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第13話 町で買い物






宿で用意された朝食を美味しく頂いた私は、身支度を整え、部屋に泊まっている証明になる木札と部屋の鍵や財布などの小物を肩掛け鞄に入れて、町へと出かけた。


私が今いる町マソタは三つの区域から成り立っている町だ。


一つ目に今日私が買い物をするところが、町の中で一番活気がある区域。商業区だ。


ここには沢山のお店が出ており、食べ物の屋台や食事処、食材を売るお店や武器を売るお店、商店など色々なお店がある。


今日はこの区域を観光しながら、旅に必要な食材や薪、簡易的な寝袋等々、色々買おうかなって考えてる。お金が足りるといいな。


二つ目に町に暮らす住民が住んでいる住宅地帯。


ここは子供の誘拐が起こりやすいから注意が必要。

町の規模が比較的大きいところでもこうやって犯罪が蔓延っている。私も子供だから誘拐されないように気を付けよう。


最後にこの町の町長さんが住んでいる御屋敷。


町の中では一番小さい場所ではあるものの、影響力は計り知れないほどある。といっても町の人が恐れているのは町長さんではなく、その後ろにいるここら一帯を治めるケリアン領の領主さんだけどね。


中央大陸では領主を務めるのは貴族階級の人、国のトップは王族と決まっていることが多い。


他の大陸だと違う所もあるけどね。


例えば西の大陸サンドイチにある世界で一番信仰されている宗教マハント教の総本山でもある国。宗教国家マトリベトルではトップは王族ではなく、マハント教の教祖が国のトップを務めている。


宗教国家マトリベトル。この国は魔族(わたしたち)にとっては絶対に近づきたくない国No.1の国。

何故ならこの国の至るところに通称マッショウ機、正式名称は対魔族専用探知機があるから。

通称の由来は魔族の魔を消すと抹消を合わせて掛けている所からきている。


これの恐ろしいところは、人と魔族との自然に体外に放出されている魔力の放出の際に生じる魔力の動きの違いを利用して、敵を見分ける仕組みが搭載されていること。


これにより魔族を見つけることができるらしい。

探知された瞬間、自動で探知機からものすごい音量で音と空へと1本の赤い線が出され、それに気付いた教会から聖騎士が派遣されて戦闘が行われる。


仮に逃げたとしても国中のあちこちに探知機があるため、教会に動きが筒抜けになってしまう。

捕まったら問答無用で拘束→拷問→死刑の順で対処される。例外はない。


皆も分かったと思う。


いかにこの教会が恐ろしく、魔族根絶への熱意が凄いのかが。


絶対に私は行かないね!だって殺されたくないから!まだこの世界に未練しか残ってないからね。死ぬわけにはいかないんだよ。


お父さんとお母さんとの北の大陸での再会も約束したし、この世界の色んな所を旅したいし、美味しいものを沢山食べたいし、サリアともまだ会えていない。


まだいっぱいしたいことで溢れている私は命を極力大切に生きていくことを改めて大切にしようと思った。


まぁ仮に行く時があるなら、自分の命より大事な物がその国にあるときだけだね。


話がずれてしまったけれど、今日の目的は買い物であって頭がおかしい団体の話をすることではなかった。


そんなことを考えていると目的地に着いた。

私が来たのは雑貨屋さんみたいな所。

此処なら、私が今日買う予定の衣服や火打ち石、旅の道中での野営で使う薪や寝袋なども買えるはず。この世界にキャンプで使うあの寝袋があるのかは分からないけど。私としてはあって欲しい。切実に。理由は寝る時にぐっすりと寝れそうだから。


"ガチャン"


「こんにちは店主のおっちゃん。」


「こんにちはお嬢さん。何か用かい?」


「うん、衣服や火打ち石ってここで買える?」


「もちろんだとも。色々売っているからゆっくりと見ていくといいさ」


「そうするよ店主のおっちゃん。」


店主のおっちゃんと話した後、私はお店の中を見て回りながら、衣服やポーション用のガラス瓶を見繕っていく。


そうしていく内に野営で使えそうな鍋を見つけ、悩んだ末に大と小の一個ずつと深さがある鍋を一つ買うことにした。


お金に余裕はないからね。これが今できる精一杯だった。


決まったし鍋を早速取ろうかな。

あれ?鍋に手がギリギリ届かない。


「ぐぬぬぬぬ」


身長が足りない。仕方ないや、おっちゃんに取ってもらおう。


「店主のおっちゃん。鍋に手が届かないからさ、取って貰ってもいいかな?」


「分かったよ。直ぐ行くから待っていて」


「ありがとう店主のおっちゃん!」


おっちゃんに鍋を取って貰った後も良いと思ったものを手に取りながら買い物を進め、一通り買えたのでおっちゃんに会計をして貰うことにした。


「衣服が上下一つに、下着が上下二枚。野営用の簡易テント一つ。長めの丈夫な布一つと鍋が三つに火打ち石が二個。薪が一束十本のものを三束。それからポーション用のガラス瓶が五つ。だから、合計金額が小銀貨三枚、大銅貨四枚、銅貨六枚、小銅貨一枚で、34610モカだね。お嬢さんお金は足りそうかい?」


