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第14話 よろしく

投稿が遅くなりすみませんでした。

今回はいつもより長めです。よろしくお願いします。




「えーっと急にお騒がせしてしまいごめんなさい。どうしても話したいことがあったので、無理矢理にでも話をできる機会を作りました。私の名前はリニナといいます」


私は頭に被っていたローブについているフードを取り、口を覆っていた布をほどく。しっかりと素顔を明かした状態で店主のお兄さんにそう言って頭を下げる。


「ようこそいらっしゃいました。お客様。私はこのお店の店主をしている、ネクードと申します。此方の方こそ騒ぎを起こしてしまい申し訳ございませんでした。さて、早速ですがお客様のご用件をお伺いしても宜しいでしょうか?」


この人、さっきから凄い丁寧な言葉遣いをしているな。子供が相手でも態度を崩さないその仕事への熱意。私の中でのお兄さんに対する好感度1から10へと上がった。


「私の用件はですね、先程忌み子がこのお店に居るのかどうかについてお店の前で口論になっていましたよね。単刀直入に言うと、もしこのお店にその子が居るのなら会ってあわよくば買いたいと思ったのでここに来ました」


「それはまた何て言うか思いきったことをしますねお客様は。結論から言いますとこのお店にお客様のお目当ての子は居ますよ。」


「本当ですか!?あの、じゃあ会わせて貰えることって」


「それも場合によっては可能です。ですがあなたにはその前に聞いておかないといけないことがあります。あなたはお目当ての奴隷を買ったとしてどうするのですか?」


そう私に言ったこのお店の店主であるネクードさんは、真剣な嘘を吐くのを許さないといったそんな眼差しと声で私に問い掛けてきた。


どうするのかとネクードさんは私に言った。


思えば私はどうしたいんだろう?


よくよく考えてみれば私は店主のネクードさんとも今さっき知り合ったばかりだ。それに自分が会ってみたいと言ったその子の名前も顔も声も何一つだって私は知らない。


私にとっては関わるメリットなんて何もないのに。


ネクードさんからしてみれば私の行動は不可解でしかないと思う。


それでも私が今感じていることは、ここでこの子と共にいないといけないという使命感と焦燥感。

そしてなぜか分からないけどこの選択が私の未来を左右するという一種の確信に近い何かがそこにあった。


その子を買ったとしてどうするのかと店主さんは言った。


答えは決まってる。自分と同じ様に一人の人間として扱う、それだけだ。


まあ私は人間ではないから一人の人として扱うの方が表現としてはいいかな。

あれ、でも人も人間を指す言葉だよね。どう呼ぶべきだろ?うーん考えても良い言い方が思い付かない。うん、人でいいやもう。


とにかく、私も世間的に見れば忌み子と大して変わらないようなものだし、忌み子に対する嫌悪感は私にはない。


それに半吸血鬼である私と仲良くなってくれる人は余程の物好きか命知らず、頭のネジが外れた変人くらいなもので、ほとんどの人は私のことを恐れるだろう。


だから私には友達が今のところはいない。私だって友達がもちろん欲しい。そんな中で私と同じように忌み子として嫌われている毒龍の加護を持つ子。


もしかしたら仲良くなれるかもしれない。そう期待をしてしまっている自分がいる。


一人の旅もいいけど、やっぱり私としては寂しい時もあるわけで。だからもしかしたらこの子とは同じ差別される同士、気兼ね無く旅を一緒に出来るかもしれない。そう思うんだ。


さっきも思ったけど仲良くなれたら嬉しいな。もし、そういう間柄になれたら旅がもっと楽しいものになるに違いない。

そのためにも私は危害を加えようとする輩とは違うところをしっかりアピールしないと。頑張るぞ、私。


「それはもちろん私と同じくらいに大切にします!一緒に同じものを食べて寝て体験して一緒に過ごす。私がしたいのはそれだけです。」


「······分かりました。お客様は変わっていますね。何て言うかこう奴隷に対してそんな風なことを言う人を私は今まで一度しか見たことがありません。なので正直に言いますと驚いています。そうですね、あなたにならあの子に会わせてもいいでしょう。ここではなんですから取り敢えず応接室に行きましょうか」


