19.学園と弟たち
学園での彼らの話を少ししよう。
そこが生活の全てではないが、そこもまた、彼らの生活の一部であるからだ。
一クラス目に所属するニールとグレンは着かず離れずの距離を上手く保っていた。
同じ伯爵家、実力的にも家柄的にもまさしくライバルと目される二人であるが、人当たりのいい部類である二人だからそんな周囲の邪推を見事に煙に巻いていた。
目下、クラスメイトたちには良き友と認識されている。
このクラスは成績優秀者が集まるだけに品行方正な者が多い。
大人しい者が多いと言った方がいいか。
その中で、生来面倒見がいいグレンは人望が高かった。
静かなだけで我が強いとも言い換えられる彼らを穏便に、上手くまとめられるグレンの評価は教師陣からはすこぶる高い。
対してニールは、と言えば穏やかな「支配者」だった。
いささか不穏な単語であるが、表情一つで人を動かす者を他に何と言えばいいのか。
彼は決して声を荒げない、権力を振りかざすわけでもない、力を誇示するわけでもない。
それでもその言葉には従いたくなる、抗い難い力があった。
ニールの出自を知る者は多かったが、その所作には粗暴さの欠片も見当たらず、生粋の貴族よりも貴族らしいと言うのが彼らの一致した意見。
クラスメイトたちはまだ大人に成りきれない少年少女たちであるから、諍いも時に起こる。
そんな時、ニールは止めはしない。
ただ、姉ゆずりの感情のない目で一瞥し、興味をなくした様に席を離れるだけだ。
慌てるのは周囲。
「ま、まって、呆れたのかい?ごめん、ちょっとした口げんかなんだ。本気じゃないさ、二人とも。そうだよな!?」
「ああ、そう!そうなんだ!すまない、怒らないでくれ」
「申し訳ございません、ニールさま!二度と不快にさせることはいたしません、どうぞお許しを!」
ニールに群がって何とか引き留めようとするクラスメイト達は捨てないでと縋る恋人もかくやと言った有り様。
それを笑えるのはニールと肩を並べられるグレン位なものだ。
例えば何かを採択しなければならない話し合いで、クラス中で意見を一致させたのに、最後に彼らが視線を向けるのはニール。
皆の視線を受けて、ニールは首を傾げる。
「ん?僕の意見?…いいんじゃないかな?」
穏やかに微笑む彼の一言がGOサイン。
こんな空気が自然と出来上がっている。
クラスのヒエラルキーはいつの間にか強固に出来上がり、行動に枷をはめられた彼らは実力に違わぬ優秀者と評価されることになる。
二クラス目にはリィンとメルがいたが、こちらも一クラスと似たような状況だった。
クラスの雰囲気としては一クラス目よりもさらに我が強い。
自らを優秀とする自負があり、二クラスに甘んじている自分に苛立ち、自分はこんなところにいる人間ではないとする選民意識をほとんど全員が持っている。
自分を棚に上げて、こんなところで足踏みをしている程度の連中だとクラスメイト達を見下す厄介な級友たち。
「度し難い。だから二クラス目なんでしょうに」
笑みを張りつけたままクラスメイトを評したメルの辛辣な意見である。
「王様、何とかしてくださいよ。雰囲気が悪くていけない」
「自分でやればいいだろう?面倒臭い」
メルがリィンを王と揶揄するのは、この学年ではリィンが最も貴族として高位にあるからだ。
そんな高位貴族が同じ教室にいるとなると、クラスメイトたちも見下せばいいのか、へりくだればいいのか対処に困るところだ。
態度を決めかねている彼らを余所目に、リィンは欠片の動揺も見せずに通常運転。
周囲の何物にも目を留めず、鷹揚に、横柄に振る舞い、クラスメイト達が戸惑っている間に、彼はそういうものだと受け入れられてしまった。
つまりはクラスの王様。
容姿に関しては言うに及ばず、現王家の特徴を色濃く継いでいる。
