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ソウサクノウ


   (こう)


 藤堂さんが喜んで、楽しんで観てくれるのはどんな紙芝居なんだろう?

 それについてずっと思索しているけど、全くといっていいほど浮かんでこない。

 というかそもそも同年代が楽しめるような紙芝居ってなんだ?

 それに大人が喜んで観るような紙芝居って?

 自分で創ろうと決意したことだけど、大それたことを決意してしまったもんだ。

 ちょっと後悔を。

 やはり先人の知恵、というかヤスコのアドバイスに素直に従って在りものの物語で紙芝居を練習がてらに創ってみるか。

 それのほうがはるかに楽であろうなということは創作の経験のない俺でも容易に想像できる。

 それ以前にそもそも俺は多分想像を行う能力が欠落しているはず。そんな能力が備わっているのであれば、とっくの昔にアイデアの一つや二つ、それどころか紙芝居の一作や二作くらいとうの昔に出来上がっていて、もうすでの藤堂さんの前で披露しているはず。

 けど、そんなのはまだまだ遠い未来。

 ……そんな未来が本当に来るのか?

 うーん、想像できない。情けない話だけど。

 創作について考えないといけないのに、変な方向に、ネガティブな思考に。

 これでは駄目だ。

 頭の中の空想のネジを巻き直して、再び授業そっちのけで創作に没頭しようとしたけど、全然脳ミソが回転しない。

 普通ならこんなに考えても、頭を悩ませても全然成果が出ないのであれば、とうの昔に諦めて放り投げてしまうのだろうが、俺の中の創作の火? というのか、そういうものは意気消沈してしまうようなことはなかった。

 炎のように熱く燃え滾っているということはなかったけど、それでもまだ種火程度だけど燻っている。

 これが消えないうちになんとかしないと、早く書かないと。

 じゃないといずれ消え去ってしまうような気が。

 そうは思っているのに、まだアイデアの一つも出てこない。空っぽのまま。

 時間だけが無情に過ぎていく。



   (みなと)


 あの時、家に帰ったら治まっていたはずだったのに、今日また教室で。

 結城くんの姿が目に入った瞬間に。

 授業に集中しないといけないのに、全然集中できない。

 どうして急にこんなことになってしまったんだろう?

 自分のことなのによく分からない。

 とにかく集中しないと。

 もうすぐテストがある。先生の話を聞いて、ノートをしっかりと取っておかないとあとで困るのはわたし。

 結城くんの背中をわざと視界から外して、黒板を凝視、集中しようと試みる。

 それなのに先生の声は全然耳に入ってこないし、ノートは先週とほとんど変わらない。

 先生が黒板に書いたのを消してしまう。

 今ある分だけも書き写さないと。

 黒板を注視、結城くんの背中がわたしの目に入る

 また謎の動悸が。

 咄嗟に視線を外す。

 ……治まった……。

 なんてことをしていたらいつの間にか授業が終わっていた。

 

 

   航


 浮かばない。何にも出てこない。

 したがって、全然書けない、進まない。


 

   湊


 放課後に。

 結城くんはさっさと荷物をまとめて教室から出ていく。見えなくなると、わたしの謎の動悸が治まっていく、いつもの心臓の速さに。

 本当に一体、わたしはどうしてしまったんだろう?


 部活の時間。

 練習に集中しないといけないにわたしは他所事を考えてしまう。

 おかしくなってしまった原因を探る。

 練習に集中しないといけないのに。

 そんなことをしていたら怒られてしまうのは当然だ。怪我のもとになってしまう危険性もあるし、何よりも期待をされているから叱られる。

 それに応えないと、と思うけど結局あんまり集中できないままだった。


 部活が終わった後、また心臓が急激に速くなった。

 けど、今度のは理由が分かっている。

 それは、怖い、から。

 これからすることを想像して、こんなにも心臓が。

 拒否したい。

 でも、そんなことしたらどうなってしまうか。

 週末、していない。

 絶対に溜まっているはず。それをわたしに向けて出したいはず。

 嫌だと言って拒否しても、無理やりにされるはず、乱暴に犯されてしまう。

 だったら、無駄に抵抗をしないで大人しく、先輩が満足するまで耐えていれば。

 そうすれば……いつか先輩は満足して解放されるはず。



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