「ありがとうございます、ネクードさん。後、すみませんでした。ずっとここで話をしてしまって」


ネクードさんに挨拶をしてからずっと私達はお店の中の外へと続く扉の近くで会話をしていた。

ネクードさんに申し訳ないな。少しずつでも自分を尊重してくれる人にそれ以上の心遣いを持って接することが出来るようになりたい。


「気にしないで下さいお客様。私の方こそ面食らってしまい、つい応接室に通すのを忘れていました。誠に申し訳ございません。恐らくあの子は私が呼べばすくに来るでしょう。耳がいいですからねあの子は。ですので、取り敢えず腰を下ろしてから続きを話しましょうか」


「はい、分かりました」


ネクードさんの案内で応接室へと通された私は、ネクードさんと机を挟んだ向かい合わせになる形で椅子に腰掛けた。


「それではお客様、お目当ての子を呼ばさせていただきますね。本人に事情を説明した後、連れてくるので少々御待ちください。では一旦失礼します」


「お、お願いしますネクードさん」


ネクードさんが応接室を出る前に用意してくれた飲み物を飲んで、緊張で渇ききった喉を潤す。


や、やばい。いざ会うとなるとさっきよりももっと緊張してきた。どんな子なんだろ?男の子なのか?それとも女の子なのか?その子はどんな性格なんだろう?気になることで私の頭は一杯だ。

と、とにかく相手に粗相の無いようにリラックス、リラックス。


それとネクードさん。急に訪れた見ず知らずの怪しい子供の言うことを真剣に聞いて、その上要望まで聞いてくれてありがとうございます!

本当にありがとうございます!


「お待たせしましたお客様。」


それからしばらくしてネクードさんと共に応接室に入ってきた子はなんと少女だった。しかも私と同じくらいの背の子だ。多分同じくらいの年齢だと思う。着ている服は普通の私と同じ様な平民が着る服を着ている。


更にその子には特徴的な明るめの紫色のケモ耳に尻尾が生えていて、髪の毛の色もケモ耳や尻尾と同じ色だった。瞳の色は黒で私と一緒だ。顔も私と同じくらいの歳の子と比べてあり得ない程に整っている。


「お客様、この子が先程お客様が会いたいとおっしゃっていた子で名をミミニアと申します。ミミニア、ご挨拶を」


「はい、分かりましたご主人様。お初にお目にかかりますお客様。ミミニアと申します。どうかよろしくお願いします」


そう私に言った奴隷の子ミミニアは、年相応とは思えないくらいに落ち着いた雰囲気を纏っていた。


「こ、こちらこそよろしくお願いします。ミ、ミミニアちゃん」


いつもより少し声が高くなっちゃったな。さっきから心臓もいつもの3、4倍くらい早く動いてるように感じる。緊張のし過ぎで話している最中に噛まないようにだけ気をつけよう。


それにしても初対面でちゃん付けはちょっと距離が近かったかもしれない。同年代との会話が久しぶりすぎて程よい距離の詰め方が分からない。兎に角何だこの怪しいやつって思われてないといいけど。


「そこまで緊張する必要はありませんよお客様。肩の力を抜いていただいて構いません。安心して下さい」


そう言って軽く微笑んでくれたネクードさんの言葉のお陰で、私も胸の中の緊張感が段々と薄れていくのを感じた。


「ありがとうございますネクードさん。だいぶ今ので肩の力が抜けました」


「それは良かったです。早速ですが話し合いを再開させていただきたいのですが、宜しいですか?」


「こちらこそお願いします」


「ありがとうございます。それではお客様はミミニアを買う意思は先程仰っていたようにありますよね」


「はい、あまり手持ちは少ないですが、買う意思はあります。」


その言葉にネクードさんが座っている腰掛けの斜め後ろに控えているミミニアの肩が一瞬ビクッとした。


もしかしたら酷いことをされるのかもと怯えているのかもしれない。しっかりと誤解を解けるように行動と言葉でこれから示そう。そう私は思った。


「承知しました。こちらとしては奴隷につける特殊な首輪の購入費、奴隷の維持費の一部、奴隷契約に必要な物の経費を合わせて、大体代金は銀貨六枚となります。」


え?

