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ふた
さゆの事が好きだと自覚したリトは次の日から通うのが恥ずかしくなった。
いつもみてるさゆの顔がいつもより何倍もかわいくみえたから。
でも通い続けてわかった事がある。
それはさゆの表情が毎日かわらない事。
他の人からみたら普通だと思うけどさゆの表情はつくり笑いだ。
「なぁさゆ?」
「なぁに?リト」
「さゆは不安にならないの?こわくないの?」
するとさゆはまたつくり笑いをして
「平気だよ〜!私、強いもん。」
さゆの返事を聞いてリトはこんな質問をした事を激しく後悔した。
抱きしめたくてたまらない。
無理につくり笑いをするさゆの頭をなでた。
ポンッポンッって。
するとさゆは悲しそうな顔をした。
抱きしめてあげる事が出来ればどれだけ幸せだろう。
けど俺が抱きしめたら二人の関係が悪くなるかもしれない。
だってさゆからしたら初対面の男の子だもんな。
さゆへの気持ちなんて気付かなければよかった。
そうおもうのは俺の勝手だろうか。
この時リトはさゆへの気持ちにふたをした。