4 血塗られた詩
傭兵団への所属が決まった翌日、俺は簡単な自己紹介を兼ねて仲間たちと話をする場にいた。
武器の手入れをする者、次の任務について情報を集める者、皆それぞれのペースで活動している。
「で、お前のその力、どこで手に入れたんだ?」短髪のガロンが、黒炎の霊刃を眺めながら尋ねてきた。
「記憶喪失でな。」俺は適当に言葉を濁す。
「記憶喪失?」リックが少しだけ顔を上げる。その目には純粋な好奇心が宿っていた。
「そうだ。何かの戦闘で吹っ飛ばされたのか、それとも元々こんな力を持っていたのか覚えていない」
淡々と答える俺に、マリアが笑いながら茶化してくる。
「随分と戦い慣れてるわね。ところで、その剣の光なんなの?」彼女の指差す先には、黒炎の霊刃が微かに脈動している。
『答える必要はないぞ。』
神威の念話が響く、俺は肩をすくめて適当に流す。
「記憶喪失だから分からない」
「……まあ、あんたが異様に強いのは確かだし、それで十分だわ。」マリアが肩をすくめて話を打ち切る。
こうして面倒な質問は軽くかわし、俺は次の任務に備えた。
戦いの場こそが俺の真の自己紹介になる。
そんな確信を胸に抱きながら。
傭兵団に所属してから最初の任務が下った。
廃墟となった都市で敵の無人機部隊を撃破する作戦。
目標は、敵陣営の偵察能力を削ぎ、東陣営の進撃を助けることだ。
荒廃した街に月明かりが差し込む。
倒れたビルの残骸、ひび割れた道路、そして散乱する兵士の残骸。
冷たい夜風が吹き抜け、鉄と血の匂いが鼻を刺す。
「気分はどうだ?」
仲間の一人、ガロンが笑みを浮かべながら尋ねた。
手には最新型の自動ライフルが握られている。
「最高の気分だ。」
肩越しに黒炎の霊刃を軽く動かすと、その刀身が赤黒い光を放つ。
『敵影を探知した。 無人機群がビルの残骸の影に隠れている。 距離、約500メートル。』
神威の声が頭に響く。
俺はその方向に鋭い視線を向けた。
「敵は500メートル先だ。気づかれる前に叩く。」
狙撃手のリックが無言で頷き、スコープを覗き込む。
「数が多いな。動きが早い。」
「それが何だ?まとめて潰せばいいだけだろう。」
ガロンが軽口を叩くが、その目は真剣だ。
作戦が開始された。
リックが一発目の弾丸を放つと、無人機の一機が火を吹いて落下する。
それを合図に無人機群が一斉に動き出した。
『無人機は通常の狙撃では対処できぬな』
俺は神威の言葉に従い、右手を掲げた。
ルビーの魔石のブレスレットが赤く輝き始め、魔力が急速に高まる。
俺が詠唱を終えると、空中に無数の炎の球が現れた。
炎の球が生まれた瞬間
熱波が空気を裂き
夜空に赤い傷を刻む
まるで獣が牙をむいて襲いかかるように
無人機群へと突き進んだ
直撃を受けた一機が火を吹き
内部の燃料が爆発する
金属片が灼熱の雨となり
下にいる敵兵の間に降り注ぐ
爆風に巻き込まれた無人機の編隊は、次々に空中で炎を噴き上げ、黒い煙を撒き散らしながら地面に叩きつけられる。
墜落の衝撃で地面が揺れ、破片が四方に飛び散る。
一瞬の静寂の後
爆発の連鎖が起こり
廃墟の街は
赤い光と
音の嵐に包まれた
『これがお主の望む戦場か』
神威の冷ややかな声が頭に響く中、俺は次の標的を見据え、さらなる力を解き放つ準備を始めた。
ガロンが驚いたように叫ぶ
俺は炎の嵐をさらに強化した。
その光景に仲間たちは圧倒されるばかりだった。
数分後、無人機群は壊滅。
夜空に漂う煙の中で、俺は静かに刀を鞘に収めた。
俺は勝利の余韻に浸りながら、霊刃を鞘へと収めた。
身体中を駆け巡る熱は、ただの血流ではない。
それは戦いを終えた者だけが知る、破壊と生の快楽が混ざり合う陶酔感だった。