そして無駄に態度が大きい。
だが世事には無関心。
何にも心を動かされない孤高の王の出来上がりだ。
触らぬ神に祟りなし。
何もしない、けれど無駄に存在感がある柱がこのクラスにはある。
「あなたのそういうところ、尊敬しますよ」
メルが溜息を吐きながら、つまるところ何もしていないリィンの、黙っていればここまで祭り上げられる存在感を褒めた。
一方のメルは不動の王の威を借りて如才なく振舞っていた。
自分の地位を出来るだけ上げて、けれど反感も買わぬよう。
王を動かせる唯一の人間と言う立場はメルのクラスでの立場を思った以上に強化してくれた。
「リィンさまさまですね」
権力はいいものだと嘯くメルにリィンは物言いたげな目を向ける。
現実でリィンに近づきすぎると政治的に問題が起こる可能性が高い。
それを危惧してのことだ。
大公家の名は伊達ではない。
言葉にせずとも察しのいい友は言いたいことをわかってくれる。
「わたしを誰だと?」
メルが不敵に笑うから、リィンは何も言わずに場所をあけた。
隣を。
リィンの信頼が危惧に勝るのは長年の友たちとイリアくらいのものだ。
メルは「よくできました」と躊躇いなく隣に落ち着く。
独りは嫌いだ。
けれど、リィンの近くには闇が蠢いている。
それに食われる様を見るよりはマシだと思うから孤高を気取る。
「さみしがりのくせに、無駄に辛抱強い」
そんなわけでメルは、身分平等の建前がある学生のうちくらいは傍にいてもいいだろうと思うのだ。
「さて、彼らにも家族に対する言い訳を仕込んでおきましょうか」
リィンに近付いても咎められない言い訳。
級友たちが同じように接するのならメル一人が目立つこともない。
メルの働きにより、この二クラスは例年になく団結力のあるクラスになるのだが、それはもう少し先の話。
三クラス目にはウィルとセオがいるが、ここは問題児だらけのクラスだった。
一、二クラスと違って目立つのは劣等感。
卑屈に歪んだ心の持ち主が多い、と分析したのはセオだが彼は特に何もしなかった、わけではない。
どちらかと言えば騒乱の種を振り撒く側に回った。
学年では有数の高い地位を持つウィルがいようともクラスの雰囲気は変わらず。
寄ると触ると騒ぎを起こし、それを収拾する人物もいない。
挑発するセオ、皮肉家のウィル。
両名とも問題児扱いだ。
教師陣も、そんな問題児を何十人といる、つまりクラス全体が問題児であるこのクラスには手を焼いていた。
最後まで平穏に授業が成り立った試しがない、と言えばその酷さがわかるだろう。
が、しばらくして思いもよらない事実が示される。
このクラス、なぜか例年より圧倒的に成績がいい。
教師たちは頭を捻った。
授業すらまともに進められないと言うのに、一体どうしたことか。
答えは意地である。
彼ら問題児集団にもプライドはある。
劣等感がある、卑屈になる、ということはそれだけプライドが高いとも言い換えられた。
そんな彼らは、皮肉り合い罵り合い掴み合い殴りあって、馬鹿にし、馬鹿にされた相手に負けるわけにはいかなかったのだ。
元来、この三クラス目は問題児が集まりやすいクラスだった。
しかしその気質から内に籠り、当て擦りや陰湿な嫌がらせが頻発するはずの三クラスは、この学年に限ってはまるで街中のガキどもを見ているかのよう。
言いたいことは言う。
思ったことも言う。
気に入らなければ殴り掛かればいい。
そして言っただけの結果は残さねばならない。
そう言ったのは誰か。
なぜ「こう」なったのか。
誰も思い出せない。
今では問題児の一人として埋没しているとある二人が入学早々にやらかした。
取っ組み合いのけんかだ。
「文句があるのなら言ってみろ、その口は飾りか?物言いたげな目で見られても伝わらんぞ。それとも俺に告白でもしたかったか?それは公衆の面前で悪いことをしたな!」