え!?

うん、圧倒的に足らない。どう考えてもお金が足りない。私の全財産の銀貨一枚、小銀貨二枚、大銅貨六枚、銅貨三枚の合計126300モカじゃ到底足りない。あれほどしっかりと買いますって宣言したのに、これじゃあただの買うこともせず、冷やかしにお店に来た迷惑客としてお店の外に放り出されるガキンチョという構図になってしまう。


「どうかされましたかお客様?」


私が何も答えること無く、俯いて馬鹿なことを考えていたことでネクードさんが不審がっている。


「えーと、あのですね、誠に申し訳ないのですがお金が足りなくてですね。本当にすみません!!」


「········分かりました。そういうことなのであればひとまずは今のお客様の手持ちを伺ってもよろしいでしょうか?」


「はい、銀貨一枚と小銀貨二枚と少々あるくらいです」


「それはちょっと値引きするにしても厳しい金額ですね」


「そうなりますよね。もし良かったら銀貨五枚の内訳を聞いてもいいですか?」


「かしこまりました。銀貨五枚の内訳は奴隷用の特殊な首輪が銀貨三枚、奴隷契約に必要な書類と奴隷紋の上書きの手数料で銀貨二枚、奴隷の衣食住にかかった費用の一部の負担金額で銀貨一枚となっています。」


「教えていただきありがとうございます、ネクードさん。ネクードさん。私から一つ提案をさせてもらってもよろしいでしょうか?」


「分かりました。一応お聞きしましょう」


「ありがとうございます。それで提案なんですが、奴隷用の首輪を料金から外してもらう事って出来ませんか?後、残った足りない分のお金は私の今所持している物と引き換えにして払うことにしてもいいですか?」



「そうですね、奴隷用の首輪を料金から外すことは可能ですよ。但し首輪には奴隷の主人への反抗を行う、もしくは行おうと考えた場合に身体中に激痛を走らせ反逆を阻止する機能と、主人からの命令を強制的に行わせることができるように、命令を無視した場合にも身体中に激痛を走らせる機能、それから自害を一切出来なくする機能が付いております。

その奴隷を奴隷としてたらしめる首輪を意図的に着けないということの意味は分かりますよね?」


首輪を着けないという選択は奴隷に裏切られ、最悪の場合殺されることもある。そのリスクを負ってまで首輪を着けない選択をする覚悟はあるのかと。

そうネクードさんは私に問いかけている。


私としてもリスクを負いたくないという気持ちもある。でも、それ以上に私はネクードさんに一人の人として自分と同じようにミミニアを扱うと言った。自分の言ったことに対する覚悟を持ちたい。


何より私は自分のこれから仲良くなりたいと思っているミミニアに対して奴隷としての行動をさせたくない。だって私が目指す関係は旅の仲間なのだから。だから私の言う言葉はもう決まっていた。


「はい、分かっています。その上でどうか宜しくお願いします」


「分かりました。では首輪は料金から外す方針でいきましょう。それで残りの足りない金額についてですが、残額を上回る物をお客様はお持ちでいらっしゃいますか?」


「条件を満たせる品なのかは分かりませんがこちらをどうぞ」


私は足元へと置いておいた肩掛け鞄を取って鞄の中に手を入れてから収納を発動する。収納の中に予め作って入れておいた魔法封石を取り出して、鞄から手を出す。そしてそのままネクードさんと私の間にある机にそれを置いた。


