4-3 お披露目本番の前に
2月ですね お待たせしました
月曜日に予約なしの投稿です!
3月くらいには1章完結を見込んでいます
<アルヴィ、来ているかしら?>
<あぁ、勿論だともリーザベル嬢、婚約者の眷属お披露目のパーティーに招待されては来場するの一択だ。こうしてリーザベル嬢に呼ばれたパーティーは貴女の誕生日祝いパーティー以来だったかな?>
リーザベルはリオクとの対話を終えてすぐ、魔力念話でアルヴィベリトと会話していた。幾度となく魔力念話してきたアルヴィベリトだ、即座に反応できている。レンカについて情報を提供して損はないと判断した結果だ。
<そうなるわね。それよりアルヴィ、レンカについてリオクと会話しておいたわ>
<そうか、彼も招待されたのか。リオクはどうだったかな? 貴女の意見に賛同してくれそうにあったか?>
<中立派だとは思っていたけれど、思いのほか賛同してくれた。馬鹿正直なところはあるけれど、嫌いではない。こちらの趣旨をよく汲んでくれたわ。貴族らしさも以前に比べれば板についたとも見える。相変わらず礼装に着られている感は否めないけれどそこも見ていて面白いのよ>
リオクの家系は、特例で永年貴族として認められてはいるものの、歴史上はほぼ新参だ。
それでいて貴族達が多く集うパーティーであっても他の家に劣らない立ち居振る舞い、礼装の準備はほぼ完璧と言っていい。
だからリーザベルのこの評価は及第点もしくはそれ以上だ。
<ふむ、成程な。彼、リオクについては私が多少だがアドバイスをした。後はそうだな……口調をもう少し直せとも言っておいた。誰に対しても客人に接するように、とな>
<口調がマシになるのはあと数百年経たないと無理と見たわ。そのことについてどう思うかしら?>
<私もほぼ同意見だ。ただリオクはああいった口調だからこそ馴染めているのではないかなと思うね>
<あら、それもそうね。あとは彼なりの努力をするかどうか、かしらね。それはそうとアルヴィに頼みがあるのよ。会場の特等席に向かい、パーティーに不慣れなレンカを補助してあげて頂戴。丁度レンカも異空間構築の術も習得したばかりで褒めて会話して欲しいのよ。どうもルーノディアナとは緊張しているみたいで>
<あぁ、それはそれは。仕方ない、リーザベル嬢からの頼みとあらば喜んで引き受けよう>
<宜しく、私ももう少ししたら特等席に向かうわ。それでは>
リーザベルはアルヴィベリトからの了承を確認し、そこで魔力念話を切った。
…
……
………
「——それで、私とルーノディアナ嬢と同時に合格し、高等学院へ入学したリーザベル嬢はとんでもない優等生だったという訳だ。いいや、優等生なんてものではない。今までにない魔術を大量に編み出したのは初等学院の頃からそうだったんだが、初等学院なんて基本を学んではい終わりってところだというのに、そこで応用の更なる応用なんてことを多数やってのけた。それに使用者が限られていた瞬間移動の魔術にしても、リーザベル嬢はすぐに簡素化して少量の魔力で出来るように作り直してしまったんだ。しかしそれは良いことなんだ。リーザベル嬢が魔術を進化させればこの世界は潤う。ただ、真似できる者が少ないというわけで……」
「ほはぁ、そうでしたか。感付いてはいたけど、やっぱりご主人様はとんでもない才能の持ち主なのですね。後にも先にもご主人様を超える術師はいなさそうです!」
「はは、そうなるな。師匠のべレイクス卿も免許皆伝出したの初めてだったようだし? べレイクス卿も高等学院の教職員だったくらいだから術師としての才能は目を見張るものがある」
レンカは特等席に座り、菓子を摘まみながら挨拶に訪れてきたアルヴィベリトからリーザベルという存在がいかに術師として凄まじいかという内容について講釈を受けていた。
特等席に座しているルーノディアナはアルヴィベリトの話す内容にうんうんと頷いている。
「それにレンカ、貴女も並々ならぬ才能があるようだ。リーザベル嬢から聞いたが、異空間構築なる術を習得したそうだね。私も多少ならば使えるが、彼女から直々に教わった貴女なら格が違うはずだ」
「えぇっ!? えーとそのことですか。その魔術なら、確かにご主人様から教えていただきました。飛空の術などとは確かに難易度が桁違いでしたし空間も小規模でしたね。でも、確かに出来ました!」
「習得したならば、何度も使って慣れると良い……なんて、私は魔術について師匠面していい立場ではなかったな」
「あら、いいじゃない。貴方が師匠になれるのは剣術だけではないと証明した瞬間よ」
「ご主人様! おかえりなさい」
「リーザベル嬢! 貴女の戻りを待っていたよ」
「リーザ! ワイン飲みましょよー」
「お嬢様!」
特等席につながる扉が開閉された気配はないというのに、何の前触れもなくドレス姿のリーザベルがそこに現れた。
「ご主人様、今のは一体……もしかして、瞬間移動の術ですかっ?」
「勘がいいじゃない、レンカ。そう、瞬間移動の術よ。さっき教えた遠見の術と原理は似ているから、あとで教えてあげるわ」
「はい、よろしくお願いします!」
「お嬢様、ワインはいかがですか? それともジュースになさいますか?」
「酒はお披露目してからにするし、ジュースなら頂くわ。ラズベリージュースが飲みたいわね」
「かしこまりました!」
そうして特等席にへ優雅に座したリーザベルの眼前にあるグラスへ、果汁そのままの色をしたジュースが給仕されていく。リーザベルはそれを何口か味わっていく。
「そのラズベリーは今朝本邸直営の農園で獲れたばかりのもののみを使用しています! お味はいかがですか?」
「えぇ、いつにも増して甘酸っぱくて美味しいわ」
「本邸にいらした方々のために栽培していますから、喜んでいただければ農園の者も育てた甲斐があったというものです!」
「シトニ、私のグラスにも注いで頂戴ー!」
「ルーノディアナ様、お安い御用です! すぐに給仕いたしますね。それでは折角ですからアルヴィベリト様、レンカさんにもご用意しますね!」
「いただこう」
「わぁ、いい香りです。いただきますね!」
シトニは手早く無駄のない動きで新しく用意された三つのグラスにラズベリージュースを注いでいき、三人に給仕する。
皿に盛られた、簡素なビスケットは安価な菓子を好んでいるルーノディアナへのもの。
他の3人はバターと砂糖がたっぷり使われているクッキーを口にしていた。
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