悲しき覚悟
なんでそんな事言うんだよ。
俺は…
気がついたらリトは屋上にいた。
何かあったら屋上に来る癖がついてるみたいだ。
「やっぱりここにいたんだ。リトくん。」
「おばさん。きいてたんですか?」
「えぇ。いずれ言うと思ってたから」
「どうしてそんな簡単に割りきれるんですか?だって死を覚悟するって事ですよね?」
するとさゆのお母さんは悲しそうな顔をして言った。
「さゆね、わかってるのよ。自分の事。この前ねさゆに自分の事は自分が一番わかるって言われたの。」
「じゃあさゆはわかったうえであんな事を…」
「ねぇリトくん。こんな事を言うのは間違ってると思うけど。さゆに最後の幸せをあげてくれないかな?
今わたしに出来る事はもうないの。
でもあなたにはあるのよ」
そう言ってさゆのお母さんは優しい涙をながした。
そして、行ってしまった。
どちらが正解かなんてわからない。
医者として最後まで一生懸命治そうとするのか。
それとも、葉山リトとしてさゆに幸せをあげるのか。
簡単に決めれる事ではない。
でも俺に選択肢はない。
だってあの日誓ったんだもんな。
さゆのまえで…
俺が出来るかぎりさゆを幸せにすると。
自分の考えが決まったリトはさゆの元へ走りだした。
悲しき覚悟をきめるために。
そろそろ終盤です。
感想とか頂ければさいわいです。