「は!権力を笠に着てもこんなクラスに落とされた出来損ないが何を言う。」
「ほう、ならば問う。お前はこの出来損ないの俺に何が勝る?」
「何もかもだね。お前が俺を見下している内は、負けるわけがない」
「では口ではなく証明して見せるんだな」
身分も知れない弱小貴族が、あの侯爵子息に絡まれた時はどうなることかと思ったが、弱小貴族は予想に反して食って掛かった。
そして侯爵子息は権力を振りかざさなかった。
だからクラスにはタブーがなくなった。
弱小貴族は言葉通り、結果を叩き出す。
「どうだ、土下座でもする気になったか?お坊ちゃん」
「…ふん、自分の言葉を忘れたか?何もかも勝ると言ったのだぞ、俺が勝っているものが如何ほどあると思っている?」
「負け惜しみは止めることだな」
互いに譲らない成り行きをはらはらと眺めていたクラスメイトたちに、休戦の言葉がやっと聞こえてくる。
「だが、口だけのことはある」
「口だけの奴ほど見苦しいものはない」
「なるほど、道理だ」
言葉は妙に頭に残った。
鬱屈は口に出すべし。
売られた喧嘩は必ず買うべし。
権力を振りかざすべからず。
口に出した以上、結果を残すべし。
それが三クラスの破られざる鉄則だ。
四クラスにいるのはシリルだが、特筆すべきことはない。
タリルタロスの名に相応しく、女生徒を独り占めしている者がいる、ということ以外は。
「シリルさま、お次の授業は移動になりますわ」
「ご用意はしておきました」
「さあ参りましょう」
ちやほやとされて照れるわけでも恥じ入るわけでもなく、「ありがとう」と満面の笑みを向ける少年に女生徒たちは頬を緩める。
「ああ、シリル様はやはりお可愛らしいわ」
「本当に。他のむさ苦しい男どもとは天と地ほどの差ね」
ときめき相手というよりは愛玩動物といった扱いだったが、シリルは気にしていない。
気にするのはむさ苦しいと称された他の少年たちだ。
そんな彼らも敵意を乗せた目でシリルを見ていたのは初めだけだった。
「ちょっと、何を見ていらっしゃるの?もしかして、シリル様を睨んでいらっしゃる?あなたが?シリル様を?」
「ほほ、みなさん、お聞きになって。あそこにいらっしゃる殿方がシリル様を睨んでいらっしゃったの。」
「まあ、それはいけないわ」
「心優しいシリル様のお心を痛める前に真意を問いただすべきだわ」
「そうね」
「そうね」
集団の女性に勝てる男はいない。
そんな具合に心は早々に挫けた。
「女など、学びの道には不要!」
「ああ、俺は脇目も振らず立派な騎士になると決めているんだ」
「おお、友よ。志を共にする親友よ!」
「なに!?お前もか。どうだ、共に語り合わないか」
と、まあ、男女それぞれの仲はとてもいい。
五クラス目にはランス。
一言で言えば脳筋の集まりである。
全員ランスの仲間か、とは友人たちが思わず漏らした感想だった。
問題は力で解決すべし。
勝てば官軍。
強い方の言い分が正しい。
ランスには好ましい、まったくもって納得の出来るルールだった。
が、そうは問屋が卸さない。
このクラスでは、ランスは英雄だった。
なにせ一度も負けたことがない。
しかし、ランスに殴られた男たちは最終的にこう叫ぶ。
「兄貴ー!どうか、兄貴と呼ばせてください!」
ランスは鳥肌を立てながら間を置かず返す。
「いやだ!」
女性相手でも負けてはやらない。
ランスの矜持が許さない。
「ランス様、女性と侮らずお相手くださいましたこと、心より感謝を。つきましては師と仰いでもよろしくて?」
だが、なぜすべてがこう帰結するのか、ランスには納得がいかない。
彼女に返す答えは一つ。
「断る!」
このクラスの中にあっては、なぜか自分が一番の常識人なのではないかと疑問を抱かざるを得ない。
