10「新メンバー」
「――よしっ、余は決めたぞ!!」
吸血鬼の少女は大きな声でそう言った。
私は次に何の言葉が来るのか、彼女の表情から判断した。
「『白銀の豺虎』とか言ったな! それに余は入ってやるぞ!!」
「その言葉を待っていたぞ」
「世界征服とか言っていたな。余もそれに賛成じゃ」
少女は赤い瞳を瞼で隠し、柔らかに微笑んだ。
「ほう……賛成した理由を教えてくれないか?」
「余は吸血鬼……そして愚かな人間により売り物とされてしまった。だからこそ、吸血鬼である余が人類を支配するためだ!!」
「それには私も含まれているのだがな」
「なに、恩人には悪いことなどせん!! 余は受けた恩には必ず報いるからな」
そんな会話をし、私と少女は互いに手を差し出す。
「そういえば名を聞いていなかったな」
「余はエルヴィットぞ! 吸血鬼にしてその貴族である!!」
「私はエルヴェル帝国の大将軍、リキアだ」
私と少女は握手をする。
すると、今まで後ろから見守っていたレイラとウテナ、そしてトウマ達がそれぞれ驚いた顔をしていた。
「吸血鬼……凄い」
「アタシ、血吸われないかな!?」
「僕も大丈夫かな……」
そんな様子の三人に、私は笑いかける。
「ふふっ、安心しろ。エルヴィットはそう簡単に人を襲いやしない……吸血鬼にしては血をあまり吸わない一族なのだからな」
「むっ、何故分かる!!」
「エルヴィットの右目にその一族の紋章が刻まれているからだ」
「ぐぬぅ……そんなこと余は初めて知ったぞ」
エルヴィットは右目を手で覆い隠しながら、そう言った。
まあ、私が彼女を『白銀の豺虎』へ誘った理由がその一族であったからな。
実はと言えば、エルヴィットの一族は戦闘民族であり、代々魔力の量も身体能力も妖魔に匹敵するほどに凄絶な実力を有している。
だからこそ、私は彼女に期待している。
――これでまた世界征服することに一歩近づいたな。
「そんなわけで一つ報告がある」
私はトウマ、レイラ、ウテナ、エルヴィットの四人に向かって話し始める。
「実は、『白銀の豺虎』のアジトができた」
「アジト……!」
「アタシ楽しみ!!」
「おおっ、アジトができたんだ!」
「ははっ、余が満足するかのう」
四人はそれぞれ驚き、喜びの感情を露わにする。
「高貴な武家の者から宮殿を譲り受けたのでな。そこをこれからのアジトにする」
私は四人に地図を広げて見せ、説明する。
そして魔法陣を展開し、
「早速向かうぞ!!」
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「広い……」
「うわぁ! 凄い……!!」
レイラとウテナが歓喜の声を上げて、宮殿の中へと走っていった。
なんだか私はとても誇らしくなり、「どうだ、広いだろ」と口にした。
「リキア……こんな宮殿に住んでた人からよく譲り受けることができたね……」
「ふふっ、私はこう見えて意外と人脈があるのだぞ」
まあ、ただ単に大将軍である私へ武家からの媚なのだが。
前に結婚のお見合いを申し込まれたりもしたな。
「其方もやるではないか……余が住んでいた家にも劣らぬものじゃ」
「そう言ってくれると、私も嬉しいな」
「――な、なんじゃその感じ!?」
エルヴィットが驚愕を声にする。
「何故そのような反応をする。私としてはかなりエルヴィットのことを気に入っているのだがな」
「ぐぬぅ……何か怖い」
そんな冗談を交わし、私とエルヴィットも宮殿の方へと進む。
私はふと、後ろで立ち止まっているトウマに目をやった。
「トウマは来ないのか?」
「ああ、ごめん……ちょっとぼーってしてた」
トウマは何か隠しごとをしているのか、違和感を含んだ笑みを返した。
「早く来い。でなければアジトのことが知られてしまうかもしれない」
「ごめん……今行くから!」
トウマは走って宮殿の中へと行ってしまった。
そして私は隣に立つエルヴィットへ目をやる。
「エルヴィット、行かないのか?」
「――ふぇ、あ、ああ。行くに決まっておる!」
「エルヴィットもぼーってしてたのか?」
「いやぁ、そういうわけじゃないんじゃが……」
「まさか――」
「そ、そんなわけなかろう!!!!」
顔を赤くし、エルヴィットは宮殿の中へと入って行った。
私はそれが可愛く思えてしまい、ついつい微笑んでしまった。
「まさか私がこんな感情を抱くとはな……不覚だ」
エルヴィットの後に続くように、私は宮殿の中へと足を踏み入れた。
どうも、焼き鮭です。
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「面白い!!」「今後、リキアとエルヴィットがどうなるのか見抜いた!」「自分もリキアと同棲したい」
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