10 血に濡れる都市
次なる戦場は敵軍が押し寄せる都市だった。
守る理由などない。
重要なのは、戦場そのもの。
戦いの舞台があり、敵がいる。
それだけで十分だ。
『修羅、敵の戦車部隊が市街地を制圧している。周囲には無人攻撃機の援護もある。動きが複雑だぞ。』
『だから何だ?倒すだけだろう。』
俺は腰の黒炎の霊刃を握りしめ、瓦礫の道を進んだ。
ガロンたちも無言で後に続いている。
崩壊したビルの影に隠れながら、俺たちは敵陣の様子を伺った。
戦車の砲塔がこちらを向き、無人機が低空を飛び回っている。
「どうする?」
ガロンが小声で尋ねてくるが、答えは決まっている。
「潰す」
俺は防御結界を展開しながら、一気に戦車の懐に飛び込んだ。
砲撃が結界を揺らす。
俺の刃が装甲を裂き、炎が戦車の内部を焼き尽くす。
無人機が背後から襲いかかる。
「炎よ、嵐となれ!」
詠唱とともに炎の嵐が空を駆け抜け、無人機を次々と撃ち落とす。
爆発が連続し、破片が雨のように降り注ぐ。
戦車の後方から、新型の無人攻撃機が現れた。
それらは高度なAIによって制御され、動きが予測不能だった。
『修羅、この無人機はお前の炎を回避するアルゴリズムを備えている。
接近戦に持ち込むしかない。』
『なら、それをやるだけだ。』
俺は高く跳び、新型無人機の中央部を狙った。
刃が装甲を貫き、内部の制御装置を破壊する。
墜落した無人機が地面で爆発し、周囲の瓦礫を吹き飛ばした。
だが、その隙を突いて別の無人機がミサイルを放つ。
「防護の結界よ、守れ!」
俺の結界が炸裂を受け止める。
だが、その衝撃で魔力の消耗が加速していく。
戦闘の終盤、敵の戦車部隊と無人機群がほぼ壊滅した。
俺は血と炎にまみれた街の中心で息を整えた。
『修羅、この戦場での敵の動きは異常だ。
さらなる増援が予想される。』
『構わない。もっとだ。もっと戦わせろ。』
俺は神威の声を背に、次なる敵を探すため、足を踏み出した。
俺が望むのは戦い。
それだけだ。