「うん、ちゃんと払えるよ店主のおっちゃん」


「それは良かった。お嬢さんは沢山買ってくれたからね。特別に34000モカにしておくよ。」


「ありがとう店主のおっちゃん!はいお金をどうぞ」


私はお金を入れている袋を取り出しておっちゃんにお金を払う。


「確かに受け取りました。いい買い物をありがとうねお嬢さん。商品は持って帰れそうかい?」


「うん持って帰れるよ。心配してくれてありがとう。」


店主のおっちゃんにお礼をして店を出た後、私は買ったものを取り敢えず全部時空間魔法の収納に入れてから、食材を買いに町の市場へ向かった。


結局寝袋は買えなかった。というか寝袋というものがまず無かった。残念すぎる。


今はまだ春だから布を掛けて寝る事はできる。

でも冬になったらもうその時点で私は凍死する。何としても暖かい野営で使う寝床を用意しなくては!まぁまだ先の話だからその内で良いや。

慌ててもいいこと無いしね。


「いらっしゃい」


「こんにちは。ここに売っている野菜を全種類二個ずつ買いたいんですけど、どれくらいの値段になりますか?」


「そうだね、値段は全部で銅貨六枚になるよ。買うかい」


「勿論買います。どうぞ、銅貨六枚です」


「はい、二種類ずつちゃんと入れておいたよ。持っていきなお嬢ちゃん」


「ありがとう店主さん」


他にも調味料や薬草を他のお店で買った私は、宿へと戻っている最中、重大なことに気が付いてしまった。


そう、お金がない。

調子に乗って色々物を買ったり、ちょっと良さげな宿に泊まっていることがここで裏目に出るとは。私の馬鹿!


今更ながらだけどやってしまった。


残りの全財産が少なくなっているから、近い内に魔物を倒して素材を売ろう。


私でも倒せる魔物が良い。

ゴブリンの魔石だけだと実入りが少ないし、これからの事を思うとお金はできるだけ稼ぎたい。

そうなると、D~B級の魔物を倒したいところ。


今の私が持てる最大の攻撃手段は猛毒魔法だ。時空間魔法にも幾つかは攻撃用の魔法もあった。

だけど時空間魔法は猛毒魔法よりも一つの魔法で使う魔力がとても多い。

だから奇襲にはもってこいだけど、連発は厳しい。その上、戦闘で動きながら使えるほどには精度は良くない。


よし!明日は魔物の売れる素材集めとレベルを上げて魔力量を増やすことにしよう。

そうしないとせっかく手に入れた時空間魔法が全然使えないからね。


ただのステータスに名前があるだけの幽霊スキルにはしたくはないし。するつもりもない。


それに獲った魔物は私の旅の間の食料にしよう。


ステーキを食べたいから猪のような見た目の魔物がいいな。できるだけ大きいやつがいい。沢山食べれるからね。


他には野菜は今日買ったから、果物や茸なんかを明日は探そうかな。鑑定もあることだから毒茸を食べることはないと思うし。


後、やっぱりお米が恋しいな。

こっちの世界に来てからは残念なことに食べたことがない。

お米はないけど小麦があるのは本当に救いだ。お陰でパンは食べることができている。


もうちょっとだけ柔らかいともっと嬉しいけどね。そういえばパスタも食べたことがなかったな。

どこかで見かけたら作り方を教わろうかな。そうすれば自分で


「おい!この店に忌み子がいるんだろう!居ることは分かってんだよ。さっさと出せよ!!」


「申し訳ないありませんお客様。当店にはそのようなものはいません。他の方のご迷惑になるのでどうかお引き取りくださいませんか?」


え、何の騒ぎ?


私が音のした方を見ると、薄汚れていて所々破れている服を着た男と、奴隷を扱っているお店の店主が言い争いをしていた。


少し離れたところには人集りができており、注目を集めてはいた。


ただ、集まっている人の店主を見る目に良くない感情が込められていることから余り良くないことが起きていることは確実だった。


「いないだと?そんなわけあるか!俺は確かに見たぞ。このお店の裏口に奴隷の格好をした幼い忌み子が入っていく様子をな。」


「見間違いではないでしょうか。当店では確かに奴隷の売買を商売としておりますが、そのような奴隷は扱っておりません」


「お前!それを本気で言っているのか!だとしたら頭がどうかしてるんじゃあねえか!全ての人間から嫌われていて、教会が邪龍と認定しているこの世に居てはいけない存在。それが毒龍なんだぞ。俺だって奴に住んでいた故郷を奪われているんだ!そんなものの加護を受けている忌み子何てものはこの世に存在しちゃいけねえんだよ!あいつらはな人の皮を被った化物なんだ。さっきから居るのは分かってんだからよ、さっさと出せよ!もしそうまでして認めないならお前もそいつの仲間ってことになるぜ。それでもいいのかよ。もう教会にも報告してるんだ。今ならまだ間に合うぜ」


