ソウサクノウ 3
航
本当に何にも浮かんでこない。
書くと決意したのに。その決意は一体何だったのだろうと思うくらいアイデアが全く出てこない。
もしかしたら俺の頭の中は空っぽなのだろうか?
いや、そんなことはないはず。実際に他のことはちゃんと考えられるから。
そう、余計なことばかりが頭の中を巡っている。思考すべきは別のことなのに。
やっぱり初心者の俺にいきなりオリジナルの紙芝居の創作なんて無理な話だったんだ。
ヤスコの言うことに素直に従っておけばよかったんだ。
けど……。
休み時間に教室の後をチラリと見る。藤堂さんがいる方向にほんの少しだけ視線を送る。
ずっと見ていたいような心境に駆られるけど、流石にそれは。
少し元気がないような気がする。
あの顔を笑顔にできるような紙芝居を創らないと。
決意を新たにして、俺はまた創作への思考を、脳みそを再起動させた。
湊
練習する。
上手くなる、強くなるとかじゃなくて、これ以上みんなに迷惑をかけないように。
わたしが成長すればそれだけ勝利に近付くはず。
終わるともう全身がクタクタに。
けど、これで終わりじゃない。まだ家には帰れない。
先輩が待っていた。
……わたしは先輩の彼女。
したくないけど、するのは当たり前。
先輩の家に行って抱かれる。
嫌だし、したくないけど、彼女だからしょうがない。
航
無理をしているように感じる。もっとも、これは俺の勝手な推測でしかないけど。
話をしたわけじゃない。ジックリ観察をしたわけじゃない。
教室の中で藤堂さんの様子を何度か盗み見しただけ。
だから、俺が見ていないところではもしかしたら元気なのかもしれない。
……でも、違うかもしれない。
早く紙芝居を書かないと、藤堂さんを元気にするような作品を。
気ばかりが焦る、でもアイデアが全然出てこない。
湊
今日は土曜日、学校もお休みで、部活もない。
それなのにわたしは休めない。
先輩とデートを。
本当は休みたかった、部屋で何もしないでゴロゴロと寝て過ごして疲れをとりたかった。
でも、先輩に誘われてしまったら断れない。
けど、今日は外でデートだから、エッチなことはしないはず。
そういうことをする場所、ホテルに入るのにはお金がかかるはず、そんなところに入るような財力はないはず。
そう考えると気がちょっと楽になってきた。そういうことをしない時に先輩はそんなに嫌じゃない、怖くないから。
そう思っていたけど、突然手を引っ張られて多目的トイレへと連れ込まれる。
ここでしようと突然言われる。
そんなのできない、こんな場所でそんなことをするのは絶対に嫌だ。
抵抗をする。……けど、先輩の力には敵うはずもない。
先輩の手、それから唇、舌が、わたしの体を弄る。
したくないのに、体が勝手に反応をしてしまう。
下着が濡れていく、受け入れる準備ができてしまう。
声を我慢としようとするけど、勝手に外に出てしまう。
先輩のがわたしの中に入ろうとしたその時個室のドアを大きく叩く音。
助かった。
誰かがわたしの声を聞いてドアを叩いたんだ。
先輩の手が止まる。
その隙にわたしは脱がされた服を。
慌ててトイレから出てそのまま解散に。
「おかえり。ごめん、湊ちゃん。帰ってすぐで悪いけど信くんお風呂に入れてくれないかな?」
家に帰ると、お母さんから助けを求める声が。
お風呂には入りたい。さっきの先輩の感触がまだ肌に残っているから、それを早く洗い流したい。
でも、信くんと一緒に入るのは。一人で入りたいのに。
けど、わたしはお姉ちゃんだ。幼い弟の面倒を見ないといけない。
それに困っているお母さんを助けないと。
信くんと一緒のお風呂に。
こうやって二人でお風呂に入るのは久しぶりだ。
当然だけどわたしとは全然違う。先輩のとも。これ位小さかったからよかったのに。
「おっぱい」
小さい子はこういうのが好きだ。
そう理解しているけど、でも触られるのはなんか嫌だ。
さっき触られたということもあるし、伸びてくる手をちょっと振り払ってしまう。
それでも信くんは諦めない。
わたしの胸を触ろうと。
手が胸を以外の場所に。
けど、そこには触れずに指をさしてくる。
「これなに?」
さしているのは太腿。
見るとそこは赤くなっていた。
さっきの行為の後。
幼い弟のエッチの跡を見られてしまうった。
恥ずかしさで頭の中が真っ赤になっていく。
真っ赤になったのは頭の中だけじゃなかった。
お風呂場に響くような大きな音に、わたしの視界に赤い色が映った。




