現実と不安
次の日リトは憶えてくれている事を祈って屋上にいった。
「こんにちは。」
胸が高鳴る。
しばらくしてからさゆはゆっくりとつぶやく。
「あなたはだぁれ?」
頭を金づちで叩かれたみたいだ。
でも残念がってる様子なんてばれないように
「俺はリトだよ!」
「私はさゆ。よろしくね。」
今までと何も変わらない一言。
そんな日々が続いたある日。
「リトくん!そろそろ答えをきかせてくれないか?」
医者がリトに問う。
「もう少しだけ待って下さい!」
この日リトは憂鬱な表情をしてさゆの元へ向かった。
するとさゆはリトの顔をジーっとみつめる。
「ねぇ顔色が悪いよ。どうしたの?」
まさか気づかれるとは思わなかった。
「べ、別に何も…」
するてさゆはプーっとふくれた顔をする。
「嘘つき!私じゃ頼りにならない?」
「そういう訳じゃないけど…」
「じゃあ話して。ぜ〜んぶ」
リトはため息をつく。
「わかったよ。俺さ今悩んでるんだ。手術するかしないかで。でもその手術は成功確率が50%でさ。どうしよっかなぁ…」
話終えたリトはさゆのほうをみた。
さゆは目があった瞬間叫ぶ。
「50%あれば充分だよ!私は手術も治療も出来ない。初めから治る可能性なんて0%なんだよ。そんな私に50%で不安なんて言わないでよ。リトのバカ」
そう言ってさゆは屋上から出ていった。
リトはさゆが出ていった屋上のドアをしばらくみつめていた。