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不安

次の日リトはさゆが来ている事を信じて屋上へ向かった。

本当は今日は病室にいなければいけないのだがどうしてもさゆに会いたかったから…

ガチャ。

屋上のドアをあける。

そこには難しそうな顔をしたさゆがいた。

「どうしたの?なんかすごく難しそうな顔をしてるよ?」

「そうかな。何かに怒ってたきがするの。でもねそれが何か思い出せない。」

「そっかぁ。思い出せるといいね。」

そう言ったリトの顔をさゆが覗き込む。

「あなたは不安そうな顔をしてるね。」

見透かされた様だった。

「そう?俺は別に…」

「あなたは私の悩みをきいてくれた。だから今度は私の番だよ。言ってあなたの悩みさゆが受け止めてあげる。」

きっと無意識に言ってるんだろうけど今の言葉は反則だよ。

思わず顔が紅く染まる。

それがばれないように下を向きながらリトは話はじめた。

「俺ね。明日手術なんだ。手術とかしたことないし、可能性も五分五分だし不安なんだ。」

そう言うとさゆは笑顔になる。

「やっぱ。男のくせに不安だなんて。はずいよな。」

「ちがうよ。私が笑ったのは嬉しかったからだよ。普段、男の子っていつも強気でしょ。でもそんな男の子が弱音を自分に言ってくれるって嬉しいじゃん。」

「でも…」

「大丈夫だよ。さっき言ったじゃん。わたしが受け止めてあげるって。ね?」

そう言うとさゆはいきなりリトを抱きしめる。

嬉しいけど…

嬉しいけど…

身がもたねー。

「大丈夫。大丈夫。きっとうまくいくよ。」

「ありがとう。もう大丈夫だから離して。」

するとえーって言いながら身体を離す。

「いつでも言ってね。抱きしめてあげるから。」

そう言ってさゆはニコニコ笑う。

「大丈夫だよ。じゃあ俺もう行くね」

屋上から出ようとしたリトをさゆが呼び止める。

「待ってるね。あなたが来るの。」

リトはその言葉にニコニコしながら病室に戻った。

それからはさゆのおかげでリラックスができた。

そして次の日。

「リト大丈夫?」

母親が顔を覗き込む。

「大丈夫だよ。俺は平気だから」

いよいよ手術がはじまる。

母親は手術室に消えていく俺を見送った。


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