「お客様、これは一体なんでしょうか?」


「これは魔法が込められた魔石です。ある特殊な作り方によって作られたと言われていて、あまり知られていないそうです。私のお父さんがたまたま偶然手に入れた品で二つだけ私に分けてくれたものなんです」


「お客様、失礼ですがこの石は本当に魔法石とは違うものなのですか?見た目は魔法石と同じ様に見えますが」


確かにネクードさんの言う通り、見た目は魔法石特有の魔法が込められている時に発する石の内部が魔法に合わせた色の渦が巻いているのと同じに見える。例えば火の魔法なら赤色、水の魔法なら青色の渦が巻いているように見える。

でもこれは正真正銘私が魔石に魔法を【属性付与】を使って付与して作った魔法封石だ。


「確かに見た目は似ていますが質ではこちらの方が劣ります。魔法石ほど頑丈さはなく壊れやすいですし、やはり魔石に魔法を込めて作られたものなので魔法石に比べると魔法の威力は落ちる劣化品です。しかし、魔法石とは違って発動には魔法石よりもさらに少量の魔力で事足りるのでそこが強みになっているとこれを売っていた商人が言っていたと父が言ってました。」


さっきから会話に出てくる魔法石とは魔法を込めることが出来る専門の石のことをいう。


地中に溜まった膨大な魔力が近くにある石や岩などに、長い間少しずつ時間をかけて魔力が蓄積されていき魔力の結晶の塊として生まれ変わった物を魔法石と呼んでいて、希少価値が高い鉱物の一種だ。


本来、魔法を保存することは出来ない。何故なら魔術とは異なり発動するための媒体が魔法には術者以外に存在しないからだ。そんな魔法を唯一保存することが出来る物。それが魔法石だ。


魔法石には魔力によって作り出した魔法を込め、任意で魔力を込めることで魔法石に込められている魔法を使うことが出来るという特徴がある。


しかも魔法石に込めた魔法は魔法石その物が持つ魔力含有量によっては、通常よりも効果が強いものを使った時に放つことが出来る。


また、魔法石は一度魔法を込めたらもう違う魔法へと変更は出来ないが、一度魔法を込めた魔法石は使うまでは絶対に壊れないという持ち運びに大変ありがたい特徴に加え、魔法が込められた魔法石は使うことに必要な魔力という条件さえ満たしていれば魔法適正がない人も使うことが出来る優れものだ。


この事から魔法石は魔法を使うことが得意ではない一部の貴族の護身用のアイテムとしても、魔法が使えない冒険者や騎士等の攻撃アイテムとしても使うことが出来る、使い勝手の良い物のため希少価値が高い。


只でさえ見つかることが少ない希少な鉱物なこともあって1個あたりその価格は最低でも大銀貨5枚以上の500000モカ、日本円で500万円はくだらない。

魔法石高すぎるだろうと思っているのはきっと私だけじゃないはずだ。


それくらい希少な物の劣化品だとしてもきっと小銀貨一枚以上の価値がある。しかも2個もあるから、これなら不足はないはず。


暫く考え込んでいたネクードさんは考えが纏まったのか顎に当てていた手を下ろしてから私にこう言った。


「分かりました。お客様が取り出した魔力の籠った魔石二個を残りの足りない金額分として受け取らせていただきます」


「ありがとうございますネクードさん!」


「こちらこそ良い品をありがとうございます。

もし良かったらですがお客様、宜しければ二つの魔石に込められている魔法が何なのか教えていただいても宜しいですか?

