答えと本心
それからさゆとリトは2人で会う時間が減っていった。
友達じゃなくて医者と患者だけの関係になっていく。
リトは会う資格がないからちょうどいいと思っていた。
でもいつでも会える環境になればなるほど俺はさゆに会いたくなる。
いつまでもいつまでも悩んではいられない。
さゆも話しかけてこないと言うことは今のままでいいということだろう。
リトは決心した。
「あの、山路先生。」
「どうしたんだい?」
「アメリカに戻る事ってできませんか?」
「何を急に」
「今ここに俺がいる必要はない。だったらアメリカで新しい技術を身に付けたい。」
その時さゆは2人の会話をきいていた。
えっ
それって私の病気の研究じゃなくて医者としての経験をつみたいって事?
どうしてリト?
私の病気治してくれるんじゃないの。
それともつらい?
リトにプレッシャーをかけてた?
ねぇ誰か答えを教えて。
さゆはその場からたちさった。
「でもリトくん。さゆちゃんは?」
「さゆは俺がいなくても大丈夫です。だから俺は医者としての経験をつんで方法がみつかった時にどんな治療法でも俺が出来るようにしておきたい。」
「リトくんの気持ちはわかった。アメリカの病院長にもきいておくから。だからもう一度考えなさい。」
「わかりました。ご迷惑おかけしてすいません。」
どれだけ考えてもリトの気持ちはかわらなかった。
近くにいながら会えないのは切ない。
だったらアメリカに戻って離れたほうがましだ。
「今日でこの病院とまたおさらばか。」
リトは今ふたりのはじまりの場所にいる。
ムギュッ
「えっ」
振り返るとそこには一生懸命リトに抱きつくさゆがいた。
「何してるの?さゆ」
ここ何日かあっていないさゆは少しやせた様にかんじる。
「リト…で」
「えっなんて?」
「リト行かないで。ここにいて。」
「さゆ泣いてるの?」
「別に今のままでいい。話しなくても。私の事嫌いでもいい。だからここに…いて」
ハァハァハァ
「ちょっとさゆ落ち着いて」
ハァハァハァ
「リト苦しい。」
「さゆっ。」
たしかここに。
リトはポケットに手をつっこむ。
「さゆ。飲んで。薬だよ」
リトは自分の病気が治った今も発作の薬と水を所持していた。
さゆの口元に薬をはこぶ。
しかしさゆはそれを飲む余裕がない。
「くそっ。さゆ少しだけ我慢しつくれよ。」
そう言うとリトは薬と水を口にいれさゆの口元にはこぶ。
ゴクッ
「はぁ。よかった。」
すぐに病室にさゆをはこぶ。
パチッ
「よかった。」
笑顔で微笑むリト。
気がついたら病室にいたさゆには何が何だかわからない。
う〜ん(#+_+)
私どうやってここに戻って来たんだろう?
リトに抱きついて。
発作をおこして。
さゆは一生懸命記憶をたどる。
でも気を失ったのでよくわからない。
ただわかるのは、唇にあたった何かの感触。
これは本当の記憶?
それとも、幻?