「なぜ!?兄貴は兄貴です!何ものでも無く兄貴なのです!」
「お、落ち着け。言っている意味がわからん!」
「お師匠様、ここに居らっしゃったのですか!」
「俺はお前たちの兄になった覚えもなければ、君たちの師になった覚えもない!」
「そんな!」
「ええい、寄るな!触るな!群がるな!」
考えるのも、采配を揮うのも、集団を纏めるのも自分の役目ではなかったはずだ。
好き勝手に意見して、やりたいことをやってきた過去を振り返る。
「…悪いことをした。これからは自重しよう」
猪突猛進のランスに我が身を顧みらせたクラスメイトたちを、幼馴染たちは手放しで称賛した。
「なぜだ!?」
ランスの叫び声が空しく響く。
そんな愉快な日々を送っている弟たちだが、客観的な成績としてはそこそこ目立ち始めてもいた。
ニールの、魔法と融合した剣技。
グレンの強力なシールド魔法。
リィンの希少な光魔法。
メルの座学成績。
ウィルの膨大な魔力。
セオの、光魔法より使い手の少ない闇魔法。
シリルの天才的な風魔法。
ランスの圧倒的な武技。
威力を削りに削り、基礎魔法に限定してもこれだ。
彼らは揃って苦笑をしたが、これ以上抑えろと言われも現実的ではない。
上級生たちからは度々パーティーの誘いが舞い込むようになった。
パーティー。
もちろん舞踏会ではない。
単位として大きく幅を取る実習の話だ。
騎士を目指す者、士官を目指す者は冒険者として中堅にあたるランクに引っかからなければ話にならない。
自分の将来に直結する話だけに、彼らは必至だ。
同学年では優秀なものは粗方上級生と組んで名を上げはじめている。
一発逆転を狙うにはまだ見出されていない原石を狙うしかない。
目を皿のようにしている上級生たちに、当然彼らは引っかかった。
ワールド・アトラスにあってはいまだ若輩。
目指すものは遠く、いまだ道半ば。
折れず、怯まず、前進あるのみ!と言い聞かせながら苦悩と共に歯を食いしばって歩いているというのに現実ではこの扱いだ。
困惑するなと言う方が無理な話。
取りあえずは無難に、一年の実習で冒険者になるまではパーティーを組むことを考えていないと断っている。
事実、一年次のカリキュラムの中に、実習として外に出向く授業がある。
魔物と実際に遣り合うための必須授業で、全員が参加を求められている授業。
魔物を狩るという性質上、その時に全員が冒険者として登録することになる。
例年、この冒険者登録を以ってパーティーの勧誘開始となるのだ。
時は瞬きの間に過ぎる。
一年の半ばを迎える頃、全員が緊張を以ってこの実習を待っていた。
人数が人数なだけに、日程は決められていて、一クラスずつになる。
もちろん先陣を切るのはニール達の最優秀クラスだ。
ギルドの建物に足を踏み入るのも初めてだろう、引率され、戸惑いながら持参のカードに登録していくクラスメイト達。
ニールとグレンだけは懐かしいと感じていた。
もう二年以上も前に、こうしてワールド・アトラスでも冒険者登録をしたものだ。
先にグレンの番がきた。
「あら、珍しい。グリーンカードだわ」
グレンが差し出したカードを受け取って受付嬢は呟いた。
いつだかのギルド職員の言葉がよみがえる。
『ほう、グリーンカードか、珍しいものを見た』
おかしくて思わずグレンは口の端を上げる。
が、次の言葉は予想外だった。
「三人目ね」
グレンは少し間を空けた。
驚いた分だけの時間。
「三人目?他にグリーンカードを持ちこんだものが二人ということか?」
年下の若輩者であろうと、ぞんざいな口調は貴族であれば当然。
何の疑問もなく流される。
「は、はい」
グレンに話しかけられたのがよほど意外だったのか、受付嬢は戸惑ったように答えた。
