表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/19

デート

「なぁさゆ。どこに行きたい?」

今日のさゆは私服でいつもの何倍もかわいくみえる。

「うーん。ショッピングとか?」

「わかった。じゃあ行こう」

どこかぎこちない二人の様子。

あと一歩がちぢまらない二人の距離。

「さゆ。これとかどう?。」

「わぁ。かわいい。じゃあ私これにする。」

それからさゆは不安な事を俺にもらした。

「ねぇリト。私たちカップルにみえるかな。」

「大丈夫だよ。みえるよ。」

その時さゆと手があたりどちらともなく手をつなぐ。

そうだよね。

考えてちぢめる物じゃない。

いっしょにいれば自然にちちまるよね。

「リト。今日はありがとう。」

「いいよ。これくらい。俺も楽しかった。」

それになさゆ。

俺はさゆのその笑顔がみられるならどんな事でもするよ。

「リト。私ね。病気になってからずっと病院にいたから、私今日が今まで生きてきた中で一番幸せかも。」

大袈裟だよって思うけどさゆにしたら普通の事が特別なんだよな。

「じゃあ、その幸せをこれからいっぱい体験しよ。俺がさゆの願い叶えてあげる。」

「ほんと!すごくうれしい。ありがとう。」

それから2人は手をつないで病院まで帰った。

「おかえりなさい。さゆ。」

「お母さん。私ね、私ね…」

「話は病室できくわ。」

「うん。」

「じゃあさゆ。今日はゆっくり休んでね。」

「うん。ありがとう。リト。」


「葉山先生。さゆちゃんの様子は?」

「今日はすごくおちついてました。」

「そうですか。よかったですね。」

「えぇ。よかったです。さゆも楽しめたみたいで。行ったかいがありました。それとこれからもさゆの願いを叶えてあげたいんですけど…」

「わかりました。」


「ねぇさゆ。今日は楽しかった?」

「うん。でもちゃんとリトの事も考えてるよ。できるだけリトの負担にならない様にする。」


そして、デートの次の日からさゆの願いを叶えるのが日課になった。


「今日は料理がしてみたい。」

「わかった。俺が教えてあげる。」

「こうやって2人で並んでつくってると新婚さんみたいだね。」

「ほんとだね。」

2人は幸せをかみしめる様に微笑みあった。

そして互いに心の中でこんな幸せが続く事を祈った。


さゆとリトの日課が続いた30日目。


さゆが真剣な顔をしてつげる。

「ねぇさゆとずっといっしょにいて?」

リトは言葉の本当の意味がわからなかった。

「うん。いいよ。」

返事のはやさにさゆはリトが意味を理解していない事に気付く。

「ちがうよ。そういう意味じゃなくて、病気の研究をする時間もずっとさゆといっしょにいて?」

リトはすぐに返事ができなくて、病室を飛び出した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