何が込められているのか気になりまして」


「勿論いいですよ。確か時空間魔法の固定とゲートが込められていたはずです」


「それは凄い。大切に扱わせていただきますね。

それでは先に先程の魔石の分を除いた料金を頂戴させていただいてから、奴隷契約を行わせていただきます。」


お金を支払い終わった私はすっからかんになって僅かな重みしか感じないお金を入れてあった袋に哀愁を感じながらも、ネクードさんに案内されて契約をする為の設備が整っている地下へとやって来た。


地下に続く階段を降りた先に広がる空間の奥には一つだけドアが取り付けられた部屋があった。


「こちらの部屋で契約を行うのでお客様とミミニアも中に入って下さい」


そう言ってドアを開けて部屋に入ったネクードさんに続いて私が先に中に入り、その後に続いてミミニアが中へと入った。


ドアの先には纏められた書類の束や判子が置かれた小さめの机やおそらくお金や貴重品が保管されているであろう複数の金庫など、一つ一つの物が綺麗に仕舞われていて綺麗だった。


部屋の真ん中にある大きめの机に全員が腰を掛けたところでネクードさんが話を始めた。


「では改めて代金も頂いたので今から奴隷のお客様への譲渡及び、主人の変更をするための手続きを始めさせてもらいます」


「はい、宜しくお願いします」


その後はネクードさんとミミニアがネクードさんが用意した専門の契約書に先に必要事項と名前を記入してから私も自分の名前を契約書に記入する。


「後はこの記入した契約書の名前を書いたところに上から指を乗せて魔力を込めてもらいます。記入する際に使用したインクは特別製の魔力をインクに馴染ませることが出来る物を使っております。ですから魔力さえ予め込めておけば魔力は人によって異なる性質を持っているものですから、改めて契約書を破棄するなり、契約を変更するときに、本人の魔力である場合のみ名前の文字が光る仕様なので、本人の証明をすることが出来るようになります。ですがそれを行う前にお客様は文字は読めますよね?」


「はい、中央大陸で使われている公用語は読めます。さっき書いた書類もそれでしたよね」


「はい、その通りです。お客様への確認も出来たので一度契約書の内容を読んでもらい内容の確認をしてもらいます。その後誓約書の署名を完了して、奴隷紋の更新を終えたら、手続きは終了となります」


ネクードさんから渡された契約書に一通り目を通して、内容に問題がないか確認し終えた私は、ネクードさんに用紙を返した。


そして魔力を契約書の名前の書かれているところに順番に全員魔力を込めて署名を完了した。


「ではこれで書類上の契約は完了しましたね。次にミミニアには右手の甲に奴隷紋が刻まれております。この奴隷紋は私が所有者の際に付けた物なので、これを今からお客様とミミニアとを繋ぐ奴隷紋に上書きします。

奴隷紋とは奴隷としての身分を表すのと同時に主人と奴隷との位置をお互いに把握するために作られたものです。この作業が完了しましたら、晴れてミミニアはお客様のものとなります」


「説明をありがとうございますネクードさん。」


「当たり前のことをしたまでですよ。必要な道具を揃えるので1分ほどお待ちください」


暫くして戻ってきたネクードさんが持っていたのは、模様が刻まれている判子二つと透明な液体と青色の液体の瓶、そして液体を入れるための器が二つ。それから布とスポイトのようなものと先の細い針だった。


「お待たせしました。それでは始める前に奴隷紋の更新の手順について説明いたします。

まず、私とミミニアとを繋げている奴隷紋を一度消します。そのためにこの青色の液体が入った瓶に針を使って血を流して、私の血とミミニアの血をそれぞれ三滴、瓶に入れて紋を消すための専用液を作ります。そして瓶にこのスポイトを入れ、液体を取り出し、私に入っている主人用の紋とミミニアに入っている奴隷用の紋に液体を満遍なくかけます。暫くすると紋が消えるのでそれで完了です。

そして最後にミミニアとお客様には新しい奴隷紋を作ってもらいます。手順としてはまず針を使ってお二人の血を出して、透明の液体が入った瓶にそれぞれ一滴入れます。血を入れると液体が黒色へと変わっていくので完全に色が変わるまで待ちます。液体が出来たら、こちらにある器に液体を流して入れます。これで判子に使う液が完成します。

