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表情

「はぁ。そんなつもりで言ったんじゃないのにな。」

それからもリトは屋上に通い続けた。

しかしそこにさゆの姿はない。

「あー。リトくん!久しぶり〜。」

そこにはあの時の看護師さんがいた。

「順調?」

「う〜ん(#+_+)そうでもないです。」

「そう?だいぶましになったと思うけど…」

「どこがですか?まだ名前さえおぼえてもらえなくて今だって嫌われて来てくれないんですよ」

「リトくん。相変わらずだねぇ。考えてみなよ。今さゆちゃんは何かに腹をたててこないんだよ。ということはおぼえてくれてるんじゃないの?」

「それはそうかもしれないけど…」

すると看護師さんはニヤニヤ笑って

「そっかぁ。会えないのがそんなに寂しいんだぁ。はい。これあげる」

看護師さんがくれた紙をひらくとそこにはさゆの病室番号がかかれていた。

「行きなよ。好きなんでしょ。いつかきっと届くよ。あなたの気持ち」

リトは紙を手に走り出す。

看護師さんに注意されても気にすることなく。

ただ会いたいという気持ちから。

病室の扉をノックする。

コンコン。

「は〜い。」

返事がきたので中にはいる。

そこには見知らぬ女性がいた。

「あの〜?」

「リトくんよね?」

「はい。そうです。」

「私はさゆの母親です。」

「えっと。その〜。さゆちゃんは?」

「さゆ?散歩に行ったけど。いっしょじゃなかったの?」

「実はおととい怒らしてしまって…それから屋上に来てくれないんです。」

するとさゆのお母さんは驚いた顔をした。

「怒ったの?あの子が?」

「はい。そうですけど…」

そういうとさゆのお母さんは微笑んだ。

「あの子ね。病気になってから笑わないの。泣かないし怒りもしない。感情がないの。前に弱音をはいたっていいのよって言ったの。でも、私は大丈夫だよってつくり笑いをする。だから私はどうする事もできなかった。だからあなたに感謝してるの。」

「そんな事があったんですか。」

その話を聞いてリトは少し涙ぐんでいた。

「俺、がんばります。さゆちゃんに笑ってもらえる様に。そしておぼえてもらうために」

そう言ってリトは病室をでた。

普通なら探しに行きたいけどリトは今胸がいっぱいだったため自分の病室に戻った。


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