創作タイム 3
湊
今日もまた部活が終わっても帰れない。
先輩の部屋へと。
先輩は慣れた手つきでわたしの制服を脱がしていく、下着を剥ぎとっていく。
ベッドの上で先輩に抱かれる。
嫌だけど、拒否できない、そんなこと絶対に言えない。
そんなこと言ったら、何をされるのか分からない。
だから黙って耐える。
けど、辛い。
楽しいことを考える。
結城くんの紙芝居のことを。
楽しいことを考えながら耐えていた。
航
書けない。
まあそのうちアイデアの一つや二つ出てくるだろう。そんな風に気軽に考えていたのに全然浮かんでこない。
素人だからと言い訳をしていたけど、流石にそろそろ何か出てきてもいいような頃合いのはずなのに。
それなのに三日も四日もずっと考え続けているのにちっとも浮かんでこない。
やはり創作という作業に慣れていないからなのだろうか? それとも単に俺に創作の才能が欠如しているだけなのだろうか?
ここは一つ、ヤスコの助言に従ってみようか。最初からオリジナル作品というのはハードルを高く設定しすぎているのかもしれない。妥協ではないのだがこの辺りの、まだ紙芝居にしていない昔話を書いて習作というか、練習をするのも一手かもしれない。
けど、それだと大人向けの、藤堂さんが喜んで観てくれる紙芝居になるのか。
もしかしたらヤスコの言う通りに藤堂さんなら喜んで観てくれるかもしれない。
けれど……やはり良いかっこをしたいという下心のようなものが。
どうしようか? このまま考え続けるか、それとも妥協すべきか。
本来考えないといけないことを後回しにして、二択の問題のどちらを選択するかという難題に時間を費やしてしまう。
湊
結城くんの背中がまたちょっと小さく、それから曲がって見えるようになった。
これは以前にも何回か。
結城くんが悩んでいるような証。
見えるたびに心配になっていたけれど、今回はしない。
これは薄情とかそういうわけじゃなくて、理由は分かっている。
きっと紙芝居の創作についてアレコレと考えていて、そして悩んでいるんだ。
あんなに考えているんだ、きっと面白い紙芝居ができるはず。
楽しみだ。
と、同時にどういう理由か自分でもなんだかよく分からないけど、わたしもがんばらないと、そんな風に思ってしまう。
航
一週間も経つというのに全然浮かんでこない、微塵も欠片も出てこない。
やはり俺には創作の才能が欠如しているんだ。
そう思って投げだしてしまってもおかしくないような心理状況であったが、俺はまだあがき続けている。
その理由は単純明快。
藤堂さんの笑顔が見たいから。
俺の創った紙芝居を上演して、藤堂さんに楽しんでもらいたい。
意気込みだけは立派であるけど、我がことながら非常に情けなく、その肝心なものを未だに生み出せていない。
情けない。
情けないけど、できない。
できないけど、あがき続ける、考え続ける。