「········わかりました。どうしてもわかっていただけないのですね。もう一度言います。当店ではそのようなものは扱っておりません。お引き取りを」


そう言った奴隷商店の店主さんの目には強い覚悟と決意、そしてここに居ないものに対する慈愛の眼差しが垣間見えた。その目に込められている感情を見て私は忌み子が本当にこの店に居ることを確信した。

アシストさん。忌み子って毒龍の加護を得ている人の事で合ってるよね?


《リニナの言った通りで間違いありません。

もう少し詳しく説明しますと、忌み子とは毒龍から加護を授かっている人の事を指します。龍は神々の化身とも言われていますから、毒龍も神に属するものとなります。

神々から加護を授かった者には身体に力を授けた神をあらわす色が出ます。

例えば人間の場合は髪や目などの色がそうなります。種族によっては色が出る場所が変わるので一概にも言えませんが。

毒龍の場合は毒龍を彷彿とさせる紫系統の色が身体にあらわれます。こうした紫系統の色を身体に持つ者を忌み子と言います》


教えてくれてありがとう、アシストさん。

どうしよう、私は今どう行動するのかが正しい判断なのか分からない。


皆が嫌っている毒龍を見たこともそれがどんな事を今までしてきたのかも見たことがないからしっかりと共感することが出来ない。


それでも勝手ながら自分と忌み子であるその子のことを重ねてしまった。


私がリニナとして転生して、四年ほど経った時くらいだろうか。


お母さんに無理を言って一度だけスラム街の子供達と一緒に遊んだことがあった。


その時こう言われたのだ。

お前、ここら辺じゃ見ない顔だけどどこに住んでいるんだと。


私はその質問に答えようとして、でも気付いてしまって答えられなかった。


もし自分の家があるところを教えて、皆がそこに遊びに行こうぜと言い出したら?

もしそのまま家の中に入られたとして、なにかのはずみで両親が吸血鬼だと子供に知られてしまったら?


最悪今の三人での暮らしがなくなってしまう。そんなのは嫌だった。


だから私はやらないといけない用事を思い出したから帰るねと適当な言い訳を言って足早に、時々後ろを振り返りながら家に帰った。

自分が改めて人にばれてしまったら殺される存在だという実感を感じながら。


そんなことがあったからかほんの少しだけその子の気持ちが分かったような気がした。


もしかしたらこの子を助けようとすることで、過去の自分を助けたようなそんな気持ちになりたいだけなのかもしれない。

自分の今からすることがその子にとっては嫌なことになるのかもしれない。


それにまず、今の残りの僅かな全財産で奴隷を買うことができるのだろうか?


これから自分が行うことに不安が募る。

それでも自分で決めたからには、最後まで責任を持つつもりだ。


それに何となくだけどここでこの子を助けた方がいい気がする。


その子の毒龍を彷彿とさせる身体的特徴なら私の干渉魔法で隠すことが出来るかもしれない。


こうして自分勝手に騒ぎへと割り込むことを決めた私は、適当に近くにあった路地裏へと足を運んで、時空間魔法の収納からお父さんとお母さんが私にくれた子供用のローブを着る。


そしてついさっき買った布も取り出して小さく畳み、鼻だけが出るように口回りを覆って首の後ろで落ちないようにしっかりと結ぶ。


誰も私を見ていないことを確認してから、毒魔法から猛毒魔法にグレードアップしてより強力になった毒霧を発動するように準備を始める。


あくまで今回は周りの目を隠すための手段としてだから、毒性を限りなく無くして、霧の濃さと量を増やすようにイメージする。


準備が整った私は裏路地から奴隷商店へと走りながらタイミングを計って魔法を使う。


魔法が放たれるのと同時に私の中からいつも毒霧を使う時よりも多くの魔力がすぅーと抜け落ちるのを

感じる。


「毒霧」


辺り一面が私を中心に紫の霧で覆われ始める中、お店の店主さんと口論をしていた男に走った勢いでの体当たりを食らわせて遠くへと弾き飛ばした。


そのまま急いで店主さんの服を引っ張って強引にお店の中に一緒に入り、ドアを閉めてから私はお店の扉の鍵を閉めた。

更新が遅くなりすみませんでした。

いつも読んでいただきありがとうございます。

次の更新も時間がかかると思いますが、気長に待ってくれると嬉しいです。

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