

伝えることを間違えるくらいなら、切り捨てるべきものがある。


ニールは怒ることもなく、同じように足を止めた。

全てをやってみせろとも言わなかった。


ただ、状況の把握ができないことに眉を寄せただけだ。

だがまあ、そもそも王都は広い。

走って移動しても視界に捉えられる状況は高が知れていた。


「仕方がない。想定はしていた」


独り言は諦め半分。

ユリウスが聞き返す前に、ニールの姿が目の前から消えた。


「は?」


その間抜けな声が全てを表していた。

ユリウスは首を空に向ける。


「……は?」


中空に留まる人影が、そこにはあった。


「うっそだろ」


普段は使わない雑な言葉が口からぽろりと漏れて、ユリウスの動揺を示す。


そもそも、浮遊魔法、飛行魔法という言葉は名ばかりの幻想だ。

空想上の話で、机上の空論で、つまり、実現不可能な夢物語だと聞かされてきた。


グランドリエにも竜騎士なる職業がある。

空を飛ぶ竜、それを乗りこなす、最も華やかで誰もが憧れる空の騎士の事だ。

竜自体数えられるほどしかいないこの国ではエリート中のエリートである。


それが人類にとって長らく唯一の空を制する術だったのだ。

今も昔も、これからも。


――これからも?

目の前の現実に、ユリウスが首を傾げる。


「生身だ……」


どんなに目をこすっても、ニールの足元には竜はいない。

いるはずがない。


空に駆け上がったニールの方は冷静に眼下に広がる状況を把握していた。


なるべくやりたくなかったのは、単に、これをやると後にシリルにしつこく絡まれるだからだ。

しかも魔力の消費がかなり激しい。


歩廊を見ると、ユリウスばかりでなく、必死に戦っていたはずの兵士たちすら空を見上げて喚いている。

それくらいの大事だった。


一つため息を吐いて、隙のできた彼らに死の一撃を食らわせようと構えている魔物たちを魔法で撃ち抜く。

自分のせいで死んだとなっては寝覚めが悪い。


長居はするべきではなさそうだと、ニールはさっさと空を後にする。

すとんと、危なげなくユリウスの隣に降り立った。


「……あなた方は、一体なにものなんです?」


開口一番、ユリウスはそう聞いた。


ニールは少し驚いたように目を見張り、続いてにやりと笑った。

ニールにしては珍しい笑い方だったが、それをユリウスが知る由はない。


「イリアの弟、かな」


イリア。

誰だ、それは。


ユリウスがそれを聞く暇はなかった。


「チーム2に連絡。小型の大群がゼロ地点に押し寄せる、持ち場に戻れ。チーム5、50m付近を線砲火。火力より面だ。数を減らすことに集中。チーム6、その場に留まり群れをやり過ごすまで門を守れ。打ち漏らした中型の処理も頼む。チーム3、-50に移動。-60から-100を兵士たちだけで20分持たせる。兵士たちに支援魔法でもなんでもかけてやれ」


怒涛の指示が飛んできたからだ。


「チーム2、5了解。チーム6、すでに30付近にて壁の修復作業中。中断してでも行くべきか。チーム3、兵士たちだけで20分は不可能。支援に一人残してもいいか」

「チーム2、完了してから急行。チーム3、チームを分けることは許可できない。兵士たちに任せられないなら、そこも自分たちで面倒を見るように(なんとかしろ、と)伝えてくれ。チーム7の状況は?」


考えている暇はない。

無心は無理だ。

優秀だと常々誉めそやかされてきた頭脳をフル回転しながら、ユリウスは歯を食いしばって喉奥で唸った。


誰だ、自分が他より秀でているなんて嘘ばかりを吹き込んできた人間は!

全てが終わったら絶対に一発殴ってやろうと、八つ当たりのようなことを思う。


たまに迫ってくる魔物を払い、上がった光を読み上げ、閃光弾を打ち続けた。

動きなんてほとんどない。


……なのにひどく息が上がっていた。


いつの間にか魔力が半分を切っている。

気付いた瞬間、どっと冷や汗が出た。


閃光弾は魔力消費が少ない。

周知の事実だ。

だが、それは自分の実体験ではなく、教科書に記されただけの情報。

授業で何本か打ち上げたことはある。

でも、こうも連続して、集中して、間違えも許されない状況で、長時間打ち続けたことはない。


なかったのに、「できる」と言った、思った、確信していた。


自分が戦線維持の要なのだとユリウスにもわかっていた。


動揺でみっともなく震える手で腰の水薬(ポーション)を呷りながら、イヤな事ばかりを思い出す。

水薬にも限りはある。

しかも連続で飲めば、回復量は目減りしていくのだ。


これでは最後まで持たない。

魔力切れ、それだけはやってはいけない事だった。


焦るな!

言い聞かせた。


でも、なんとかしないと。


ニールに報告するべきか?

支援魔法か、回復魔法を頼むべきか。

あるいはこれだけ兵士がいるのだから、閃光弾に慣れた者もいるだろう、役割を変わってもらおうか。


――いや、出来ることをすべてやってからでも遅くはない。

ユリウスはそう結論した。


魔力の消費に無駄があるのならば削ればいい。


魔力に変化を促すことなど、やったことはない。

魔法は才能で、兄のように上手い人は生まれつきで。

だから、ユリウスは授業で教えられたことをただ実践してきた。


でも、そうじゃなかったら?

あの兄の美しい魔法すら、研鑽の結果だとしたら?


深く、息を吸って吐いた。

呼吸を整え、泣き言を言おうとする口を封じる。


「チーム7から返信。中型の群れを抜けたが魔力の消費が激しい。態勢を整え直したい」


ユリウスの動揺など関係なく、閃光弾は途切れないから戦況を声にし続ける。


――やろう。

やって見せる。

いま、ここで、やる。

死ぬ気で。


兄なら、出来る。

彼の弟なのだから、僕にだって出来る。


「そんな暇はない、-35まで移動を。チーム3の状況が悪い、相互協力しながら持ち直せ。チーム8、90(北門)付近まで移動。ランス達に門だけ守るんじゃねー(サボるな)と伝えろ。チーム1、群れの中に一匹中型キメラ(厄介なの)が隠れてる、注意を」


そしてユリウスはそれでも一つも間違えなかった。

一つも打ち漏らさなかった。

魔力を途切れさせることもなかった。


それは称賛に値する。

だが、誰かが一人でどうにかできるような状況はとうに過ぎていた。


「ユリウス、全域への警戒連絡」


もう一度飛び上がって戦況を見ていたニールが、着地するなりそう言った。

え? と仕事に没頭していた頭を動かし、久々にニールの顔を仰ぐ。


「ついに来たぞ、大型種のお出ましだ」


その唇が、不敵に釣り上がっているのを、ユリウスは確かに見た。


「俺も出る」


だから。


――あとは任せた。


この世に生まれ出て十数年。

その後の人生何十年。

もっとも仰天したのは、この言葉だったと、ユリウスは死ぬまで言い続ける羽目になった。






活動報告に登場人物紹介を書きました。

お暇がありましたら、見てやってください。



それにしても話が進まない。

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