普通貴族様は命令と無理難題しか言って来ないものだから。
会話を知らないものかと本気で思っていた。
「それはこのグリーンカード?まったく同じ素材の?」
「同じ、素材だと思います。珍しいからよく覚えているので」
この学年ではこのクラスが一番乗りで、ニールがまだ登録していない以上、グレンが一番目であるはずだ。
「持ち主がどういった者かは教えてもらえるのだろうか?」
受付嬢は少し息を飲む。
やはり貴族だ。
無茶なことを言って因縁をつける気なのだろう。
自らの呟きが原因とは言え、後悔は先には立たない。
これに懲りて以後は不要な言葉は慎むことにしよう。
だが、ここは自分の失態から起きた事態。
意を決してギルド職員として対応しなければならない。
貴族の不興を買っても、国境を持たないギルドなら、場所さえ選ばなければ仕事にあぶれることはないはずだ。
そこまで考えて、受付嬢はマニュアル通りに断りの言葉を慎重に吐く。
「…自らお調べいただくことは禁じておりませんが、私どもが情報を漏らすことは禁止事項に当たります」
飛んでくるだろう叱責の言葉に身を強張らせていた彼女だが、グレンは強張った顔の彼女の様子から要らぬ警戒を与えたようだと反省すらしていた。
「まあ、当然だな。貴方を困らせたかったわけではないのだ、失礼した。」
素直に登録の終わったカードを受け取り、順番を譲る。
受付嬢は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
肩透かし過ぎて気が抜けたらしい。
結局次の者がカードを差し出しても呆けてなかなか受け取らず、苛立ったクラスメイトに叱責の言葉を受けたようだったがそこまではグレンの責任の範疇ではない。
登録を終えたグレンが順番待ちをしているニールの傍に寄っていくとニールの方から話しかけてきた。
「無事に登録できたか?」
「ああ」
ひらひらとグリーンカードをひけらかして見せる。
それから今思い出したと言わんばかりにそういえば、と切り出した。
「グリーンカード登録の先達がいるようだが、お前知っているか?」
「うん?受付で言われたのか?」
それに頷いたグレンの緊張に気付いてニールは安心するように笑顔を返す。
「冒険者に姉さんが一枚やったんだ。たぶんそれのことだよ、心配しないでいい」
この世界で最重要アイテムとなりつつあるグリーンカード。
偽造や複製ができるとは思わないが、慎重になることに否やはない。
「…そうか、ならいいんだ」
詰めていた息を小さく吐き出すグレンを見て、ニールは穏やかに笑う。
その肩を叩き、ニールは短くなっている列を進みグレンと離れる。
「冒険者が一枚、ね」
グレンはグリーンカードを唇にあてて思わず呟いた。
グリーンカードの持ち主は、自分たちがそれぞれ一枚、計8枚。
それからイリアが一枚。
そして件の冒険者が一枚。
なるほど、先達の一人はその冒険者だろう。
イリアからカードを受け取った人物ならいつか会ってみたいものだが、問題はそれではない。
三人目が自分。
「なら、二人目は?」
イリアが冒険者にカードを渡したように、新たに作って誰かに渡したのかもしれない。
が、単純に考えるなら。
ちらりと通り過ぎたニールの背を見る。
「いや、考えるのは止めておこう」
答えを出したなら、ニールに言わなければならず。
言ったのならニールは真相を求めて姉の元へ飛んでいくはずだ。
それはきっとイリアの望むところではないだろう。
「今度は一体何をしているのやら」
実習に出る前からどこか疲れたような深い溜息を吐いて、グレンはどこかで何かをしているだろうイリアに呆れた声を向けた。
貴族位としては。
リィン>ウィル>ニール=グレン>メル=シリル>セオ>ランス
覚えなくても問題はない。




