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5-38 後日談

 ドルトムットで起こった一連の事件は、春休みの期間をとうに過ぎた7月になってようやく決着を見た。


 ドルトムット家の三男、ロマーノの変死に端を発し、次男セグウェイ、そして当主デイヴ・フォン・ドルトムット伯爵までもが死亡したこの事件は、ドルトムットの変と呼ばれる事となる。


 レヴィンに突き出された襲撃犯たちは、マイセン以外はすぐに口を割った。

 拷問官による取り調べのせいもあったが、レヴィンと交わした約束があった事も大きい。もちろん、約束とはレヴィンが彼らを匿うと言った件である。


 まず口を割ったのは、闇ギルドの男だった。

 ドルトムット家の邸宅でレヴィンを襲撃したこの男によれば、依頼主はドルトムットの神殿のミック・ポーター司祭だと言う。

 この司祭がマイセンと共謀して、ドルトムット卿とレヴィンの襲撃を画策したと言う事だ。


 また、レヴィンの報告書によってアウステリア王国の検察機構もすぐに動いた。

 これはレヴィンの袖の下の効果もあったようだ。

 すぐにドルトムットへ調査官が派遣され、市民や神殿関係者への聞き取りが行われると同時に、変死したロマーノとセグウェイの解剖も行われた。

 その結果、ロマーノもセグウェイも毒を盛られていた事が明らかとなった。

 ロマーノは幼少期から継続的に毒物を飲まされ続けていたようで、慢性毒物中毒からの容体急変による中毒死であり、セグウェイは致死性の高い毒物の摂取による毒死であった。


 ドルトムット市民からの聞き取りでは、ドルトムット卿の人気は高かったのだが、マイセンはその立場を利用した横暴な態度が原因で多くの市民から毛嫌いされていた。

 フレンダについても聞き取りがなされたのだが、こちらに関しては同情的で、彼女の魔女という職業について悪く言う者は少なかった。

 彼女を魔女と言って中傷していたのは、ほとんどがドルトムット家の者とマグナ教の神殿だけだった言ってもいい。


 レヴィンが頼んで同行してもらっていた、エイベルとアニータにも証言を頼んだ。彼らは、ドルトムット市民の代弁者として法廷でも証言を行った。


 更に、ドルトムット領からの脱出時に受けた襲撃の犯人も洗いざらい全てを話した。彼らの依頼主もまたマグナ教の神殿で渡りをつけていた、ミック・ポーター司祭であった。


 また、マイセンを監視していたウォルターの証言もあり、調査はドルトムットの神殿の司教、フランケン・ダズムンドにまで及んだ。

 しかし、こちらはウォルターが実際に見聞きしていたにも関わらず、罪を断罪するところまではいかなかった。

 司教本人もマイセンとの関係を否定した。

 これについてはアウステリア王国が神聖アルヴァ教国との関係を憂慮した結果であると言われている。


 マイセン自身も最後まで、自分の罪を認めようとはしなかった。

 しかし、彼に不利な証言が次々と出てきた事と、神殿との関係も明るみになった事でようやく自身の罪を認めるに至ったのである。


 マイセンはドルトムット卿と先妻との間に生まれたドルトムット家の嫡男であった。職業は神官騎士であり、神殿に大きな期待を寄せられていたようだ。

 マイセンがフレンダを嫌っていたのは、側室であるカーラがフレンダを生んだ年に、自身の母親が亡くなった事によるところが大きい。

 更に、フレンダの職業が魔女であった事から彼はフレンダを憎むようになっていったと言う。以後、積極的にフレンダを誹謗中傷し、ひどい噂を流して彼女を貶めていく事となる。


 マイセンは、後継者の地位を盤石にするために実弟を殺し、神殿と折り合いの悪かったドルトムット卿を除こうと画策した。

 ドルトムット卿と神殿の仲があまり良くなかった理由は、彼がフレンダを完全に否定しなかった事(遠ざけるのみにとどまった)、職業が聖人であるルビーを神殿に入れさせなかった事などが挙げられる。

 思い通りに動かないドルトムット卿に業を煮やした神殿は、嫡男のマイセンに近づき、彼と共謀してドルトムットの変を起こしたのであった。


 結局、マイセンは、親と弟の殺害の主犯として、更にお家騒動を起こしたとして、改易の後、斬首の刑に処される事となった。

 ドルトムット領は王国の直轄領に組み込まれる事となる。

 また、神殿についてもお家騒動に加担し、国家を混乱せしめた罪により大きく権力を削がれる形となった。


 レヴィンは、ドルトムットが直轄領となる事が決まるや否や、ドルトムット旧家臣団の多くを取り込んだ。

 彼らはこれから発展するナミディアを支える人材になっていく事となる。


 最後にこの事変に関わった人達のその後を記しておく。


 カーラ――ドルトムット夫人――はお家が改易された後、レヴィンとフレンダの再三の説得にも応じずドルトムットにて夫と息子の墓を護ると言って王都へ来ることはなかった。


 エイベルとアニータは、混乱するドルトムットに戻る事は止めてナミディアを拠点として冒険者稼業を続けて行く事にしたようだ。


 一旦ドルトムットに戻っていたバーバラもレヴィンとフレンダの要請を受けて王都へとやってきた。

 今後は、レヴィンに仕えてナミディアの発展に関わる事となる。


 また、闇ギルドの二人は、懲役刑の後、レヴィンによってナミディア領内で保護される事となる。


 ルニソリス歴1513年7月――ドルトムットの変は一応の決着を見る事となった。

いつもお読み頂きありがとうございます!

拙作は第5章を持ちまして一旦、休載とさせて頂きます。

今後は、公募等へ出していく予定です

※現在、カクヨム様にてスニーカー大賞へ応募中です。

 駄目でも他の公募へ回す予定。


いずれ連載再開致しますので、しばしの間お待ちいただければと思います。

今後とも、『神様の願いを叶えて世界最強!』をよろしくお願い致します。

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