そしてお客様には主人用の奴隷紋の判子をミミニアには奴隷用の奴隷紋の判子を渡すので、それを器に浸して判子に液体が染み込んだら、手の甲を出していただきます。液体のついた判子を押すのは私がやりますので心配はありません。判子を十秒ほど押してから取ると奴隷紋が皮膚に定着しております。これでようやく手続きが終了する流れとなります。」


ネクードさんによる分かりやすい説明を受けた後、奴隷紋を更新する手続きを私達は行った。上手く針を使って血を出すことが私は出来なかったなどのアクシデントはあったけれど、無事に私とミミニアの奴隷紋を作り上げることが出来た。上手くいって本当に良かった。


全ての必要なことを終えた私達はネクードさんの案内のもとお店の地下から町の裏路地へと繋がっている道を進んでいた。何でこんな道があるのかをネクードさんに好奇心から尋ねようかと考えていたら、どうして道があるのかという野暮な質問はしないで下さいねと年押しをされてしまった。すみませんでした。


そんなこんなで裏路地に着いた私、ネクードさんとミミニアはお礼の挨拶をしていた。


「ネクードさん。本当にありがとうございました。こんな見ず知らずの子供の話を聞いてくれたこと、お客として扱ってくれたこと本当に嬉しかったです。

初めにも言った通り、ミミニアちゃんのことも自分と同じくらい、ううん、それ以上に大切にします!なので安心して下さい」


「こちらこそ本当にありがとうございました。お客様には本当に私も助けられました。ミミニアとお客様がこの先も良い未来を歩めるように私も祈っております。最後にミミニアにも言いたいことがあるので、お客様さえ良ければ少しお時間をいただけますでしょか?」


「もちろんいいですよ!じゃあ私は少し離れたところで待ってますね」


私は何となくだけど二人の会話を聞くことは無粋な気がして、離れたところで待つことにした。


「お待たせしました、ご主人様」


暫くした後でミミニアが私の元に来てそう言った。


「お疲れ様。ちゃんとお話は出来た?」


「はい、しっかりとお世話になったお礼をしてきました。ネクード様はお店に戻ると私との会話の最後に言っていたので私がご主人様の分もお礼を言っておきました。」


「そっか。分かった、私の分もお礼を言ってくれてありがとうミミニアちゃん。

もう夕方だし、一人分しか取ってなかったから狭いと思うけど、宿泊してる宿に今から向かうと思っているけどそれでいいかな?」


「はい、それで大丈夫です。ご主人様。」


ミミニアからの了解も取れたし今日は色々あって疲れた。ミミニアも慣れない私との会話で疲れているはずだから宿に向かおう。


ご飯は一人前しかないから、ミミニアと半分個にして、布団は二人で一緒の布団で寝れば良し。懸念点があるとすれば、私の好みにサリア同様ドストライクのミミニアと一緒に寝ると私の理性が危ぶまれることだけど、多分ここでやらかしたら、一生冷たい目で見られると思うから必死に耐えよう。


着替えは私の物を着てもらうことにして、明日は取り敢えず、お互いの親睦を深めるために使うことにしよう。


そうだ。これからのことも大切だけど、何より今一番大切なことを私は忘れていた。


後ろをついてきていたミミニアの方を私は振り返る。


「ミミニアちゃん、今日からよろしく!!」


そう言って私はミミニアちゃんに手を差し出して握手を求める。


少し呆気にとられたようなそんな顔をしていたミミニアだったけど私の差し出した手を握り返してくれてこう言ってくれた。


「はい、こちらこそよろしくお願いします、ご主人様」


そう言ったミミニアはまだ雰囲気も警戒していて堅く、表情を全く変えずに真顔で私を見ていた。それでも応じてくれたことで私は嬉しくなる。


私は近い内にこの子の緊張をほぐして笑顔にさせてやろうという新たな一つの決意を胸に、ミミニアと一緒に宿に向かって歩いていくのだった。

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