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始春、萌ゆる春をいつか燃える紙へ ○○年目
君に向けて、この小説を書こう。
君と自分が過ごした二十年をこの紙に乗せる。
いつか自分が死ぬ時、これを燃やして自分の骨と一緒に入れてもらう。
そうして自分の骨に、君といた二十年の時間を沁み付ける。
どうやっても落ちない、綺麗な汚れを入れる。
僕が死んだ時、君はどう思う?
私が死んだ時、あなたはなんて言う?
わからない。
だからこそ、わからないからこそ、
君が僕のことを忘れないように、
私があなたのことを忘れないように、
「君/あなた」といた二十年の春を、今、書き起こそう。